NFT(ブロックチェーンゲーム)の必要経費について
仮想通貨のブロックチェーンゲームで、ゲームをプレイし、報酬をもらうことができます。まず、最初にNFTを購入する必要があります。このNFTは売却可能・不可能なものがあります。この場合、最初に購入したNFTを必要経費と考えて損益通算できますでしょうか。
税理士の回答

小川真文
NFTゲームで暗号資産を稼いだ場合の課税の取扱いについては、現在の国税庁の公式意見を以下に挙げております。仮想通貨取引によって所得が発生した場合には税金がかかりますが、NFTの売買においても、売買により収益が発生した場合には確定申告をして税金を納めることが必要な可能性があります。
NFTやFTを用いた取引を行った場合の課税関係
[令和4年4月1日現在法令等] 国税庁HP抜粋
1 いわゆるNFTが、暗号資産などの財産的価値を有する資産と交換できるものである場合、そのNFTを用いた取引については、所得税の課税対象となります。
2 所得税の課税対象となる場合の所得区分は、概ね次のとおりです。
(1) 役務提供などにより、NFTを取得した場合
・ 役務提供の対価として、NFTを取得した場合は、事業所得、給与所得または雑所得に区分されます。
・ 臨時・偶発的にNFTを取得した場合は、一時所得に区分されます。
・ 上記以外の場合は、雑所得に区分されます。
(2) NFTを譲渡した場合
・ 譲渡したNFTが、譲渡所得の基因となる資産に該当する場合(その所得が譲渡したNFTの値上がり益(キャピタル・ゲイン)と認められる場合)は、譲渡所得に区分されます。
(注)NFTの譲渡が、営利を目的として継続的に行われている場合は、譲渡所得ではなく、雑所得または事業所得に区分されます。
・ 譲渡したNFTが、譲渡所得の基因となる資産に該当しない場合は、雑所得(規模等によっては事業所得)に区分されます。
(根拠法令等 所法27、33、35、36、37、38)
まず通常、仮想通貨でNFTを購入することになるのですが、NFTの購入時に課税の対象となる所得が発生する場合があります。
仮想通貨でNFTを購入する際の損益計算の計算は、NFTの購入価格から使用した通貨の原価を差し引いた額となりますので、自分の所有する仮想通貨が高騰した際にNFTの購入場合は利益(所得)と認められます。
購入したゲームのキャラクターなどのNFTは売却することができますが、購入時よりもNFTの価格が上がっている状況で売却すると利益が発生します。この際の損益額の計算は売却価格から売却したNFTの取得時の原価となります。
またNFTの経費には、次のものが考えられ、上記で説明した収入から差し引くことができます。
・取引のためのGAS代やゲーム内でかかった費用
(NFTゲームに使用するNFTアイテムを購入して、「修理」や「繁殖」「他者からのレンタル」などにより追加投資を行った)
・NFT取引を行うためのPC購入費や像編集ソフト購入費など
ご相談では「NFTは売却可能・不可能なものがあります」とあり、「売却可能」とされているNFTは上記の扱いで良いかと思われますが、「売却不可能」とされているNFTは国税庁の取扱では課税の対象としていないとしていますので、このNFTの購入費用は原価(経費)にはできないこととなります。NFTの種類や内容も様々ですので、税務署にご相談頂くことをお勧めします。
なお、NFTの売買により所得が生じた場合には、反復継続してNFTの転売を行っている場合や、営利を目的としているか等の取引内容により譲渡所得、一時所得、雑所得等と所得区分が異なる可能性がありますので注意が必要です。
たとえば、10万でNFTを買って、10万の利益を出したとします。10万のNFTが売却不能の場合は、課税額は10万円て事ですか?

小川真文
税務上は個人の未実現の利益は課税の対象額となります。先の国税庁の見解のとおり、NFTが暗号資産などの財産的価値を有する資産と交換できるものである場合のみ、そのNFTを用いた取引については所得税の課税対象となります。10万円相当の価値があるNFTであっても売却不能で利益を得る可能性がなければ、手持ちの10万円のNFTは課税上の問題はなく、ゲーム上の報酬の10万円の利益のみが課税対象となると考えてよろしいかと思われます。
10万で投資(NFT購入)-ゲーム報酬(10万)=0(利益なし)
↑の計算にならないということですか。
小川様の回答がうまく理解できず、すみません。

小川真文
申し訳ございません。回答の仕方が悪かったようです。
NFTが暗号資産などの財産的価値を有する資産と交換できるものである場合は、購入時のNFTの取得価格は交換時(売買)の費用(原価)となりますので、そのまま手持ちである場合は損益に影響しません。NFTを売却した時にのみ損益が発生します。
・10万円で購入したNFTを同額の10万円で売却した場合(報酬は10万円)
10万で交換(NFT売却)-10万で投資(NFT購入)+ゲーム報酬(10万)=10万(利益)
ご質問のとおり、10万円相当の価値があるNFTであっても売却不能で利益を得る可能性がなければ、手持ちの購入した10万円のNFTは売買の対象(原価)とはなりません。ですがゲームへの参加の際には必ずNFTの購入の必要がありますので、いわゆる経費として考えてよろしいかと思います。ですので、例の場合は
ゲーム報酬(10万)-NFT購入費用(10万)=0(利益なし)
結果は一緒ですが、当初のお考えのとおりNFTを商品と考えず消耗品等の必要経費と考えて良いかと思われます。

小川真文
先の回答の追加訂正となりますが、「消耗品」では物理的な減損がイメージされ、少し抵抗があります。ですから「最初にNFTを購入する必要があります。このNFTは売却不可能なものがあります」こちらの初期投資費用は事業準備のための支出である「開業費(創業費)」に相当すると言う考えが自然と思われます。
この費用は税法上の繰延資産となりますが、任意(随時)償却(経費化)できますので、購入時に経費としても、ゲーム継続に合わせて経費とすることも可能です。いずれにせよこの場合、「最初に購入したNFTを必要経費と考えて」よろしいかと考えます。
本投稿は、2022年10月01日 00時02分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。