妻の預金の一部が夫の収入によって維持形成されたものでも、妻から夫への預金移動は贈与にあたるか。
妻の預金の一部が夫の収入によって維持形成されたと捉えられるものでも、妻から夫への預金移動は贈与にあたるかアドバイスをいただきたいです。
現在、母の口座から父の口座へ500万円を移動し、父に500万円の一時払い終身保険を相続対策として契約させたいと思っているのですが、その預金移動が夫婦間の贈与にあたるか知りたいです。
状況は下記の通りです。
母の預金 3500万円
父の預金 400万円
父母ともに77歳、無職。
それぞれ別の高齢者住宅(賃貸)に入居
現役時代、父は自営業が中心。母は公務員で定年まで勤務。
母の預金 → 現役時代からの貯蓄、母の親から相続した遺産、自身の退職金等による貯金。年金収入があるが、現在母が入居している高齢者住宅の家賃や光熱費等の固定費、税金、社会保険料の支払いで使い切り増減はほぼ無し。
父の預金 → 所有する土地を時間貸駐車場会社に貸しており、そこからの賃料収入の蓄積と、年金収入等による貯金。現在は父が入居している高齢者住宅の家賃やその他の生活費、母の生活費(母自身の貯金から支出している家賃や固定費を以外のもの)、税金や社会保険料を支出しており、こちらも増減はほぼ無し。
父は精神疾患を患っており、父の銀行口座も母が管理している。
母は、父の口座に入金される賃料収入から、自身の毎月の生活費として約20万円を引き出しており、そのおかげで自身の預金3500万円は減らさずに維持できている形。少なくとも5年以上はこのような状態が継続している。
父名義の土地の多くは父が親から相続したものだが、一部母が購入し広げた部分がある。
以上から、感覚的には母の貯金3500万円の一部は、父の収入によって維持形成されたようにも感じるのですが、それでも母の口座から父の口座へ500万円を移動することは贈与とみなされ課税されるものなのでしょうか。
移動のタイミングや規模によっては課税されないなどもあれば、アドバイスいただけるとありがたいです。(暦年贈与110万円の非課税枠は承知しています。)
よろしくお願いいたします。
税理士の回答
下記回答いたします。
以上から、感覚的には母の貯金3500万円の一部は、父の収入によって維持形成されたようにも感じるのですが、それでも母の口座から父の口座へ500万円を移動することは贈与とみなされ課税されるものなのでしょうか。
文面を拝見させていただきましたが、ご質問のケースでは「贈与税課税されてしまう」と考えられます。
母の預金 → 現役時代からの貯蓄、母の親から相続した遺産、自身の退職金等による貯金。年金収入があるが、現在母が入居している高齢者住宅の家賃や光熱費等の固定費、税金、社会保険料の支払いで使い切り増減はほぼ無し。
お母様の預金残高の方が多いという事実や、残高の構成要素がほぼお母様の財産であることが大きいです。
お父様の賃料収入から税金・社会保険料・お母様の生活費を支出しているため、お母様の預金が減っていないという主張では否認される可能性が極めて高いです。
通常生活に必要な費用の移動は夫婦間で生じて当然であるとされています。
仮に、お父様の自営業で得た収入をお母様の口座に移していた記録があればそれを返しただけなので贈与とはならないと認められることもありますが、それがなければほぼ認められないでしょう。
また、お父様が精神疾患を患われているとのことですので、(意思能力がないと判断されれば)贈与自体が無効になる可能性もあります。
預金を移さずお父様を被保険者として、お母様が契約者(保険料負担者)となる場合も想定されますが、その場合においても受取人が誰になるか次第で所得税や贈与税の論点は発生することになります。
ご参考に宜しくお願い致します。
河鍋様
この度は、大変わかりやすいご回答をありがとうございました。
検討している終身保険の保険会社からは、「おそらく贈与には当たらない」といった根拠があいまいな答えしか得られておらず不安に感じていたため、今回ここで確認できよかったです。
慎重に進めたいと思います。
ご参考になりましたなら幸いです。
どうぞ宜しくお願い致します。
本投稿は、2023年10月11日 17時23分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。