海外個人への動画制作・広告利用料の支払いに源泉徴収は必要か
海外の個人に払う動画の制作料(広告に使う許諾を含む)が、所得税法第161条第1項第11号の使用料に該当し、源泉徴収が必要になるかを伺いたいです。
日本在住の個人事業主です。米国・英国・カナダ・豪州の個人に、本人のSNSへ投稿するショート動画の制作を1本10ドルで依頼し、PayPalで支払う予定です。
撮影と投稿はすべて海外で行われます。あわせて、その動画を当方の広告で無期限に利用する許諾を得る条件としています。
相手方から租税条約の届出書は受領していません。
税理士の回答
辰見浩一
海外の個人に支払う動画制作費については、動画の制作報酬と、完成した動画を広告に利用するための著作権等の使用料を分けて考える必要があります。
撮影・編集などの作業をすべて海外で行っている場合、その人的役務の提供に対する報酬は、原則として日本国内で行われた人的役務の提供に係る対価ではないため、日本の所得税の源泉徴収は不要と考えられます。
一方、完成した動画を広告に無期限で利用する権利の対価は、著作権等の使用料に該当する可能性があります。非居住者に支払う著作権の使用料等で、その支払者の国内業務に係るものは国内源泉所得となり、原則として20.42%の源泉徴収が必要です。
したがって、今回のように日本の事業者が自社の広告で利用する目的で動画の利用許諾を受ける場合、利用許諾の対価に相当する部分については、源泉徴収が必要となる可能性が高いと考えられます。
契約書や請求書で「動画制作費」と「広告利用許諾料」が区分されている場合には、原則として、動画制作費については源泉徴収不要、利用許諾料については源泉徴収要否を検討することになります。しかし、両者を区分せず一括で10ドルとしている場合には、その実質や契約内容を確認する必要があるかと考えます。
また、米国、英国、カナダ、豪州の居住者については、それぞれの租税条約により、著作権使用料に対する源泉税が軽減または免除される場合があります。ただし、租税条約の適用を受けるには、原則として支払日の前日までに「租税条約に関する届出書」などの必要書類を提出する必要があります。
以上から、まずは契約書上で、①動画制作の作業内容、②著作権の帰属、③広告利用の範囲、④利用許諾料の有無および金額が区分されているかを確認する必要があります。
本投稿は、2026年11月03日 18時51分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。






