【会計の基礎知識】記帳や仕訳とは?損益計算書・貸借対照表はどう作られるのか

フリーランス(個人事業主)として活動を始めたけれど、「経理のことは全く分からない・・」「記帳ってどうすればいいの?」このようなお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。そこで、このページでは、記帳や仕訳とは何か、損益計算書や貸借対照表は何のために必要で、どうやって作られるのかなど、会計の基礎知識を説明します。
目次
記帳とは?
会計でいう記帳とは、個人や法人がその事業活動の売上や経費などの取引を記録して帳簿を作成することを意味します。作成された帳簿は、毎年の決算や確定申告の基礎資料となるものです。
なお、2014年度の法改正により、すべての事業主が記帳を行い帳簿を保存することが義務化されました。このため、事業を行うすべての人にとって記帳は必須の業務といえます。
帳簿ってどんなものを作ればいいの?
ひとことで帳簿といっても、様々な種類の帳簿があります。どのような帳簿を作ればよいのか分からないという方も多いでしょう。そこで、主な帳簿について紹介します。
法定帳簿
「法定帳簿」とは、白色申告を行う個人事業主が保存を義務づけられているもので、収入や経費を記録した帳簿のことを意味します。事業を始めたばかりで、青色申告の事前申請の手続きをしていなければ、ここに記載する内容を参考に帳簿を作成してください。
実は、この場合の帳簿には、様式や種類について具体的には定められていません。収入金額や必要経費が記録されていれば自由に作成することができます。
このため、パソコンで作成しても手書きでノートに作成しても構いませんが、会計ソフトやEXCELなどで記録できるならその方が良いでしょう。
EXCELやノートで手作りするのであれば、確定申告を行う時などに余計な手間が出ることを防ぐためにも、国税庁サイトで紹介されている以下の様式例や記入方法を参考にしてみてください。

主要簿
以下の二つを「主要簿」と呼びます。青色申告で65万円の控除を受けるためには、これを作成して保存するなどの要件を満たす必要があります。
名称 | 内容 |
---|---|
仕訳帳 | すべての取引を仕訳して日付順に記録する帳簿 |
総勘定元帳 | 仕訳帳の内容を勘定科目ごとにまとめる帳簿 |
補助簿
以下で紹介する帳簿は、主要簿を補助するために用いられることから、主要簿と区別して「補助簿」と呼びます。補助簿には主要簿に記載しない取引の詳細を記載します。作成が必要な帳簿は業務内容によって異なります。
名称 | 内容 |
---|---|
現金出納帳 | 現金の取引と残高をまとめる帳簿 |
預金出納帳 | 預金上の取引と残高をまとめる帳簿 |
売掛帳 | 得意先ごとの売掛金の状況をまとめる帳簿 |
買掛帳 | 仕入先ごとの買掛金の状況をまとめる帳簿 |
経費帳 | 仕入以外の全経費をまとめる帳簿 |
固定資産台帳 | 減価償却する固定資産をまとめる帳簿 |
仕訳とは?
記帳や帳簿の概要を理解したら、次は仕訳について説明します。上述した主要簿や補助簿を作成するためにはこの仕訳を行う必要があります。
仕訳とは、取引のひとつひとつを「借方」と「貸方」に分けて帳簿に記録することです。例えば業務用デスクを現金3万円で購入した場合を例に仕訳すると以下のようになります。
借方 | 貸方 |
---|---|
消耗品 30,000円 | 現金 30,000円 |
この取引は「業務用デスクを手に入れた」ことと「現金3万円を支払った」ことの2つに分けることができます。資産などが増加した場合を借方、逆に資産などが減少した場合を貸方とします。
また、業務用デスクを消耗品と記載していますが、これは誰が仕訳を行っても同じになるように性質の類似した取引をグルーピングした共通の名称を使います。これを勘定科目といいます。
このように考え記録することが仕訳です。
- 仕訳とは?基礎知識や代表的な6つのパターンの記帳方法を解説
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- 勘定科目とは?基礎知識や決めるときのポイント、迷いがちな勘定科目の処理方法まで
- 仕訳の鬼門!事業主借・事業主貸を理解しよう
損益計算書や貸借対照表って何?
ここまでご説明してきた、取引を仕訳して帳簿に記帳することを、簿記といいます。この簿記によってできた帳簿を元に「貸借対照表」と「損益計算書」をいう書類を作成することができます。
この「貸借対照表」と「損益計算書」は事業の経営状況を表し、法人の決算や個人事業主の青色申告で必要な書類となり、資金調達などでも求められます。
貸借対照表とは?
貸借対照表とは、会社の財政状況を表す資料で、バランスシートやB/Sとも呼ばれるものです。会社の現金・売掛金(資産)や買掛金・未払金(負債)、財産と借金の差分(純資産)がどれくらいあるのかを見るために用いられるものです。
損益計算書とは?
損益計算書とは、特定の期間の経営成績を表す資料で、P/Lとも呼ばれるものです。売上・費用・利益がどれくらいあったかという会社の状況を見るために用いられるものです。

おわりに
記帳や仕訳など会計の基礎についてご理解いただけたでしょうか。記帳は事業を行う場合には必須のことですが、慣れない人にとっては、手間や時間がかかるものです。
ここに時間がかかりすぎて、事業の成長に費やす時間が取れなくなるのは問題でしょう。そうならないためにも、会計ソフトや記帳代行サービスを活用したり、専門家である税理士に相談してみることを検討されてはいかがでしょうか。
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