税理士直伝!会社設立を安く済ませる方法とは?

起業を志したときの最初の関門は、「まずなにをどうしたらいいのかがわからない」ということでしょう。そして、初期投資はできるだけ抑えたいですよね。そんな方に向けて、税理士である著者が、会社設立をできるだけ安く済ませる方法を紹介します。
目次
会社設立の流れ
最初に会社の枠組みを、ざっと決めておかないといけません。
会社の名称をはじめ、だれが出資するのか、だれが役員になるのか、事業年度(決算期)はどうするのか。株式会社であれば取締役会を作るのか、監査役を置くのか、役員の報酬はどうするか、などです。
次に、これらの基本的事項を盛り込んだ「定款」を作成します。株式会社の場合、定款は公証人に認証してもらわないといけません。これが済んだら「資本金」の払い込みをします。そして、定款などと一緒に、「登記申請書」を法務局に提出。提出した日が会社の設立日になります。
登記が終わったら、税務署、県税事務所、市役所などに法人設立に関する各種届を出しましょう。人を雇うなら、年金、健康保険、労災保険、雇用保険の届を年金事務所や、労働基準監督署、ハローワークに届を出す流れとなります。
会社設立に必要な費用
会社の設立費用は大きく以下の3つにわかれます。
- 法定費用といわれるもの
- 専門家手数料(定款や申請書の作成料、もろもろ相談料)
- 会社の資本金(1円から会社設立可能)
法定費用は必ず発生する費用で、節約することはできません。専門家に頼むときの手数料は、千差万別、相場は3万円から10万円といったところでしょうか。
法定費用は電子定款の場合、株式会社で20万2000円となります。定款の認証代が5万2000円、登録免許税が15万円(資本金が一定額を超えるとさらに増えます)。この「20万2000円」という金額はだれがやっても下がりません。電子定款は、定款を電子ファイルで作る場合ですので、紙で定款を作るときには、別途4万円の印紙代が必要となります。
ただし電子定款を作るには専用のソフトが必要になり、その費用が数万円かかります。そのため、自分で電子定款を作る場合にも、紙で作るのと同程度の費用がかかると思ってください。ちなみに専門家に頼むと、みな電子定款でやるので、4万円はかかりません。そしてこれが、専門家の大きな宣伝文句となっています。
合同会社の場合には、登録免許税が6万円になります。認証代も必要ありません。つまり、6万円で会社が設立できるのです。合同会社に対する世間の認知度も相当高くなっていますので、会社を作るだけなら、合同会社でも十分かもしれません。
専門家に依頼した場合の手数料は3〜10万円が相場といわれていますので、総費用は、株式会社の場合は23万円~30万円、合同会社の場合は10万円程度となります。
指南役はだれに頼む?
会社設立を頼めるのは、税理士、司法書士、行政書士といった士業の方々です。専門家であればだれでも会社設立作業のプロですが、経験のある方に頼むとより安心でしょう。
また、事務所の場所が近い専門家であれば、実際に会って話をしたり聞いたりしながら、設立を進めることができます。顔を見ながら話ができるというのは、右も左もよくわからない初心者とって非常に心強い、心の安心薬となるものです。安心感を重視する方は、顔の見えない相手に頼んで安く済ませるより、このメリットを取る方法もあります。
会社設立サイトを利用すればより低コストに

とにかくコストパフォーマンスを重視するなら、インターネット上で会社設立ができるサービスがおすすめ。サイトの運営には司法書士や行政書士といった会社設立のプロが大きく関わっているので、間違いが起こるということはまずありません。
流れにそって、ひとつひとつ指示が出され、それに従って進めば、簡単かつ確実に終点にたどり着きます。
また、会社設立サイトの多くは電子定款対応ですので、紙の定款作成にかかる4万円の印紙代も必要ありません。費用はだいたい1万円も見ておけば充分でしょう。法定費用20万2000円に1万円を足した21万2000円が、安心確実に会社(株式会社)設立ができる最安価格だと筆者は考えています。
実際に筆者も、お客様から会社設立を頼まれたときは、この会社設立サイトのひとつを利用しています。定款作成をイチから手作りでやるのは、効率が非常に悪くなってしまうもの。お客様に話を伺って、基本事項を確認後、会社設立サイトで定款と設立申請書を作って利用することで、時間・コストを節約しています。
お客様と会社設立サイトをつなぐ指南者としてのアドバイス料をいただいていますが、こんなふうに顧問税理士と、ネットの設立会社を利用するというのもいいかもしれません。
自分でやればまったく必要のない専門家への報酬ですが、ひとりでやるのは心細いもの。その点、相談相手がいるとスムーズに会社を設立できます。値段だけではなく、価格と安心感、両方を兼ね備えた設立方法を模索してみましょう。
会社設立と顧問依頼を同時にすると、よりお得
税理士事務所のホームページを見ると、会社設立手数料がゼロ、なかには、専門家手数料がゼロである上、法定経費の一部を負担してもらえるプランがある事務所も見受けられます。当然、赤字受注ですが、なぜこんなことができるのでしょう。
それは、会社を設立したあと、お客様に、顧問としてのお客様にもなってもらうことを目指したディスカウントプランになっているからです。当初は赤字でも、長期的にお客様から顧問料を回収することで採算がとれます。
お客様からみると裏があるように感じるかもしれません。しかし、会社設立後、会社を円滑に経営していくには、会計専門家とのお付き合いがどうしても必要になってくるのです。
会社設立の相談をしながら、顧問も頼んでもいいと思える税理士に出会えたら、専門家費用ゼロで会社が作れるうえに、顧問税理士もそのまま決めることができます。これは本業に集中したいお客様にとっても、十分メリットがあるのではないでしょうか。
無料の税理士紹介サービスを利用して、自身に会った税理士を探すのもひとつの方法です。会社設立の相談役と顧問税理士を一緒に探して、設立前から経費削減を意識してみてはいかがでしょう?
おわりに
会社設立費用の裏側は理解いただけたでしょうか。ひとりでも多くのみなさんが、安くて安心、そんな会社設立ができることを望んでおります。
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