ものを見ただけで一時所得は増える?
意図的でなくとも、動画サイトやSNSで本来は有償である著作物の一部または全部が著作権侵害の形で配信、公開されているものや海賊版を気づかずに目にしてしまった場合
「(2)及び(3)以外の用役の提供を無償又は低い 対価で受けた場合におけるその用役について通常支払うべき対価の額又はその通常支払うべき対価の額と実際に支払う対価の額との差額に相当する利益」
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/05/02.htm
国税庁HPより
に該当し経済的利益を得たということで1次所得が増える可能性はありますか?
例えば市場価格が3000円のCDもしくは漫画の一部または全部は不法に公開されている場合、3000円の一時所得は生じますか?
税理士の回答
平仁先生お忙しい中ご回答いただき誠にありがとうございます。
よろしければその理由をお伺いしても宜しいでしょうか?
論文なので絶対的根拠とは言えませんが、以下の論文の2ページに、経済的利益に対する権利の確定の意味として、当該経済的利益の支配、が挙げられています。見ただけで保存のできない経済的利益は支配できないため、感覚的に所得該当性が成立しないものと考えます。
ありがとうございます。
1)仮にスクリーンショットなどをして保存したとしたら支配できたとして所得に該当するのでしょうか?
2)この論文における「支配型」ではない「権利獲得主義」においてもこれは所得に該当しないのでしょうか?
3)「現金主義」は排除するとされていますが、これは役務・サービスの提供のように現金の形をとらない利益にも課税されるということではないのでしょうか?
誰かに食事代や払ってもらった、何らかの伝手やコネを使い映画館で映画を無料で見せてもらったとしたら直接現金の授受が無くても課税されますよね?(この場合は贈与税になると思われますが) これは支配出来ていないと思われるのですがどうなのでしょうか?またGO TOトラベルの割引のように現金の形をとらないサービス・役務の割引、無償での提供も一時所得の対象となっています。
これに鑑みれば今回の事例もサービスの無償での提供として一時所得にはならないのでしょうか?
色々と質問してしまい申し訳ございません。
自分が気づかないだけで何か現金以外の申告漏れがあって積み重なったら大きな金額になるのではと不安でして...
友達の家で友達が所有しているDVDや書籍、ゲーム機を無料で視聴、プレイした場合なども同様に経済的利益にならないという理解で宜しいのでしょうか?
全てを厳密にやるのであれば、あらゆる経済的利益に課税しなければ、理屈に合わないですよ。それでは国民生活が成り立たないし、税務職員を100倍採用するなど、税務行政だけで膨大な予算にならざるをえない、非現実的なので、支配型の経済的利益に課税するものを限定してきた、と言えるのですね。ただ、社会の変化に応じて、経済的利益の捉え方にも変化がでてきているわけです。
そこまでやるなら、ご自分で研究して下さい。研究者たちがほとんど研究していない分野だ、ということでご理解下さい。僕は金子宏ではないので。
食事を奢ってもらったものを食べるかどうかの選択権は貴方自身にありますね。映画という商業施設の利用を選択していますよね。gotoトラベルも旅行をしていますよね。そういう処分権等の支配権の移転があるわけです。ですので、スクショ等で違法ダウンロードの作品の支配権を移転させていれば、課税の可能性はゼロではないです。
しかし、税務署の処理能力からみて、違法ダウンロード先のデータまで追えるとは考えられないし、警察ができたとしても、警察が持っている情報を警察以外に提供することは公務員の守秘義務の観点からあり得ないです。だから、趣味レベルでしか見ていない状況で課税されることは考えにくいのです。
ありがとうございます。
実務上把握が困難という事情は分かりました。
ただ現在の税制が納税者の自主的申告が前提の制度である以上、全ての経済的利益を漏らすことなく申告する義務が納税者にはあって税務署が把握できるとは別だと個人的には思っていたのです。
やはりそれでも税務署側の負担は重くなってしまうということなのでしょうか?
あとすみません、正規の視聴であってもアニメやドラマには市場では有償の曲がOPやEDとして流れていますが、先生のご説明通りそれを見ただけ、もしくは録画など保存しても所得、一時所得は増えないという理解で大丈夫でしょうか?
本当にすみません、心配症なもので....
地名や写真などの文献を見ただけでそこに行った費用分の経済的利益がかかる(例 ニューヨークという地名に関して文献や写真を見る、もしくは読んだ文献中にニューヨークという文字がある→実際に費用を負担して行ってないのにも関わらずその場所に関する知識を得た、すなわち経済的利益を得たとして自分の現在地からNYに実際に行くまでの最短費用分が所得として課税 すなわち自分の現在地以外の場所や外国について知識を得たり勉強をしただけで課税)ということにはならないですよね?
これ以上はご迷惑をおかけしてしまうので、これで最後の質問にします。
回答していただけると本当に助かります。
そうですよね....
ちなみにそれは元から一切所得の勘定の対象にならないのか、
それとも定義上所得の対象になりうるけど一時所得の50万円分の控除内で普通は収まるから申告しなくて良い(=常識の枠を越えてやり過ぎたら、見過ぎたら、勉強し過ぎたら積み重なって50万の枠を越えて課税されてしまう?)のかどっちなのでしょうか?
