経理をアウトソーシングするメリット・デメリットは?失敗しない外注先の選び方も解説

経理は、会社のお金を管理する重要な仕事で、煩雑な事務作業が多くあります。
事業主自らが経理を行っている場合、本業に時間を割けず悩んでいる方は多いでしょう。このようなお悩みを解決する手段として、経理を外部に委託する(アウトソーシング)する、という選択肢があります。
この記事では経理代行を検討している事業者の方に向けて、経理をアウトソーシングするメリット・デメリットや、具体的にどのようなサービスがあるのか、外注先の選び方について解説します。
目次
経理のアウトソーシングとは
経理のアウトソーシングとは、社外の担当者に記帳や帳簿作成などの経理業務を代行してもらうことです。
アウトソース先としては専門業者、あるいは税理士事務所のいずれかになります。
外注できる経理業務は具体的には以下のとおりです。
日次業務 | 記帳代行、帳簿作成、領収書管理、振込・支払い代行、請求書発行、銀行残高管理 |
---|---|
月次業務 | 売掛金・買掛金管理、月次決算書作成、給与計算 |
年次業務 | 年次決算書作成、税務申告、年末調整 |
近年、“働き方改革”の推進やクラウドシステムの発展に伴い、従来は社内の人員でまかなっていたような業務を社外にアウトソースするという選択肢が広がりつつあるのです。
経理を外注する4つのメリット
次に、経理をアウトソーシングするメリットについてご紹介いたします。
時間やコストの最適化
経理担当者の平均年収は300万~500万円程度と言われており、1人採用するとなると年間数百万円の費用が発生します。
外部に業務をアウトソースをすることで、新たな人材を採用する必要が無くなり、さらに採用活動、引き継ぎ業務などに時間を費やす必要も無くなります。
よって、経理担当者を採用するよりも手間をかけずコストも抑えられるということにつながります。
また、必要な業務だけを切り分けてアウトソースすれば、効率よくコストカットすることができます。
本業に専念できる
会社を創業して間もない、事業の規模が小さい、といった理由で、事業主がほかの業務と並行しながら経理を行っている場合があります。
しかし経理の業務は、帳簿入力や領収書の作成など煩雑なものが多く、専門知識をもたない人が担当すると、時間的、精神的な負担がかかってしまいます。
経理をアウトソースすることで、時間を要する日々の作業から解放され、会社の利益に直接つながるコア業務に専念することができます。
専門スキルを持つ人にまかせられる
経理を社内で行おうとすると、経理に関する知識をゼロから社員に教育する必要があります。
一方で外注した場合には経理に精通したプロが対応してくれるので、クオリティの高い作業をスムーズに進めてもらえます。
また基本的なノウハウのみならず、経理に関する新しい情報を常に持ち合わせているため、改正された税法や社会保険の制度への迅速な対応も期待できます。
属人化を回避できる
経理業務が社内の担当者に属人化されていると、その担当者が退職することになった場合、ほかに対応できる社員が誰もいないという状況に陥ってしまうリスクがあります。
そこで外部に経理を委託することで、作業の見える化が図れたり、引き継ぎ作業の負担が軽減することにより、経理作業の停滞を回避することができます。
経理を外注する3つのデメリット
経理を外注することはメリットばかりではありません。下記のデメリットもおさえておく必要があります。
迅速かつ柔軟な対応ができない
急ぎの対応が求められるときに、外注先担当者が社内に常駐していない場合は、迅速かつ柔軟な対応ができない場合があります。
また、原票の送付や回収、書類の受け渡しにタイムラグが生じてしまったり、契約外のイレギュラーな業務をお願いしたくても対応してもらえなかったりする可能性があります。
経理業務のノウハウが蓄積できない
業務を社外の担当者に依頼するため、社内に経理業務の内容やフロー、知識などのノウハウが蓄積されません。
また、経理外注をやめて社内で経理担当者を設けることになった場合、外注先に社員の教育をお願いすることはできないため、引き継ぎが難しくなります。そのため、社内担当者への引き継ぎ期間は余裕を持たせておく必要があります。
業務をマニュアル化する手間がかかる
経理の業務は企業によって、方法が異なります。
そのため、外注先に社内ルールに沿って正確に業務をしてもらうためには、まず業務内容を整理し、マニュアルや引き継ぎ書を作成する必要があります。
外注先に完全に経理が移管するまで、経理作業の全体をアウトソースする場合は時間を要する可能性もあるのです。
経理のアウトソーシング先を選ぶポイント
経理業務は、「経理代行業者」か「税理士事務所」のどちらかに依頼することができます。
外注先を選ぶ時は、以下のポイントをおさえておきましょう。
依頼できる業務の範囲はどこまでか
経理のアウトソーシングで失敗しないためには、経理業務のどこまでを依頼するのか、どれくらいの量を委託するのかを明確にしておく必要があります。
そのうえで、経理関連業務のすべてをお願いしたい場合、あるいはそのほか資金繰りや節税についての相談もしたい、という場合は税理士を選ぶとよいでしょう。
なぜなら経理関連業務のひとつである年末調整や確定申告の代理、税務相談など、は税理士のみが行える独占業務とされているからです。
その際は税理士との顧問契約も検討してみましょう。経理代行と同時に、税務相談・節税対策・確定申告・資金調達などに対応してもらうことが可能です。
一方で経理代行業者は、税理士と比べて費用が安いというメリットがありますが、上記のような業務を単独で行うことは出来ないため、依頼できる業務に限りがあります。
セキュリティ対策
経理をアウトソースする際には、依頼先に社内の機密情報を開示したり内部資料を渡す必要があります。
セキュリティ対策が十分に施されていない依頼先に外注してしまうと、会社の利益に影響を及ぼす情報が外部に漏洩したり、データを紛失してしまう恐れがあります。
そのため外注先のデータ管理方法や、受け渡し方法について注意をはらい依頼先を検討しましょう。
税理士には、税理士法に定められている守秘義務があるため、依頼者からの相談や依頼内容を外部に漏らされる心配はありません。
経理のアウトソーシングを検討すべきタイミング
「事業主自らが経理を行っているが本業に集中したい」「経理処理の方法が正しいのかわからない」「そもそも会計ソフトをうまく使いこなせない」と悩む経営者もいるでしょう。
また、社内に専属の担当者がいる場合でも、「社員の教育コストを削減したい」「担当者が退職してしまい対応できない」という場合もあるでしょう。
そのような場合には、どの方法がもっとも自社にとって優位であるか、費用や作業手間などを比較しながら経理のアウトソーシングを検討するとよいでしょう。
経理のアウトソーシングにかかる費用
外注にかかる費用は、仕訳科目数や依頼する業務内容、依頼の頻度によって変わります。そこで複数の委託先の見積もりを取り、依頼できる業務と費用を比較・検討することをおすすめします。
ここでは参考までに、記帳代行の料金相場を紹介します。
記帳代行の料金相場
5,000〜50,000円(1仕訳あたり50〜100円)
おわりに
税理士に経理のアウトソーシングを依頼する場合は、経理以外の業務もまとめて依頼できる顧問契約がおすすめです。
顧問料が高くなる場合は、希望の予算金額を伝え、その料金内で提供できるサービスを提案してもらうことや、経理の一部をアウトソースすることも可能です。
経理業務は税理士に任せて、業務の効率化を図りましょう。
もっと記事を読みたい方はこちら
無料会員登録でメルマガをお届け!