事業所得と給与所得が両方ある場合。扶養や所得税についてお伺いしたいです
私は個人事業主(業務委託契約)と普通のアルバイト(雇用契約)をかけ持ちしています。
基礎控除の他、
・障害者控除(精神3級手帳あり)
・家内労働者等の必要経費の特例
が適用されます(国税局に確認済)。
①事業所得90万、経費0、給与所得10万
②事業所得110万、経費0、給与所得20万
それぞれの場合において、所得税がかかるかどうか、親の扶養から外れるのかどうか教えてください。
それぞれについて、計算式や、どの所得(額面?振り込まれた額?みなし経費を引いた後の所得?控除を引いた後の所得?)を計算に使うのかも一緒に教えていただけるとありがたいです。
また別の質問となりますが、業務委託契約をする場合は必ず開業届を出さないといけませんか?
5年以上業務委託で働いていますが開業届を出したこともなければ確定申告をしたこともありません。
業務委託契約では103万ではなく48万を超えると申告しないといけなかったのを知らずにずっと働いていたため、これから過去5年分の期限後確定申告をしようと考えています。
もし親の扶養から外れる場合、親は親で過去分を修正申告しないといけませんよね?(親が私のことを扶養親族と申告していた場合)
あと健康保険証がずっと親の保険の被保険者証なのですがこれもまずいですか?
税理士の回答

石割由紀人
①事業所得90万円、給与所得10万円の場合
事業所得: 90万円
給与所得: 10万円
合計所得: 90万円 + 10万円 = 100万円
課税所得は次のように計算します:
基礎控除: 48万円
障害者控除: 27万円(精神3級の場合)
家内労働者等の必要経費の特例: 65万円(給与所得に対する控除)
課税所得 = 合計所得 - 基礎控除 - 障害者控除 - 必要経費の特例
課税所得 = 100万円 - 48万円 - 27万円 - 65万円 = -40万円
課税所得が0以下なので、所得税はかかりません。この場合、親の扶養に残ることができます。

石割由紀人
②事業所得110万円、給与所得20万円の場合
事業所得: 110万円
給与所得: 20万円
合計所得: 110万円 + 20万円 = 130万円
課税所得は次のように計算します:
基礎控除: 48万円
障害者控除: 27万円
家内労働者等の必要経費の特例: 65万円
課税所得 = 合計所得 - 基礎控除 - 障害者控除 - 必要経費の特例
課税所得 = 130万円 - 48万円 - 27万円 - 65万円 = -10万円
課税所得が0以下なので、所得税はかかりません。この場合も、親の扶養に残ることができます。

石割由紀人
業務委託契約であっても、開業届を提出することが推奨されます。これにより、税務上の地位が明確になり、適切な税務処理が行いやすくなります。確定申告も必要です。過去5年間の所得についても、遅れてでも確定申告を行うことが重要です。

石割由紀人
親が扶養控除を申請していた場合、親は修正申告を行う必要があります。扶養控除が適用されていた場合、過去に遡って親が税務署に修正申告をすることで、正しい税務処理がされます。

石割由紀人
親の保険証を使い続けることは問題です。扶養から外れる場合、健康保険の変更が必要になります。新しい保険の加入手続きが必要ですので、早めに対応することをお勧めします。
石割さま
ご回答ありがとうございます。
追加でいくつか質問です。お手数お掛けしますがご返信いただけますと大変助かります。
・家内労働者等の必要経費の特例は令和2年分以降は最大55万円ではなかったでしょうか?回答に65万と記載されているので気になりました。
・家内労働者等の必要経費の特例は経費を最大55万とみなしてよく、給与所得もある場合は事業所得=収入-(55万-給与所得)なので(質問後調べました)、
①の場合の事業所得は収入そのまま90万ではなく、90万-(55万-10万)=45万 ということになるのでしょうか?
・家内労働者等の必要経費の特例を適用した場合、給与所得控除は併用できないということですか?
・親の扶養に入れるかどうかというのは、合計所得ではなく課税所得で判断するということでしょうか?
・どちらの場合も親の扶養に残れるならば、親は扶養控除に関して修正申告を行わなくて良く、保険証もそのままで良いということでしょうか?
・もう5年半はこの仕事をしていますが、開業届はどのタイミングで出せば良いでしょうか?今すぐ?来年の確定申告の時期?
・少し話題がずれますが、私の場合確定申告以外に年末調整も自分ですべきなのでしょうか?
個人事業主が本業でアルバイトが副業の場合の事例が調べても全く出てこなかったため、疑問点が多くなってしまいました。
よろしくお願いいたします。

