三笘「年俸7億円」でブライトン残留か。税金はどうなる?
税金・お金

2022年のサッカーワールドカップで日本代表として活躍し、現在イングランド・プレミアリーグのブライトンに所属する三笘薫(みとまかおる)選手。プレミアリーグのシーズン日本人最多得点記録を叩き出し、チームの主軸にふさわしい飛躍ぶりを見せている。
この活躍を受け、今夏以降の移籍市場に向けて多くのビッグクラブからの関心を集めている。
三笘選手はブライトンと年俸102万ポンド(約1億7000万円)の契約を結んでいると伝えられる。ただしプレミアリーグにおいて、現在の三苫選手の市場価格はそれ以上ともいわれ、ブライトンも引き留めに向け、新契約にてクラブの最高年俸を提示する準備を進めているという。
現在ブライトンにおける最高年俸は、元イングランド代表ルイス・ダンク選手の416万ポンド(約6億9500万円)。つまり年俸7億円以上を手にする可能性があるということだ。
日本人選手の最高年俸は、当時マンチェスターユナイテッドに所属していた香川真司選手の年俸400万ポンド(約6億6800万円)とされているが、三笘選手が年俸7億円で契約した場合、日本人選手の最高年俸の記録を更新することになる。
移籍または残留のいずれの場合でも、大幅な年俸アップになることが予想されるが、税金は一体いくら払うことになるのだろうか。福留聡税理士に聞いた。
●年俸7億円なら3億1500万円の所得税がかかる
——英国在住の三笘選手が7億円の年俸を受け取った場合、税金はどれだけかかるのでしょうか。
「英国の個人所得税は、課税所得150,001ポンドから45%の所得税率が適用されます。少額の個人控除額等を無視すると、三笘選手の年俸が7億円(約419万ポンド)の場合、45%を乗じるとおおむね3億1500万円の所得税になります。
なお、英国は個人所得に対する住民税はなく、家のグレードにより住民税が決まりますので、ここでは無視しています。」
●日本でのCM出演などの収入は?
——日本でCM出演などの収入がある場合の、税金の扱いについてもお教えください。
「三笘選手は、日本の所得税法上は非居住者(国内に住所があり、または、現在まで引き続いて1年以上居所がある個人である居住者以外を非居住者と言います)のため、国内源泉所得(日本国内で獲得した所得)のみ日本の所得税が所得税率20.42%で源泉徴収されます。
日本同様に、英国における個人所得税の課税範囲は、居住者の場合には原則として全世界所得が課税対象となりますので、日本でのCM収入に対しても英国で45%の所得税がかかります。ただし、日本で課せられた所得税に対しては外国税額控除で二重課税は排除されます。」
——三笘選手の年俸が7億円になった場合、大幅な収入増となりますが、税金面での注意点などあればお教えください。
「前述の通り、日本で課税された課税所得に対しては、英国で外国税額控除を受ける必要があります。日本での収入に対しても英国で合算して課税されるため、申告漏れがないように留意することが必要です。」
※日本円表記は1ポンド=167円として算出。
【取材協力税理士】
福留 聡 (日本・米国ワシントン州)公認会計士、(日本・米国)税理士、公認不正検査士、行政書士
監査法人で上場企業の監査業務等を経験後、IPO支援、決算支援、IFRS導入支援、日米の法人の税務顧問等を行っている。本、雑誌、DVD等で約50の出版をしており、代表的な著作として『7つのステップでわかる税効果会計実務入門』がある。
事務所名 : 福留聡税理士事務所、福留聡国際会計アドバイザリー株式会社、福留聡クラウド会計給与合同会社
事務所URL:http://www.cpasatoshifukudome.biz/