事業承継税制の対象
私は会社を3社経営しています。そろそろ息子たちに代替わりを検討していた際に、知人から事業承継税制というものの存在を教えてもらいました。
本格的に動く前に、下記のような状況でそもそも当社でも適用できるものなのか、事前に確認させていただきたくご相談させていただきました。
A社、B社、C社の代表は私で役員は息子たちが入っています。
株主構成は下記の通りです。
A社:私80%、B社10%、C社10%
B社:私10%、A社80%、C社10%
C社:私80%、A社10%、B社10%
A社とB社の代表を長男にしたうえで私の株式を長男に、
C社の代表を次男にしたうえで、私の株式を次男に贈与したいと思います。
この場合、長男と次男への贈与は事業承継税制の特例措置を
適用することは可能なのでしょうか?
資本金や従業員の要件は充足しています。
宜しくお願いします。
税理士の回答
ご質問頂いた件について、以下回答させて頂きます。
1、結論
A社(長男様へ贈与):適用の可能性あり
C社(次男様へ贈与):適用の可能性あり
B社(長男様へ贈与):現状のままでは適用不可
2、B社が適用不可となる理由
特例措置の要件として、贈与直前において、現社長が同族グループ(親族や関連会社等)の中で「筆頭株主」である必要があります。
B社の株主構成は「A社80%、社長10%、C社10%」です。
事業承継税制上、社長が支配するA社やC社は社長の「同族グループ」とみなされます。
このグループ内で最も多くB社株式を保有しているのはA社(80%)であり、社長個人(10%)は筆頭株主ではありません。
したがって、筆頭株主ではない社長個人のB社株式を贈与する際には、特例を適用できません。
【B社株式の現実的な対応策】
A社株式(80%)を長男様に承継(特例適用)すれば、長男様はA社を通じてB社の経営権も実質的に掌握します。そのため、社長がお持ちの残り10%のB社株式は、無理に特例を狙わず、通常の暦年贈与や相続時精算課税制度等を使って引き継ぐのが現実的です。
3. 最大のリスク「資産管理会社」について
今回のケースで最も懸念されるのが「資産管理会社」への該当リスクです。
事業承継税制は、原則として資産管理会社(資産保有型・運用型会社)には適用できません。
今回のように3社間で株式を持ち合っていると、会社の貸借対照表上の「有価証券」の割合が高くなります。
現預金や他社株式等の特定資産が総資産の70%以上を占めると「資産保有型会社」に該当してしまい、A社やC社であっても特例が一切使えなくなる危険性があります。
(従業員5名以上等の実態要件を満たせば例外的に適用できるケースもありますが、判定は非常に厳格です。)
4. 今後の進め方
本格的な手続きを進める前に、まずは以下の2点から着手することをお勧めいたします。
●各社の株価算定: 現在の企業価値を算定し、通常の贈与税額の試算
●資産管理会社の判定: 各社の決算書をもとに、資産保有型会社に該当するリスクがないかのシミュレーション
回答は以上となります。
ご参考になりましたら幸いです。
本投稿は、2026年08月17日 13時42分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。







