生命保険の保険料負担者と契約者が異なる場合の贈与税・相続税に関する相談
生命保険代理店の募集人から、母(84歳)、私(57歳)、息子(32歳)を含む家族が複数の生命保険を勧められ、加入しています。保険料の実際の負担者と契約者が異なるため、税務上の取扱いについて相談いたします。
【1.息子名義の保険】
募集人の提案で母が息子名義の銀行口座を開設し、2021年から2025年途中まで母が管理していました。その後は母の委託により私が管理していますが、私自身の資金は一度も投入していません。
母が入金した資金で、息子名義のドル建て保険(2020年~2026年:年額約108万~162万円)、変額保険(2024年~2026年:年額904,760円)、医療保険(2024年~2026年:年額55,284円)の保険料が支払われていました。
息子本人は入金や保険料の支払いを知らず、保険内容の説明も受けずに署名だけを求められていました。
また、母が保険料10,794,744円を負担した息子名義の終身介護保険について、2025年に一部解約返戻金987,000円と2,992,050円、合計3,979,050円が息子名義の口座に入金され、他の保険料に充当されています。
【2.私名義の保険】
2025年契約のドル建て一時払い終身保険の保険料1,000万円を母が負担しました。私は契約成立後に内容を知りました。
【3.募集人の税務説明】
募集人からは、他人が高額の保険料を負担しても支払時に贈与税はかからず、解約時に課税されること、相続人以外は3年、相続人は7年経過後に解約すれば時効により課税されないこと、毎年110万円ずつ現金化すれば非課税になることなどの説明を受けています。
【相談事項】
① 母から息子への贈与は成立しているか。
② 2025年の一部解約返戻金3,979,050円と私名義の保険料1,000万円について、贈与税の申告義務があるか。
③ 母の死亡時に各保険契約が相続税の対象となるか。計算方法はどうなるか。
④ 募集人の税務説明は正しいか。
⑤ 息子や私が保険を解約した場合の課税関係と計算方法はどうなるか。
⑥ 過去に申告漏れがある場合、どう対応すべきか。
保険証券、銀行口座の入出金記録、保険料支払記録等は提示可能です。
生命保険に関する贈与税・相続税に詳しい税理士の先生に、課税関係と必要な対応をご相談したいと考えております。
よろしくお願いいたします。
税理士の回答
ご質問の件ですが、以下回答させて頂きます。
①贈与の成立:贈与は双方の合意と受贈者の資金管理が必要です。
息子様が口座や契約内容を把握しておらず、受贈の意思がないため、贈与は未成立(お母様の名義預金・名義保険)とみなされます。
②2025年の申告義務:資金の実質的管理者がお母様(または委託されたご相談者様)のままであれば、一部解約返戻金の入金や1,000万円の保険料支払時点では、実質的な資金移動がないため贈与税の申告義務は発生しません。
③相続時の取扱い:実質的な保険料負担者はお母様であるため、お母様の相続発生時には「生命保険契約に関する権利」として、死亡時点での解約返戻金相当額がお母様の相続財産にすべて加算され、相続税の対象となります。
④募集人の説明:前後のやり取りは分かりませんが、ご記載頂いた通りの内容ですとそのご認識は誤りであり、意図的な無申告(脱税)を推奨する内容となっているかと存じます。
税務署は保険金支払調書や口座の資金移動を把握しており、時効待ちを前提とした租税回避は税務調査で厳しく否認されます。
⑤解約時の課税:解約返戻金をご相談者様や息子様が受け取り、ご自身の資金として消費や運用をした時点で「お母様からの贈与」となり高額な贈与税が課されます。お母様の口座に戻した場合は、お母様の所得税(一時所得)の対象となります。
⑥今後の対応:実質的に贈与が未成立である以上、過去の贈与税の申告漏れはありません。しかし、実態と契約が大きく乖離しているため、契約者をお母様に名義変更して実態に合わせるなどの必要があるかと存じます。
*もしくは、贈与発生時や相続発生時などに税金計算をしっかり行う事が重要かと存じます。
回答は以上となります。
ご参考になりましたら幸いです。
保険は名義だけでなく、実際の保険料負担者・被保険者・返戻金等の受取人を契約ごとに確認する必要があります。お母様負担の保険を息子様が解約して返戻金を取得した場合は、贈与税の対象となる可能性があり、別の保険料に使ったことだけで課税がなくなるとは考えにくいでしょう。「3年・7年待てば非課税」「毎年110万円の現金化なら非課税」とは一律に判断できません。2025年の申告要否も未成立と断定せず、証券・資金移動・受取後の管理を揃え、保険税務に詳しい近隣の税理士へ早めに確認されるとよいでしょう。
ご回答ありがとうございます。追加の事実関係と質問をお伝えします。
【契約内容】
以下5契約の保険料は全て母(84歳)が負担しています。
〈息子(32歳)名義〉
①ドル建て保険:被保険者は息子、死亡保険金受取人は母。
②変額保険:被保険者は息子、死亡保険金受取人は私。
③医療保険:被保険者は息子、死亡時支払金受取人は私、入院・三大疾病給付金受取人は息子。給付実績はなく、保障重複のため2026年9月解約済み。
