個人事業主の突発的な収入増への対応について
個人事業主でコンサルタントをしております。専属的にサポートしているため現在のクライアント(収入源)はこの1社のみです。複数年の業務委託契約を結んでいますが、クライアント都合により今年いっぱいで中途解約される可能性があります。その場合、契約内容に基づき私には違約金が支払われますが、契約残期間が結構あるため約1年分の報酬額を受け取ることになります。解約金が12月末に支払われると、今年だけ収入が2倍近くになり、逆に来年以降の収入見込が立たない状況になります。私の場合、平均課税制度など何らかの処置で納税額調整をすることは可能でしょうか?何卒よろしくお願い申し上げます。
税理士の回答

土師弘之
一時的に収入が増えた場合には、「平均課税制度」が利用できる場合があります。
この「平均課税制度」が利用できる条件は2つあります。
①対象となる所得が変動所得か臨時所得であること
②変動所得と臨時所得の合計額がその年分の他の所得を含めた総所得の20%以上であること
ここで「変動所得」とは、事業所得または雑所得のうち、自然現象やさまざまな事情により、年々の所得が大幅に変動する所得を指します。具体的には以下の通りです。
・漁獲もしくはのりの採取による所得
・はまち、まだい、ひらめ、かき、うなぎ、ほたて貝、真珠の養殖から生ずる所得
・原稿、作曲の報酬による所得
・著作権の使用料による所得
変動所得の内容は法律で定められていっるので、上記以外は変動所得にはなりません。また、これらの変動所得であっても、実際に急な変動がないと認められません。その年の変動所得が前々年と前年の平均を超えている必要があります。
一方、「臨時所得」とは、事業所得、雑所得、不動産所得のうち、数年分の収入が一括して支払われる所得のことです。たとえば、次のものが該当します。
・プロ野球選手などの契約金で報酬の2年分以上であるもの
・土地や建物を3年以上貸し付ける場合の対価。礼金、返還不要の敷金、権利金など
・公共事業の事業所得の保証金など
臨時所得は法令で例示されているのみで、その所得が臨時所得に該当するかどうかは判断しづらい部分があります。
「変動所得」には該当しないものの、「臨時所得」に該当する可能性は否定できません。そのため、該当するかどうかは具体的な資料を基に、一度税務署に相談してみる必要があります。
先生
大変参考になりました。臨時所得の方向で一度、税務署に相談してみます。ありがとうございました。
本投稿は、2021年11月21日 08時24分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。