親子間の贈与の際の注意点について
私は、2800万円の中古の建売住宅の購入を検討しています。
そこで、私の父が「ローンの金利がもったいないから、全額出しても良い」
「その代わり、35年返済の住宅ローンを借りる場合の、月々返済する額相当を返済していけばよい」と言っています。
父は今年で70歳なので、35年後は当然生きておらず、35年計画の借用書を作成しても父の遺産相続時に、税務調査が入った場合、税務署に贈与とみなされ数百万の贈与税を支払うことになるのが怖いので、父の要望を受け入れかねています。
そこで、中古住宅の購入資金を父に一括で出してもらい、月々6-7万円を返済し、父が亡くなったら返済が終了する場合、どのような制度を活用したほうがよろしいでしょうか。
住宅取得等資金の非課税枠や相続時精算課税制度、父の名義で購入し賃貸借契約を結ぶなど、多岐にわたるかと思いますが、ご教示願います。
ちなみに、私の姉も父に一括で2500万の住宅を購入してもらい、親子間で借用書を記入し、月々7万円返済しております。ですが、そのやり方だといつか贈与税を支払うのではないかと思います。
税理士の回答
ご質問ありがとうございます。
お父様からの援助はありがたいものの、
贈与税のことが心配になりますよね。
① シンプルな方法
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
贈与の関係を生じさせないシンプルな方法は、
お父様の名義で建物を購入することです。
お父様のお金で、お父様の建物を購入するため、
贈与税はかかりません。
ご質問者様がそこに住む場合、
賃料についてはある程度自由です。
ただ、お姉様とのバランスもあると思いますので、
家賃として使用料を月々お父様に支払うのが、
よろしいかと感じます。
この方法の場合、
お父様の相続が発生した時に、
建物はすべてお父様の相続財産として
相続税の課税対象となります。
② 持ち分を付ける方法
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
できるだけ相続税を抑えたいのであれば、
お父様の持ち分とご質問者様の持ち分を
購入する建物に付ける事もできます。
例えば、
・住宅取得投資金の非課税として500万円
・通常の非課税枠として110万円
を、贈与として受け取り、
610万円/2,800万円≒21%
を、ご質問者様の持ち分として設定すれば、
お父様の相続が発生した時に
課税される財産を減らすことができます。
なお、住宅取得投資金の非課税の特例を受けるには
各種要件を満たす必要がありますので
事前にしっかり確認されることをオススメします。
※ オススメできない相続時精算課税
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
相続時精算課税の制度は
”贈与税”が2,500万円控除されます。
贈与税だけ見ればコンパクトになるものの、
相続時に2,500万円の金額が
再計算の対象として持ち戻されますので、
ご注意いただければと思います。
上記①、②の方法でも建物の財産価格は
相続税の課税対象となります。
しかし、建物の価格は固定資産税の評価額を
ベースに計算するため、
購入金額よりもかなり安くなります。
お父様の全体の相続税を計算しないと
明確な損得はお伝えできませんが、
おそらく、相続時精算課税を適用すると
不利になると予想されます。
ご参考になれば幸いです。
本投稿は、2024年08月26日 09時36分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。