保証金 入居会社ありの建物を購入した際の、保証金について質問させてください。
保証金 入居会社ありの建物を購入した際の、保証金について質問させてください。
テナント(入居会社あり)の関西の建物を
有限会社Aから購入しました。
Aは入居した会社から、契約時に保証金400万円を受け取っています。
解約時の保証金は100万円引きです。
解約時に300万円をAに返還します。
上記内容がAと入居した会社との契約書に記載がありました。
その後私がAから建物を購入しました。
入居している会社との契約はまだですが、
保証金についても引き継がれるかと思います。
(まだどのように引き継がれるかは未定です)
仮に私が保証金を引き継ぐとして、
Aから渡される金額は、Aに返還する300万円のみなのか、
保証金400万円すべてなのかどちらなのでしょうか。
結論の根拠の判例や法令があれば一緒に伺いたいです。
どうか宜しくお願いします。
税理士の回答

石割由紀人
あなたがAから建物を購入した際の保証金の引き継ぎについては、基本的に賃貸借契約に伴う保証金の引き継ぎが行われることが通例です。保証金とは、賃借人(入居者)の賃料や原状回復などの債務を担保する目的で、旧所有者(有限会社A)が受け取っていた金額です。この保証金は物件の所有権が移転した場合でも、賃貸借契約の債務を担保するために次の所有者に承継されると考えられています。
今回のケースでは、あなたがAから建物を購入し、新たな所有者となることで、この賃貸人の地位も引き継ぐことになります。従って、賃借人がAに預け入れた保証金は、あなたがそのまま引き継ぐ対象となります。法的には、旧賃貸人との契約に基づいて設定された保証金の全額(この場合は400万円)が新所有者に引き継がれるべきだと解されます。この場合、あなたは、保証金としての義務も含めて支払いを受け継ぐ必要があります。
判例として、東京地裁令和3年10月8日判決があり、この判例では賃貸人の地位の移転とともに保証金その他の賃借契約に関する権利義務が新所有者に承継されることを認めています(最高裁判決も引用されており、確立した法理論となっています)。したがって、保証金の扱いについては法的に400万円の全額が新所有者に引き継がれるべきとの理解が一般的です。
[一般財団法人大阪府宅地建物取引士センター](https://www.otc.or.jp/pages/mmg/m2302_2.html)
以前までの質問に引き続き、ご回答いただきましてありがとうございます。
本日、前名義人と、全額引継ぐ方向で合意することができました。
ご教授いただきました地裁の判決、ならびにURL先に記載のある民法622条-2の知識が
非常に役立ちました。
大変恐縮ではございますが、全額引継がれることで、1つ疑問があります。
保証金全額400万円が振り込まれると思うのですが、
私が調べた限り、これら全額所得に計上はせず、
貸付期間の経過に関係なく、入居会社に返還しない金額(本件ですと100万円)が、
前名義人と『保証金について契約した年』に不動産所得に計上する必要があると
考えています。(おそらく今年になると思います)
この理解で問題ないでしょうか。
五月雨式の質問となってしまい、誠に申し訳ございません。
どうか宜しくお願いします。

石割由紀人
ご指摘の通り、保証金全額が振り込まれたとしても、その全額が直ちに所得として計上されるわけではありません。ご認識されているように、返還を要しない金額(本件では100万円)のみが、原則として不動産所得として計上されることになります。
保証金の所得計上に関する原則
保証金は、原則として、預り金(負債)として処理されます。
保証金は、賃貸借契約終了時に賃借人に返還されるべき金銭であり、賃貸人の収入とはみなされません。
したがって、保証金を受け取った時点では、所得として計上する必要はありません。
返還を要しない金額(権利金、敷引金など)は、不動産所得として計上されます。
賃貸借契約において、保証金の一部が返還されないことが定められている場合、その返還を要しない金額は、実質的に賃料の一部とみなされます。
したがって、その金額は、不動産所得として計上する必要があります。
今回のケースでは、解約時に100万円が差し引かれるため、この100万円が不動産所得として計上されることになります。
所得計上の時期
返還を要しない金額は、原則として、その金額が確定した年分の不動産所得として計上します。
今回のケースでは、保証金に関する契約が締結された年(Aがテナントから保証金を受け取った年)ではなく、あなたが建物を購入し、保証金を引き継いだ年(おそらく今年)に、100万円を不動産所得として計上することになります。
これは、あなたが保証金の一部を返還しない権利を取得したのが、建物を購入した時点であるためです。
今回のケースにおける所得計上
あなたがAから保証金400万円を引き継いだ場合、その全額を所得として計上する必要はありません。
ただし、解約時に返還を要しない100万円については、あなたが建物を購入した年(おそらく今年)の不動産所得として計上する必要があります。
残りの300万円は、テナントに返還する義務があるため、預り金(負債)として処理します。
ご返信ありがとうございます。
何度も質問してしまい、誠に申し訳ございません。
100万円が不動産所得になり『建物を購入し、保証金を引き継いだ年』に
計上する旨、承知いたしました。
私の場合、建物の購入契約は昨年12月日付で契約書を交わし、
購入代金の支払いも去年末に終わりました。
しかし、保証金関連の取り決めをA側の担当者が忘れており
(私も思いつくことができませんでした)
今年、覚書を交わし、全額引継がれることになりました。
建物を購入契約・支払いは去年。保証金引継ぎの覚書・支払いは今年になります。
この場合、去年の所得になるのか今年の所得になるのかどちらなのでしょうか。
私の言葉足らずにて誠に申し訳ございません。
もしよろしければ、再々度になりますがお知恵をお貸しください。
何卒、宜しくお願いします。

石割由紀人
保証金の所得計上時期について、詳細な状況をご説明いただきありがとうございます。
建物の購入契約と支払いは昨年、保証金引継ぎの覚書と支払いは今年という状況ですね。この場合、保証金のうち返還を要しない金額(100万円)は、今年の不動産所得として計上することになります。
以下、理由を詳しく解説します。
所得計上の時期の原則
不動産所得は、原則として、その収入すべき金額が確定した年分の所得として計上します。
収入すべき金額が確定するとは、権利として収入を請求できる状態になったことを意味します。
今回のケースにおける収入確定時期
*建物の購入契約と支払い:
建物の購入契約と支払いは昨年に行われていますが、これは建物の所有権移転に関する取引であり、保証金の所得計上とは直接関係ありません。
保証金引継ぎの覚書と支払い:
保証金の引継ぎに関する覚書を交わし、実際に保証金が支払われたのは今年です。
この時点で、あなたは保証金のうち返還を要しない金額(100万円)を、権利として収入を請求できる状態になりました。
つまり、この100万円の収入が確定したのは今年であると解釈されます。
所得税法上の解釈
所得税法では、収入の計上時期について、権利確定主義を採用しています。
権利確定主義とは、収入を認識する時期を、実際に金銭を受け取った時点ではなく、権利として収入を請求できる状態になった時点とする考え方です。
今回のケースでは、保証金引継ぎの覚書を交わし、保証金が支払われた時点で、あなたは100万円の収入を請求できる権利が確定したとみなされます。
結論
したがって、保証金のうち返還を要しない金額(100万円)は、今年の不動産所得として計上することになります。
何度も質問が続いてしまい、大変申し訳ございません。
全文承知いたしました。
保証金のうち返還を要しない金額を、今年の不動産所得に計上する旨、
忘れず、来年の確定申告に記載いたします。
この度は、幾度も助けていただき大変感謝しております。
誠にありがとうございました。
本投稿は、2025年01月15日 00時22分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。