死亡保険金受取人が先に亡くなっていた場合について
生命保険を掛けていた弟(2026年死亡、生涯独身・子無)が亡くなりました。
死亡保険金受取人の妹(2003年死亡、生涯独身・子無)は弟よりも先に亡くなっています。
死亡保険金受取人は妹のままになっていました。
保険法第46条により法定相続人受取となり、父母、祖父母も亡くなっていますので、兄弟相続となります。
法定相続人は、兄(生存)と姉(2025年死亡)の代襲者甥姪3人となります。
死亡保険金の受取方法は、法定相続分(兄2分の1、甥姪6分の1づつ)となりますか?4名の均等割
(4分の1づつ)となりますか?
税理士の回答
誰が保険金受取人となるかは保険約款(保険証券)を確認する必要がありますが、保険法第46条により法定相続人が受取人となるのであれば、一般的には、妹さんの死亡当時の法定相続人が保険金を均等に取得することとなります。法定相続分ではありません。
ご質問の前提に一点だけ補足があります。保険金を受け取る人は「弟様の法定相続人」ではなく、「受取人である妹様の相続人」です。
【判例の考え方】 最高裁平成5年9月7日判決は、改正前商法676条2項の事案で、 ①受取人は、受取人の相続人、その方が亡くなっていればさらにその相続人(順次の相続人)のうち、被保険者の死亡時に生存している方 ②各人の割合は、法定相続分ではなく民法427条により「頭数で均等」 と判断したとされています。保険法46条は割合を定めていませんが、同様に解する見解が有力です。なお、保険法は原則として2010年4月以降の契約に適用され、それ以前の契約は改正前商法によります。
【本件への当てはめ(姉様の相続人が甥姪3名のみの前提)】 ①2003年当時ご両親が存命だった場合 妹様の権利はご両親を経て兄・姉・弟様へ、姉様の分は甥姪3名へ順次つながると考えられます。 ②ご両親が妹様より先に亡くなっていた場合 兄・姉・弟様が妹様の相続人です。 いずれの場合も、被保険者である弟様ご自身を頭数に数えるかで結論が変わります。 ・数えない場合:兄様・甥姪3名で各4分の1 ・数える場合:兄様・甥姪3名・弟様で各5分の1。弟様の5分の1は弟様ご自身の遺産として遺産分割の対象となり、法定相続分で分けると兄様10分の3、甥姪各30分の7となります。 どちらによるかは判断が分かれ得るため、断定はできません。また、姉様に配偶者がいらした場合はその方も対象です。
【実務上の注意】 多くの保険会社は約款に受取人死亡時の取扱い(割合を含む)を定めており、定めがあればそれに従うのが通常です。まず保険会社に、受取人と割合を確認されることをお勧めします。
【相続税】 ①死亡保険金は、弟様の相続でみなし相続財産となります(相続税法3条1項1号)。ただし、上記で弟様を頭数に数える場合の弟様の取得分は、弟様の本来の遺産として扱われ、②の非課税の対象外となる可能性があります。 ②非課税枠は「500万円×法定相続人の数」です(同法12条1項6号)。弟様の法定相続人は兄様と代襲相続人の甥姪3名の計4名で、枠は2,000万円です。ただし、非課税は相続人が受け取った保険金に限られます。姉様の配偶者など相続人でない方が受け取る部分には適用されません。 ③基礎控除は3,000万円+600万円×4名=5,400万円です(同法15条)。 ④兄弟姉妹と甥姪は一親等の血族ではないため、相続税額の2割加算の対象です(同法18条)。
保険金以外の遺産と合わせて基礎控除を超える場合は、相続開始を知った日の翌日から10か月以内の申告が必要です。お近くの税理士にもご相談ください。
谷川堅祐
結論から申し上げますと、保険会社の約款(契約のルール)に特別な定めがない限り、4名の均等割(4分の1ずつ)となります。
相続が絡むお話であるため「法定相続分(兄2分の1、甥姪6分の1ずつ)」と考えがちですが、生命保険金は民法上の相続財産(遺産)ではなく、保険契約に基づき発生する「受取人固有の財産」として扱われます。
最高裁判所の判例(平成5年9月7日判決など)により、受取人が先に死亡してその相続人が複数いる場合、各受取人の権利の割合は「法定相続分」ではなく、「人数で頭割り(均等な割合)」に分けるのが原則とされています。
藤倉真人
お世話になります。
約款に別段の定めがなければ、受取割合は法定相続分ではなく、受取人となる方の人数による均等割(頭割り)とするのが判例の考え方です。ただし、受取人になるのは「弟様の相続人」ではなく「妹様の相続人」です。そのため、ご質問の4名が受取人になるとは限りません。
保険法第46条は、受取人が保険事故(被保険者の死亡)より前に亡くなった場合、「その相続人の全員」が受取人になると定めています。ここでいう相続人は、妹様が亡くなった2003年時点の相続人です。その方が保険事故より前に亡くなっていれば、さらにその方の相続人が受取人となります(最高裁平成5年9月7日判決)。同判決は、各人の割合を民法第427条により平等としています。保険法の下でも同様に解されていますが、約款に定めがあればそちらが優先されます。
2003年時点でご両親がすでに亡くなっていたのであれば、妹様の相続人はお兄様、お姉様、弟様の3名です。このうちお姉様(2025年死亡)の部分は、お姉様ご自身の相続人(お子様3名と、配偶者がご存命ならその方)が引き継ぎます。被保険者である弟様ご自身の部分は、弟様の相続人が引き継ぐと考えられます。結果として、受取人の範囲や割合は4名均等とは異なる可能性があります。また、2003年時点でご両親のいずれかがご存命であれば、受取人の範囲はさらに変わります。実際の受取人と割合は、戸籍一式を保険会社に提出して確認されるのが確実です。
相続税では、死亡保険金はみなし相続財産(相続で取得したものとみなされる財産)となります(相続税法第3条第1項第1号)。相続人が受け取る場合は、500万円×法定相続人の数(本件では4名)の非課税枠があります(同法第12条第1項第5号)。お兄様と甥姪の方は、相続税額の2割加算(同法第18条)の対象です。なお、お姉様の配偶者など相続人でない方が受け取る場合、その方は非課税枠を使えません。
本投稿は、2026年10月30日 05時52分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。