石割由紀人
家内労働者等の必要経費の特例は令和2年分以降は最大55万円ではなかったでしょうか?回答に65万と記載されているので気になりました。
↓
失礼しました55万円の間違えです。
ご指摘ありがとうございました。

石割由紀人
少し話題がずれますが、私の場合確定申告以外に年末調整も自分ですべきなのでしょうか?
↓
年末調整は不要でございます。

石割由紀人
家内労働者等の必要経費の特例を適用した場合、給与所得控除は併用できないということですか?
↓
そのとおりです。
ご返信ありがとうございます。
明瞭なご回答で助かります。
もしお時間あれば残り4つの質問にもお答えいただけますと非常に助かります。よろしくお願いいたします。

石割由紀人
・親の扶養に入れるかどうかというのは、合計所得ではなく課税所得で判断するということでしょうか?
↓
親の扶養に入れるかどうかは、子供の合計所得で判断されます。

石割由紀人
もう5年半はこの仕事をしていますが、開業届はどのタイミングで出せば良いでしょうか?今すぐ?来年の確定申告の時期?
↓
個人事業を5年半続けていて、まだ開業届を提出していない場合、以下の点を考慮すると良いでしょう。
1. 開業届の提出タイミング
早めに提出することが望ましいです。法律上、開業から1ヶ月以内に税務署に開業届を提出することが求められていますが、まだ提出していない場合は早めに対応するのが良いでしょう。開業届を提出することで、事業を正式に開始したことが税務署に認識され、今後の確定申告や税務手続きがスムーズになります。
2. 白色申告のままで良いか?
白色申告でも確定申告は可能ですが、青色申告の方が65万円の控除が受けられるなど、節税効果があります。また、損失の繰越控除や、家族従業員への給与の経費算入が可能になるなど、青色申告には多くのメリットがあります。
もし青色申告を検討しているのであれば、開業届と同時に青色申告承認申請書を提出することをおすすめします。青色申告を適用するためには、事業開始から2ヶ月以内に申請する必要があるため、今後の税制上のメリットを享受するためにも、早めに申請することが有利です。
3. 来年の確定申告時期に提出するべきか?
確定申告時期まで待つ必要はなく、すぐに開業届を提出する方が良いでしょう。早めに提出することで、事業に関する経費の計上や、税務署からの指導や助言を受けやすくなります。

石割由紀人
親の扶養に残れることを前提とすれば、親は扶養控除に関して修正申告を行わなくてよく、保険証もそのままで良いということになります。
お早い回答ありがとうございます。
税務署に期限後申告と併せて開業届について相談してみようと思います。
度々すみません、追加で質問です。
・青色申告の65万の控除は、家内労働者等の必要経費の特例や障害者控除と併用できますか?
今後収入が増えるとすれば青色申告にしようかと思うのですが、書類を作るのが複雑と聞き迷っています。
・扶養について、合計所得で判断するということは、例えば①の場合ですと事業所得45万(90万-(みなし経費55万-10万))+給与所得10万=55万になるのでしょうか?各控除を引く前の額ということですよね?この辺の計算がよく分かりません。
また個人事業主とアルバイトの掛け持ちの場合、合計所得が何円未満だと親の扶養に入れるのでしょうか?

石割由紀人
事業所得: 90万円 - 55万円(家内労働者等の必要経費の特例) = 35万円
給与所得: 10万円 - 55万円(給与所得控除) = 0円
合計所得: 35万円
所得控除:
基礎控除: 48万円
障害者控除: 27万円
合計: 75万円
課税所得: 35万円 - 75万円 = -40万円 (0円未満のため課税されない)
扶養について:
質問者は親の扶養から外れる必要はありません。扶養の判断は合計所得金額で行い、この場合は35万円となります。一般的に48万円以下であれば扶養に入ることができます。
青色申告について:
青色申告の65万円の控除は、家内労働者等の必要経費の特例や障害者控除と併用できます。ただし、複式簿記による記帳など、より詳細な経理が必要になります。
扶養の計算について:
合計所得の計算は、各所得から必要経費を引いた後の金額を使用します。質問者の計算例は正確ではありません。正しくは:
事業所得: 90万円 - 55万円(みなし経費) = 35万円
給与所得: 10万円 - 55万円(給与所得控除) = 0円
合計所得: 35万円 + 0円 = 35万円
個人事業主とアルバイトの掛け持ちの場合の扶養基準:
一般的に合計所得金額が48万円未満であれば親の扶養に入れます。ただし、給与収入のみの場合は103万円以下となります。事業所得がある場合は、必要経費を差し引いた後の所得金額で判断されます。
ありがとうございます。
先の返信で必要経費の特例が適用の場合は給与所得控除は適用されないと仰っていたと思うのですが、最新の返信での給与所得の計算では給与所得控除が適用になっていますがどちらが正しいのでしょうか??

