決算直前の3ヶ月間のみ役員報酬を増額することの税務上の問題につきまして
■状況:マイクロ法人の代表取締役で、現在の役員報酬は 月7.5万円で定額です。
業務量などの関係から、来期の最終3か月(10月〜12月)だけ役員報酬を一時的に増額し、翌期には再び元の金額に戻すことを検討しています。
結果的に途中で役員報酬の額が変わることになるので、増額分については損金算入をあえて行わない(経費化しない)選択肢も考えています。
■ ご相談したいポイント
「期末の3か月のみ役員報酬を大きく増額し、翌期すぐ元に戻す」こと自体の税務上のリスクはありますか?
・定期同額給与の原則には形式上従っていることになるか不明で、税務調査で「不自然な操作ではないか」と指摘される可能性があるのか懸念しています。
・増額分を「損金不算入(=経費にしない)」として扱えば、安全性は高まりますか?
・増額目的が節税ではないことを示すために損金算入しない方が良いのか、あるいは逆に「経費に入れない」という運用が不自然と見なされるのか、判断がつきません。
・上記のような「短期だけ役員報酬を上げる」ケースは、実務上どの程度行われているものですか?
税務署の見解やリスクについて、一般的な実務感を教えていただければ幸いです。
税理士の回答
中野里美
定期同額給与は、「その事業年度の各支給時期における支給額が同額」であることが要件となります。
事業年度開始から10~12ヶ月目の役員報酬を増額した場合、その増額部分は会計上の経費にはなりますが、法人税法上の損金にはなりません。
※経費にならないことと、損金にならないことは、イコールではありません。
この場合、実際に増額させた報酬を支払っているので、会計はその金額に基づいて役員報酬を計上、個人の所得税も増額後の金額で計算しますが、法人税の計算時にはこの増額分はなかったものとして別表調整を行います。
報酬を増額してもしなくても、法人税の納税額は変わりません。
つまり、節税には何の関係もありません。
役員報酬の損金不算入の別表調整を行っているのであれば、特に問題はないと思われます。
なお、実務上、よほどの理由がない限り、定期同額給与に該当しない報酬の支給はされないと思われます。(法人側にも個人側にもデメリットしかないため)
本投稿は、2025年12月07日 11時42分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。






