クラウドソーシングの確定申告はどうなる?知っておくべき基礎知識まとめ

クラウドソーシングサービスの普及により「クラウドワーカー」という働き方の概念が定着しつつあります。こうしたクラウドワーカーは、成果物を納品することで、取引先であるクライアントから報酬を受け取ります。この報酬はもちろん確定申告の対象です。そこで、クラウドソーシングにおける確定申告のポイントについて確認しましょう。
目次
クラウドソーシングとは?
クラウドソーシングとはインターネットなどを通じて「不特定多数」の働き手に仕事を依頼することを指します。似た用語にアウトソーシングとありますが、こちらは「特定」の働き手や会社に依頼する点で違いがあります。
クラウドソーシングで扱われている仕事は、ホームページ制作やアプリケーション開発など多岐にわたります。これらをクラウドソーシング専用のWEBサイトが仲介し、受注者と発注者のマッチングを行っています。
クラウドソーシングの流れ
クラウドソーシングの取引形態にはいくつかの種類があります。たとえば「コンペ方式」や「プロジェクト方式」、「タスク方式」などです。いずれの方式も基本は以下のような流れになっています。
- 発注主(依頼主)から依頼内容が提示される
- 発注者・受注者間で契約を締結する
- 受注者が成果物を作成・納品する
- 受注者が報酬を受け取る
クラウドソーシングでは納品や完了報告の後、報酬のやり取りを終えた時点で一般的には契約終了となります。報酬額や報酬形態はあらかじめ契約によって決められており、その通りに支払いが行われます。
クラウドソーシングの報酬額とシステム手数料
クラウドソーシングサービスを利用するにあたり、発注者も受注者もシステム手数料を支払う場合があります。ここでは受注者側に限定し、報酬制度とシステム手数料を解説します。
報酬額について
報酬額とはプロジェクト等の完了によって発生した「売上」のことです。なお、報酬額は発注者・受注者間で取り決めるので、一概にいくらとは言えません。
仮に契約金額が10万円だったとして、無事にプロジェクトを終えたら10万円が売上になります。
システム手数料について
システム手数料とはクラウドソーシングの専用サイトを使うための「費用」です。サイトによって手数料発生の有無や料金に違いがあり、例えば以下のように決まっています。
- 契約金額が10万円以下の部分:報酬額の20%
- 契約金額が10万円超20万円以下の部分:報酬額の10%
- 契約金額が20万円超の部分:報酬額の5%
つまり、契約金額が10万円だったと仮定すると、受注者へ実際に振り込まれるお金は8万円となるのです。
源泉徴収について
クラウドソーシングを利用するにあたり、源泉徴収されるケースもあるようです。
これに関しては、「発注者が源泉徴収義務者に該当するか」や「源泉徴収の必要な支払に該当するか」などによって決まります。仮に源泉徴収が発生しているとすれば、システム手数料を差し引く前の報酬総額に対して源泉徴収税が計算されます。
クラウドソーシングの確定申告手続き
報酬額が発生している以上、基本的にはクラウドソーシングでも確定申告が必要になります。そこでクラウドソーシングにおける確定申告手続きについて確認しましょう。
所得金額を算出する
まず所得金額を計算することから始めます。クラウドソーシングによって発生した所得のほとんどは「事業所得」または「雑所得」になります。いずれの所得においても、以下のとおりに算出します。
- 所得金額 = 総収入金額 - 必要経費
クラウドワーカーに当てはめると「売上」が総収入金額に当てはまり、「システム手数料」などが必要経費に当てはまります。この計算式に当てはめて所得金額を算出します。
- 経費で落とせる費用とは?必要経費として認められる基準を解説
- 事業所得と雑所得の違いは?会社員の副業収入はどちらで確定申告を行うべき?
- 【会計の基礎知識】売上・経費・所得・控除とは?「所得税の計算」から税金の決まる仕組みを理解しよう!
申告納税額を算出する
続いては所得税額を計算します。所得税額の計算方法は、下記のとおりです。
- 所得税額 = (所得金額 - 所得控除額) × 所得税率
所得税額の計算方法はクラウドソーシングでも同じです。社会保険料控除や生命保険料控除があるなら、それらが所得控除額となるため、所得金額から差し引きます。そのうえで所得税率を乗じて所得税額を算出します。
所得税額から税額控除を差し引いた「基準所得税額」に、「復興特別所得税(基準所得税額 × 2.1%)」を足した金額が「申告納税額」となります。
納付額または還付額を算出する
最後に納付額または還付額を計算します。計算方法は以下のとおりです。
- 納付額(還付額) = 申告納税額 - 源泉徴収税額
クラウドワーカーの場合は、源泉徴収税額が発生しているかは契約などによって異なります。契約内容や報酬内容を確認して、源泉徴収額が発生しているかどうかを確認する必要があります。
税務署に申告書等を提出・郵送する
「支払調書」や「帳簿等」を元に確定申告書を作成したら、所轄する税務署に確定申告書などを提出または郵送し、所得税の納税・還付をします。これにて確定申告手続きが完了します。
クラウドワーカーは支払調書をもらえるのか?
支払調書は報酬を支払うもの(発注者)が、一定の場合に税務署に対して提出する義務は負っています。しかし、受注者に対しては提出する義務はありません。
そのため、クラウドワーカーが支払調書をもらえるかは、発注者によって異なります。支払調書を発行してもらえるのかについては、発注者に問い合わせてみるといいでしょう。
おわりに
クラウドワーカーの中にはシステム手数料と源泉徴収税額を混同している人もいるようですが、これらは別物です。
間違いなく確定申告をするために、クラウドソーシングサービスの報酬制度や費用の仕組みを知って正しい認識を持つようにしましょう。
確定申告について疑問や不安があれば、税務署に問い合わせたり、税理士に税務相談ができる「みんなの税務相談」を活用するなどしましょう。
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