先程のダウンロードによる所有権移転の話のように実務上把握は困難で課税はされてないけど、定義上は課税所得になりうるというケースの場合どう対応すれば良いのか悩んでいます。
実務上課税されてない以上申告しなくて良いと言えばそれまでなのですが、申告納税制度の理念に照らしてそれで正確な申告をする納税者の責務、納税の義務を果たしたと言えるのだろうかと不安になります....
でもこんな訳の分からないこと申告したって税務署の人を困らせてしまうだけですよね... 私の社会生活だって成り立たなくなるだろうし...
うーんどうしたら良いんでしょう。
理論と実務の話は違うのだから理論上の完璧を求めすぎない方が良いのでしょうか。
最後の質問って言ったのにまた質問してしまい本当に申し訳ないです。
気が向いたら回答していただけると凄く嬉しいです。
理論上の完璧を求める意味はありません。故金子宏先生のお名前を出しましたが、東大名誉教授を務めた天才にも答えを出せない理論で、完璧を求めるなら貴方が租税法学の権威になるしかないから。
ありがとうございます。
これまでのまとめとしては私がこれまでに挙げた経済的利益の事例は、定義上当てはまるか否かに関係なく非課税とみなしてしまって完全に問題ないということなのでしょうか?
前に古本屋で通常の価格より安く買うと課税される可能性はあるが「通常の範囲内」なら問題ないという投稿が別の質問であったのですが、通常の範囲内を超えたら課税されるのか、それはどこまでなのか。専門家のように数百、数千冊買うと課税されるのかと余計に不安になってしまいました。
上記で挙げた事例は全て通常の範囲内とか縛りや限定無しにどれだけしようが一切非課税と結論付けて良いですか?
所有権の移転という話で言えば貰った紙の資料やダウンロードで入手した画像やファイル、データには所得としての価値を見なせると思うのですが、それもやはり非課税なのでしょうか?
何というか何か意識しない内に勝手に一時所得のカウントが増えてるんじゃないかという不安感があってビクビクしていたのですが、税務署も把握が不可能な以上カウントにすら入らないと思ってしまって良いのでしょうか?
上記の事例というのは定義上所得に当てはまる可能性があるとおっしゃられたダウンロード、保存の話も含めてです。
完全に、は無理です。貴方が税法の大家として金子2世と呼ばれても無理です。
少なくとも僕の経験と研究の成果として、課税されないです、としか言えません。
税法の大谷翔平の100人力でも無理なことを言われても対応できません。
分かりました。
このような返答が難しいであろう質問に何度も丁寧に応えていただき本当にありがとうございました。感謝に堪えません。
尚念の為ですが、この質問で挙げた違法行為については実際に私がやったことではなくあくまで単なる例示としてご理解いただければ幸いです。極度の心配症なので今やっていなくてもいつか気づかずに手を染めてしまうのではないか、と不安だったのです。
例え話であっても違法行為についての内容である以上中々税務署などの公的機関に聞けるものではなくずっともやもやしていました。先生のご助力で疑問が氷解しすっきりしました。
自分が気づかずに脱税しているのではないかという不安があり、何かテレビやアニメを普通に見ているだけでも一時所得が増えるのではないか、動画サイトでMAD動画を見るだけで一時所得が増えるのではないか、皆が支払っていないのは50万円の範囲に留まっているだけで実はカウントとしては増えているのではないかと不安でたまらなかったのですが、かなり解消され心が楽になれました。
正直今でも学費の減免措置を受ければ減免された金額が経済的利益になるのではなど不安に思うことは多々あるのですが、あまり気にしないことにします。
経済的利益に関しては実務上や国民生活への影響上完全な把握は困難とのことなので、自分にとっての完璧を目指すのではなく、他の大多数の人と同じように出来る範囲で正確に申告し税務署からミスなどの指摘があれば迅速かつ誠実に対応するというスタンスでいきたいと思います。
「税法の大谷翔平の100人力でも無理」という先生のお言葉に少し救われた気がします。
私は一般人の分際で大谷選手並に完璧になることを自分に課してしまっていたのだと思います。肩の力を楽にしたいです。
重ね重ねですが、お忙しい中私の質問にご返信くださり誠にありがとうございました。季節の変わり目ですがどうかお身体をご自愛ください。お元気で。
これで質問を終えます。
色々とご迷惑をおかけしてしまい大変申し訳ございませんでした。
本当にすみません
どうしても気になることがあって再度質問させていただきます。
前に「条文で非課税と明記されていない限り全ての経済的利益が課税される」と聞いたことがあるのですが、これもやはり理論上の話で実務上は無理がある(厳密にあらゆる経済的利益全てを申告しなくても良い)ということなのでしょうか?
後実家暮らしの社会人は一人暮らしの社会人よりも食費などの生活費や家賃を節約できますが、その分得た利益も課税されないということで良いですか?
何GBのデータをダウンロードしたら一時所得とかそういうのもないですよね?
新年度でお忙しい時期に申し訳ございません。
もしお時間等ございましたらご回答いただけますと嬉しいです。
本投稿は、2023年03月16日 12時31分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。