④終身介護保険:被保険者は息子、死亡保険金受取人は母、高度障害・介護保険金及び70・75・80歳の健康祝金受取人は息子。保険金・祝金の受取実績なし。
〈私(57歳)名義〉
⑤ドル建て一時払い終身保険:被保険者は私、死亡保険金受取人は母。2025年の保険料1,000万円は母が全額負担。
【追加質問】
1.募集人は、相続人以外は3年、相続人は7年経過後に解約すれば贈与税の時効により課税されないと説明し、「持ち戻し」という言葉も使用しました。また、「きちんと判例があるから心配ない」「解約して下した時、どこから持ってきたお金かを税務署は見ない。見るのは名義だけ」とも説明しました。これらは正しいのでしょうか。相続税の生前贈与加算と贈与税の時効は、別の制度ではないでしょうか。
2.母が保険料10,794,744円を負担した息子名義の終身介護保険について、2025年に2回の一部解約が行われ、返戻金合計3,979,050円が息子名義の銀行口座に入金され、他の保険料に充当されました。
一部解約は募集人の指示により行われ、おそらく息子本人が書類に署名したと思われますが、署名の有無は未確認です。
息子は、保険契約の内容や銀行口座の存在を知らされておらず、一部解約の内容及び返戻金の使途についても全く理解していませんでした。
銀行口座は2025年途中から母の委託により私が管理しており、私自身の資金は一度も投入していません。
この場合、仮に息子が一部解約の書類に署名していたとしても、母から息子への贈与が成立したと判断されるのでしょうか。
また、2025年分の贈与税又は所得税の申告義務が生じるのか、課税対象者及び課税金額の計算方法も含めてご教示ください。
3.2025年に母が保険料1,000万円を全額負担した私名義のドル建て一時払い終身保険について、契約時に私が書類に署名した可能性はありますが、明確な記憶がなく、現時点では確認できていません。
私は保険料を一切負担しておらず、契約内容についても契約成立後に初めて知りました。
このような場合、仮に私が契約書に署名していたとしても、母から私への贈与が成立したと判断されるのでしょうか。また、2025年分の贈与税の申告義務が生じるのか、将来の解約時及び母の相続発生時の課税関係も含めてご教示ください。
4.各保険の契約者を母に名義変更した場合、名義変更時、母の死亡時及び将来の解約時には、それぞれどのような課税関係が生じるのでしょうか。過去の保険料負担や一部解約返戻金の課税関係も解消されるのでしょうか。
5.今後、税務上の問題を整理するためには、契約者の名義変更、解約、現状維持のいずれが適切でしょうか。また、申告要否の判断に必要な資料や、優先して確認すべき事項をご教示いただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。
追加のご質問の件ですが、以下回答させて頂きます。
1、募集人の説明について
「持ち戻し(生前贈与加算)」という表現は相続税の制度であり、贈与税の時効が悪意の場合は7年となるかと存じます。
税務署は名義ではなく「実際の資金負担者は誰か(実質基準)」を徹底的に調査します。
2、息子様の一部解約(2025年)
仮に署名があっても、契約内容や口座の存在を知らず管理もしていない状態であれば、「受贈の意思」がないため贈与は未成立となる可能性が高いかと存じます。
返戻金はお母様の「名義預金」となるため、息子様に贈与税の申告義務はありません。実質的にはお母様の取引(一時所得)となりますが、返戻金が払込保険料を下回っていれば所得税も発生しません。
3、ご相談者様の1,000万円契約(2025年)
こちらも同様に贈与は未成立の可能性が高く、2025年の贈与税申告は不要かと存じます。
現状のままお母様が死亡した場合は「生命保険契約に関する権利」としてお母様の相続財産(相続税の対象)となり、生前にご相談者様が解約して返戻金をご自身の資金とした場合には、その時点で贈与税が課されます。
4、母への名義変更を行った場合
実態(真の資金負担者は母)に合わせて名義を戻すだけであるため、変更手続き自体に税金はかかりません。これにより過去の名義保険の不整合が解消されるかと存じます。
変更後の解約返戻金はお母様の所得税、死亡時はお母様の相続財産となります。
5、今後の適切な対応と確認事項
税務上のリスクを解消するには「全契約をお母様へ名義変更」するのが基本かと存じます。
まずは保険会社へ連絡し、各契約の申込書および一部解約請求書のコピーを取り寄せ、「誰の筆跡で署名されているか(代筆の有無)」をご確認頂く事をお勧め致します。
回答は以上となります。
ご参考になりましたら幸いです。
山本快夫
お世話になります。
保険会社に、募集人の説明について、保険業法に抵触(虚偽説明・重要事項の不告知)する可能性の有無を、念のためご確認されることも、ひとつの選択肢と考えます。
他の方のアドバイスも参考になさってください。少しでもご参考になりましたら幸いです。
本投稿は、2026年10月24日 23時12分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。







