税理士ドットコム - [相続税]非上場株式を譲渡する際の時価について(個人間売買) - ① 結論個人間の未上場株式の売買で使う「時価」に“...
  1. 税理士ドットコム
  2. 相続税
  3. 非上場株式を譲渡する際の時価について(個人間売買)

非上場株式を譲渡する際の時価について(個人間売買)

会社の代表をしています。(役員3人のみ従業員なし)
この度、会社と関わりのない弟の子の持っている株を買い取ることになりました。
私と弟は10年以上前に親からの相続で株をもらいました。

そこで株の評価方法についてです。
自分なりにネットで調べた感じでは相続税法上の時価だと思いましたが、
非上場株式で個人間売買になるので所得税法の評価になるとのことですが、
これは間違いないでしょうか?

すごく難しくなかなか理解できません。
理解不足で質問にもおかしな点がありましたら申し訳ありません、
どうぞよろしくお願いします。

税理士の回答

① 結論
個人間の未上場株式の売買で使う「時価」に“所得税法専用の別計算”はありません。実務は、財産評価基本通達(いわゆる相続税評価)に基づく評価額を“時価の合理的見積り”として採用するのが最も適切ではないかと思います。したがって、今回も相続税法上の評価(類似業種比準価額・純資産価額・配当還元価額など)で算定→その水準で売買が基本方針です。

② 理由
「時価」は税法共通で客観的交換価値のこと。未上場株は市場価格がないため、通達評価が公的かつ説得力のある“代替指標”になります。
個人間で著しく低額/高額で売買すると、差額が贈与と判断されやすい(買い手または売り手側に贈与税リスク)です。
会社の代表者と親族(甥御さん)という特別関係者間取引は、税務署の着眼点が厳しく、通達評価を外すほど贈与認定リスクが急上昇します。
③ 実務処理(ご提案)
評価方式の選定
経営関与のある株主(オーナーサイド)→類似業種比準価額方式 or 純資産価額方式(または併用)
経営に関与しない少数株主→配当還元価額方式(配当が少ない会社では低めに出ます)
※ 会社規模区分(大・中・小)や同族判定により方式・比重が変わります。
1株価額の算定
直近決算書をベースに、含み損益(不動産・有価証券・貸倒見込等)を時価修正し、方式に従って1株あたりを算出。
売買単価の決定
算出価額±小幅の調整(端数調整・事務コスト・譲渡制限株式の流動性割引を“合理的範囲内”で)
評価計算書・根拠資料を保存(調査対応の命綱)
法務手続(詳しくは弁護士や司法書士に相談するとよいでしょう)
譲渡制限株式なら取締役会等の承認決議・株主名簿書換
株式譲渡契約書(当事者・株数・単価・支払・効力発生日)
送金記録(振込推奨、現金は不可)を残す。

④ リスク最小化の要点
通達評価を下回る価格での売買は、買い手への贈与税が典型リスク。上回る場合は売り手への贈与と見られ得ます。
「親族間+会社の支配関係者」が絡むため、第三者評価(税理士・会計士の評価書)を付けると強いかと思います。
会社が買い取る(自己株式取得)形にするとみなし配当など別論点が出るため、今回は“個人→個人”のまま進める方が論点は少ない。
相続時の評価額は今回の売買の時価とは別。必ず売買時点で評価し直す。

大変丁寧な詳しいご回答に心よりお礼申し上げます。
本当にありがとうございます。
言葉を調べてしっかり理解したいと思います。

④の『相続時の評価額は今回の売買の時価とは別。必ず売買時点で評価し直す』ですが、
売買の実行日における時価を出して相続税法上の評価で売買するという理解でよいですか?





その理解で問題ありません。
未上場株式の個人間売買では、
•「売買時点の時価」を算出することが必須
•その「時価」を出す際に、相続税評価(財産評価基本通達)」を“合理的な時価の見積り方法”として使う
という流れになります。
つまり、相続税法の評価方法そのものを使うが、“売買実行日のデータ”で再計算するという意味です。

お忙しい中、ご回答ありがとうございます。
何とか理解できましたがこれは本当に難しいですね(^^;
今回の評価方法の根拠を計算してくれた先に確認してみようと思います。
このようなサイトがあり、大変勉強になりました。
心よりお礼申し上げます。

本投稿は、2025年11月29日 12時27分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

この税務相談の書き込まれているキーワード

この相談に近い税務相談

  • 会社設立時の現物出資について

    現物出資の際に、現物出資の評価額を大きく抑える事の税務的な問題点はありそうでしょうか?(贈与や相続は踏まえず、事業運営のみに限り) 【背景】 現在、新会...
    税理士回答数:  1
    2024年01月31日 投稿
  • 親族間での自社株の買取価格について

    相続で分散してしまった自社株の買取を考えています。 私は代表です。 弟の子が持っている自社株を買ってほしいと言われ、私個人で買う予定です。 いろいろ調べる...
    税理士回答数:  2
    2025年03月29日 投稿
  • 株式譲渡の相続税評価額について

    株式売買における時価(相続税評価額)とは、いつの時点での価格なのでしょうか? ①当社の決算が8月末なのですが、決算前の8月中に株主間で株の売買をしたいと申し出...
    税理士回答数:  1
    2022年07月15日 投稿
  • 同族会社(非上場)の株式売買、自己株式取得について

    同族会社(非上場)において、同族株主間(または同族法人間)の株式売買や自己株式取得はすべて、相続税法上の時価算出方法(財産基本通達)によらなければならないのでし...
    税理士回答数:  1
    2022年06月21日 投稿
  • 非上場株の相続税について

    非上場株式を相続することになりました。 ① 株式の一株当たりの価格が不明の為、相続する価額が不明だと思われますが、  相続税はどのように考えればよいでしょう...
    税理士回答数:  2
    2024年04月26日 投稿

相続税に関する相談一覧

分野

人気のエリアの税理士事務所

相続税に関する他のハウツー記事を見る

みんなの税務相談

税理士の無料紹介サービス

プロが税理士を無料でご紹介いたします

  • 相談無料
  • 全国対応
  • 24時間受付
税理士紹介サービスの詳細はこちら
累計 相談数
161,853
直近30日 相談数
949
直近30日 税理士回答数
1,749