節税にマイクロ法人を立ち上げる事は有益なのでしょうか。
私はサラリーマンで、奥さんが個人事業主をしています。
奥さんの方が、昨年の8月から新規事業を始めていて、今までは扶養の範囲内の所得しかなかったのですが、今年からは扶養を外れ大きく所得が伸びそうです。
旧事業と新事業は全くの別の性質をしているため、そちらだけ法人化し健康保険を国保から社会保険にした場合、保険料などが安く済むと思われます。
また、所得を分散する事での節税もできるのでは?と考えています。
このような状況で態々法人を作り、手取りの金額を増やすことは得策なのか悩んでおります。
良きアドバイスをいただけませんでしょうか。
税理士の回答

竹中公剛
法人を一度立ち上げると最低でも、70,000円の地方税を支払います。
利益の予想・報酬の設定・個人とは違う申告。
面倒です。
薦めません。
ご質問者さまへのアドバイスは以下の通りになります。
1. 法人化の「コスト対効果」をまずシミュレーションすることが大切
- 年間でどの程度の利益が見込まれるのか、法人税・個人所得税・社会保険料・国民健康保険料などの各種コストを数年間で試算し、比較検討しましょう。
- 設立費用や税理士報酬などの維持コストが、節税や社会保険料削減によるメリットを上回らないかを確認する必要があります。
2. 事業拡大の見込みがあるなら、法人化のメリットが高まる
- 新事業が将来的に大きく利益を生む見込みがある、あるいは大きな取引先との契約に法人格が有利な場合などは、法人化のメリットが相対的に大きくなります。
- 一方で、収益規模がまだ小さい段階で法人化すると、維持コスト負担が重く感じる場合もあります。
3. 社会保険料だけを理由に法人化するのは慎重に
- 短期的には保険料の負担が減るように見えても、法人側の事業主負担分や将来の年金受給額、役員報酬の設定制限なども考慮が必要です。
- 役員報酬を極端に抑えすぎると、将来の厚生年金額が少なくなるデメリットがあり、また税務署から「不相当に低い役員報酬」とみなされるリスクにも留意してください。
4. 個人事業と法人との損益通算はできない
- 旧事業の赤字と新法人の黒字を通算して税負担を下げる、といったことは一般にできません(法人と個人は別人格です)。
- 旧事業と新事業をどう区分するかも含めて、しっかりと検討が必要です。
5. 専門家への相談が不可欠
- 設立手続き、定款の作り方、資本金額や決算期の設定、役員報酬の決め方、社会保険手続きなどは専門家(税理士・司法書士・社会保険労務士)との連携が必要です。
- 特に社会保険の試算は最新の保険料率に基づいて詳細に行うと、かなり状況が明確になります。
本投稿は、2025年01月30日 18時26分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。