消費税還付を受けるにあたり、今年開業の場合で、前年以前の仕訳計上について
今年、令和7年7月に飲食店を開業した個人事業主です。
開業にあたり店舗を建築したのですが、建築自体は令和5年から着工し、その着工時に500万円、令和6年の棟上げ時に500万円、令和7年の引き渡し時に残代金500万円というようにそれぞれ3年に渡り合計1,500万円を支払っています。
そして開業年の令和7年からインボイス登録をして、今回の消費税申告でこれらの初期費用にかかった消費税の還付を受けたいと考えています。
そこでこれらの金額に対する仕訳の相談なのですが、開業は令和7年なので令和5年・6年の時点では帳簿は作成しておらず、令和5年に支払った手付金500万・6年度に支払った棟上時500万に対する帳簿への計上はありません。
そのため、令和7年の引き渡し時に支払った残代金は今年の帳簿に計上できますが、
令和5年・6年に支払った金額はどのように計上すればよいのでしょうか?
令和7年の引き渡しを受けた日付でまとめて、
建物1,500万/事業主借1,500万
という仕訳を計上するということでよいのでしょうか?
宜しくお願い致します。
税理士の回答
令和7年(2025年)の引き渡し時にまとめて計上し、消費税還付を受ける方針で間違いありません。
個人事業主が建設中の建物について支払った代金は、原則として「目的物の引き渡しを受けた日」に消費税の課税仕入れとして認識します。そのため、開業前の令和5年や令和6年に支払った金額であっても、令和7年の引き渡し時に全額(1,500万円)を一括して帳簿に計上することで、令和7年分の消費税申告において仕入税額控除(還付)の対象とすることが可能です。
推奨される仕訳例
令和7年の「建物の引き渡しを受けた日」に、これまでの支払額を含めて以下の通り仕訳を行います。
日付 借方(勘定科目 / 金額) 貸方(勘定科目 / 金額) 備考
令和7年○月○日 建物 15,000,000円 事業主借 10,000,000円 令和5・6年の既払分(1,000万円)
現金預金 5,000,000円 令和7年の残代金支払分(500万円)
既払分(1,000万円): 開業前の支出を個人の私財から補填した扱いとなるため、貸方は「事業主借」を用います。
残代金(500万円): 事業用の通帳等から支払う場合は「現金預金」等で処理します。
注意点とポイント
インボイスの保存: 還付を受けるには、建築業者(適格請求書発行事業者)から交付されたインボイス(適格請求書)の保存が必須です。
引き渡し日(課税仕入れ時期): 消費税の還付対象となるのは、契約日や支払日ではなく「引き渡しの日」が属する課税期間です。令和7年中に引き渡しを受けていれば、今年度の確定申告で還付を受けられます。
高額特定資産の届出: 1,000万円(税抜)以上の資産(高額特定資産)を取得した場合、その後の免税事業者への変更が制限されるなどのルールがあるため、今後の申告には注意が必要です。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6483.htm#:~:text=6483%20%E5%BB%BA%E8%A8%AD%E4%BB%AE%E5%8B%98%E5%AE%9A%E3%81%AE%E4%BB%95%E5%85%A5%E7%A8%8E%E9%A1%8D%E6%8E%A7%E9%99%A4%E3%81%AE%E6%99%82%E6%9C%9F,-%5B%E4%BB%A4%E5%92%8C7
山口先生
とてもわかりやすく丁寧なご回答をいただき、ありがとうございます。
検討していた方針で問題ないようで安心致しました。
仕訳についてもそのように計上させていただきます。
ありがとうございました!
参考になって良かったです。よろしくお願いいたします。
本投稿は、2025年12月23日 14時28分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。







