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育成費用の償却について

農業個人事業主、青色申告です。

①果樹の育成費用を積立している途中に枯れてしまった場合の処理方法…例えば1年目10万、2年目10万と育成費用を資産計上していて、3年目に全滅した場合。成樹の法定の目安は7年です。

②育成費用が7年で1万等の少額だった場合の処理方法…少額償却資産の特例には明細が必要みたいで、処理に自信がないため、原則を教えていただけると助かります。法定耐用年数は25年みたいです。

宜しくお願いします。

税理士の回答

 農業所得者特有の固定資産として「生物」があります。生物とは、牛・豚・鶏等の畜産動物や、ミカン・リンゴ等の果樹などの植物が対象となっています。これらの生物を購入した金額が固定資産購入額となるわけではなく、生物が成熟したと考えられる年齢をそれぞれ設定し、成熟するまでにかかった経費を当初の購入額に加算して固定資産購入額を算定することになっています。
 この生物が成熟したと考える基準は、果樹等についてはその果樹等の償却費も含めて経常的な収支安定が認められる樹齢だとされていますが、多くは政令に規定された年齢・樹齢を用います。
 経理処理上は、その果樹が成熟樹齢に達するまでは、「育成仮勘定」という勘定科目を使って資産に計上していくことになります。ウメやアンズ等であれば7年経てば成熟樹齢に達しますので、そこで「生物」という資産勘定科目に振り替えることになり、減価償却費として経費算入が認められます。
 成熟するまでの費用配分については、広い畑で複数果樹を所有していて肥料費や農薬費をどのように按分するかといったことが問題となります。個別に管理するのは困難ですので、作付本数等で案分するというのが最も簡単な方法です。
 これらの按分方法によって経費として処理してあった費用を「育成仮勘定」に振り替え、成熟樹齢に達した7年後に「育成仮勘定」から「生物」勘定に振替え、ウメやアンズ樹の法定耐用年数である25年で減価償却していくのが原則です。

「果樹の育成費用を積立している途中に枯れてしまった場合の処理方法」について、残念ながら成樹前に枯死した果樹については「例えば1年目10万、2年目10万と育成費用を資産計上」の金額(育成仮勘定)を除却損もしくは廃棄損等で損失処理することになります。

②「育成費用が7年で1万等の少額だった場合の処理方法」について、「少額償却資産の特例」には取得価額が10万円未満のものは該当しませんので、一時の経費か資産計上のうえ減価償却するかの選択となります。一般的には経費処理される事業者の方が多いと思われますが、個々の果樹の管理を考えた場合には何らかの台帳に記載しておくことをお勧めします。
【参考】中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例(国税庁ホームページより抜粋)中小企業者等が、取得価額が30万円未満である減価償却資産を…取得などして事業の用に供した場合には、一定の要件のもとに、その取得価額に相当する金額を損金の額に算入することができます。…この特例の対象となる資産は、取得価額が30万円未満の減価償却資産(以下「少額減価償却資産」といいます。)です。この特例の適用を受けるためには、事業の用に供した事業年度において、少額減価償却資産の取得価額に相当する金額につき損金経理するとともに、確定申告書等に少額減価償却資産の取得価額に関する明細書(別表16(7))を添付して申告することが必要です。
<注意事項>この特例の適用を受ける資産は…取得価額が10万円未満のものまたは一括償却資産の損金算入制度の適用を受けるものについてもこの特例の適用はありません。

 原則的には農業経営者の方々には上記の経理処理が求められますが、大規模かつ機械化された農場でないと細かい管理は難しいと考えます。おそらく毎年(苗や肥料、農薬などの購入について)経費処理のみを行っているのだと思われます。

ご丁寧に回答ありがとうございます。

少額減価償却資産の特例は、10万円未満は除外なんですね。

①廃棄損や除去損での処理、了解しました。

②原価計算しているので果樹の管理は大丈夫です。生物の取得価額を減価償却する件は理解できましたが、『一時の経費』の部分が分からない感じです。条件により果樹等の生物も、一括償却資産になるという解釈であっていますか?

 申し訳ございません説明が足りませんでした。本件の「育成費用が7年で1万等の少額だった場合」には、取得価額が10万円未満で使用可能期間が1年以上の資産であり、事業者の選択により①全額損金(経費)算入②一括償却資産(3年均等償却)③資産計上(耐用年数での減価償却)の処理方法があります。『一時の経費』は①の単年度で全額経費(消耗品等)として計上という意味で使っております。先に述べたとおり、農業経営者の方々は農機等の機械設備以外はほとんど経費処理されている現状ですので、こちらの経理処理が大半と考えています。

他の箇所が丁寧すぎるぐらいだったので、全然、大丈夫です。追加の返答、ありがとうございます。

農業で開業して11ヶ月目ですが、いろいろ調べると税理士さんが言われる通り、大規模や法人等以外は、原価計算や収益と費用の対応などを行ってる農家は少ないみたいですね…。

購入資産以外の自家作成の資産なども、適用になるの了解です。現時点で4000円ぐらいの育成費なので、単純計算で7年で28000円だとすると25年の減価償却……に違和感がありました。教えてくださった①~③で選択します。

知りたい内容の全てを答えてくださり、本当に助かりました。
また、質問を掲示することがあると思うので、機会があれば宜しくお願いします。

ありがとうございました。

本投稿は、2022年11月22日 19時52分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

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