石割由紀人
大変失礼しました。表現が不適切でした。お詫び申し上げます。
「家内労働者等の必要経費の特例」と「給与所得控除」は、一定の条件下で部分的に併用可能ですが、完全な併用はできません。
併用の条件と方法:
a. 給与収入が55万円未満の場合のみ併用可能です。
b. 給与所得には通常の給与所得控除が適用されます。
c. 家内労働等の所得(事業所得または雑所得)には、以下の計算で高い方を必要経費とします:
・ 55万円から給与収入金額を差し引いた残額
・ 事業所得や雑所得の実際にかかった経費
併用の制限:
給与収入が55万円以上ある場合、家内労働者等の必要経費の特例は適用できません。
給与所得控除と家内労働者等の必要経費の特例を合わせて55万円を超えることはできません。

石割由紀人
法的根拠
(給与所得)
所得税法第二十八条 給与所得とは、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与(以下この条において「給与等」という。)に係る所得をいう。
2 給与所得の金額は、その年中の給与等の収入金額から給与所得控除額を控除した残額とする。
3 前項に規定する給与所得控除額は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額とする。
一 前項に規定する収入金額が百八十万円以下である場合 当該収入金額の百分の四十に相当する金額から十万円を控除した残額(当該残額が五十五万円に満たない場合には、五十五万円)
二 前項に規定する収入金額が百八十万円を超え三百六十万円以下である場合 六十二万円と当該収入金額から百八十万円を控除した金額の百分の三十に相当する金額との合計額
三 前項に規定する収入金額が三百六十万円を超え六百六十万円以下である場合 百十六万円と当該収入金額から三百六十万円を控除した金額の百分の二十に相当する金額との合計額
四 前項に規定する収入金額が六百六十万円を超え八百五十万円以下である場合 百七十六万円と当該収入金額から六百六十万円を控除した金額の百分の十に相当する金額との合計額
五 前項に規定する収入金額が八百五十万円を超える場合 百九十五万円
4 その年中の給与等の収入金額が六百六十万円未満である場合には、当該給与等に係る給与所得の金額は、前二項の規定にかかわらず、当該収入金額を別表第五の給与等の金額として、同表により当該金額に応じて求めた同表の給与所得控除後の給与等の金額に相当する金額とする。
(家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例)
租税特別措置法第27条
家内労働法(昭和四十五年法律第六十号)第二条第二項に規定する家内労働者に該当する個人、外交員その他これらに類する者として政令で定める個人が事業所得又は雑所得を有する場合において、その年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額及び雑所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額の合計額が五十五万円(当該個人が給与所得を有する場合にあつては、五十五万円から所得税法第二十八条第二項に規定する給与所得控除額を控除した残額。以下この条において同じ。)に満たないときは、その年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入する金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入する金額は、所得税法第三十七条第一項及び第二編第二章第二節第四款第一目から第五目までの規定にかかわらず、五十五万円を政令で定めるところにより事業所得に係る金額と雑所得に係る金額とに区分をした場合の当該区分をしたそれぞれの金額とする。この場合において、当該それぞれの金額は、その年分の事業所得に係る総収入金額又は雑所得に係る総収入金額(同法第三十五条第三項に規定する公的年金等に係るものを除く。)を限度とする。
ありがとうございます。
つまり、私の①②どちらの場合も給与所得は55万未満のため、特例と給与所得控除は併用できる(万が一これを超えてしまうと特例の方は使えなくなる)という理解でよろしいでしょうか。
しかし、最後の「給与所得控除と家内労働者等の必要経費の特例を合わせて55万円を超えることはできません。」というのは、特例と控除が併用できることと矛盾するように思います。まず控除だけで55万になってしまいますので...
一旦この点は置いておいて、残りの気になる点を質問させてください。
ご回答の中で私が調べた内容といくつか異なる点があり気になるので確認なのですが...
事業所得は個人事業主の収入から経費を引いた額
合計所得は控除を引く前の金額
課税所得は合計所得から控除を引いた額
ですよね?
つまり①の場合だと、
55万円から給与収入金額を差し引いた残額=45万が経費として計上できる(実際の経費0万よりこちらの方が高いため)
個人事業主の収入90万-経費45万=事業所得45万、給与所得10万→合計所得55万
55万-給与所得控除55万-障害者控除27万=課税所得-27万
ということになるのではないでしょうか?
先程のご返信の計算だと、みなし経費に満額を計上している点と、合計所得を出す時点で控除を引かれている点が気になりました。
本投稿は、2024年08月30日 21時30分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。