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一括償却できる「少額減価償却資産」とは?特例の適用要件や仕訳について解説

監修: 山本 邦人 税理士

業務のために取得した備品や建物・車両運搬具などは、金額や法定耐用年数により「消耗品」か「資産」に分けられ、それぞれ費用計上の仕方が変わります。なお、資産のうち減価償却資産は、使用可能期間にわたり分割して費用計上する決まりがありますが、所定の条件を満たせば一括計上することができます。

この記事では、減価償却資産の費用計上の方法と、節税に効果的な少額減価償却資産の特例について、詳しく解説します。

目次

減価償却資産の会計処理

事業用に取得した自動車や機械など、長期にわたって使用するものは費用(経費)ではなく「固定資産」として計上することになります。

一般的にこれらは、時間の経過と共に価値が減少すると考えられるので、法定耐用年数に応じて金額を分割し、費用計上(減価償却)する決まりになっています。

こういった固定資産を「減価償却資産」といいますが、時間を経過しても価値が下がることはない土地や骨とう品などは該当しません。

減価償却資産を費用化するには減価償却するのが原則ですが、「少額減価償却資産」にあてはまる場合は、一括償却(即時償却)することができます。

「少額減価償却資産」とは

少額減価償却資産とは、以下のいずれかに当てはまる資産をいいます。

この条件に当てはまると、必要経費(損金)として、その年に全額を「即時償却」することが可能です。

これは、資産の取得金額が少額だったり使用可能期間が短いものは、減価償却を省いても損益に与える影響は重要でないと考えられる「重要性の原則」の観点より、通常の償却方法でなくてもよいと判断されているからです。

使用可能期間が1年未満である資産

「使用可能期間が1年未満の資産」というのは、その業種において一般的に消耗品であると認識されていて、その事業主の平均的な使用状況や補充状況などを考慮して判断されることになっています。

国税庁のタックスアンサーによると、テレビ放送用のコマーシャルフィルムは法定耐用年数が2年と決められていますが、一般的な放映期間は1年未満であるため、使用可能期間が1年未満のものとして認められることになっています。

ケースによって判断されるものなので、特殊な工具を購入したときなど、その業種ではどのように扱われているのか、税理士によく確認して判断するようにしましょう。

取得価額が10万円未満である資産

「取得金額が10万円未満の資産」は、1単位(1個・1組・1セットなど)ごとに判断される決まりになっています。

たとえばパソコンの場合は、ハードウェア、ディスプレイ、キーボードなどを1単位として、応接セットであればテーブルと椅子などを1単位として数え、その合計金額が10万円未満であれば少額減価償却資産とみなされます。

セットではなく、それぞれを別に購入した場合はそれぞれの金額で判断することになります。

金額は税込?税抜?

取得価額の判断は、事業者が適用している消費税の会計処理に応じて決められます

たとえば税抜9万8000円のパソコンを購入した場合、税抜経理で会計処理をしている場合では、消費税抜きの価額が取得価格となるため全額償却することができます。

税込経理で会計処理をしている場合は、消費税込みの価格10万7800円が取得価額となるので、通常の減価償却で処理します。なお消費税の免税事業者(消費税の申告納税の必要がない事業者)の場合は、税込価格で判断します。

10万円以上20万円未満は「一括償却資産」

取得価額が10万円以上20万円未満である減価償却資産を「一括償却資産」といい、「3年均等償却」することができます。

簡単にいうと、取得金額の3分の1ずつを、3年間にわたって費用計上していくというものです。

このように償却できる理由も、「重要性の原則」の観点から、通常の償却方法を利用する必要がないと判断されているからです。

一括償却資産の3年均等償却を利用するメリットは、「通常の法定耐用年数よりも早く費用化することができる」点です。

耐用年数の例を挙げると、パソコン(サーバー用のものを除く)は4年、応接セット(接客業用のもの)は5年といった具合に、3年を超えるものが多くなっています。それを3年で償却できる分、早期に費用として計上することができるのです。

一方デメリットとして、「仮に破棄した場合でも、3年間で償却しなければならない」とい う点があります。

原則として減価償却資産を途中で破棄した場合は、その時に償却していない部分を全額費用として処理することができます。3年均等償却を利用している場合は、破棄などに関係なく、必ず3年かけて費用を計上する決まりになっています。

3年均等償却のための手続き

この一括償却資産の3年均等償却を利用するには、確定申告書等に以下の書類を添付し、提出する必要があります。

  • 法人:一括償却資産の損金算入に関する明細書(別表十六(八))
  • 個人事業主:一括償却対象額を記載した書類

法人が利用する場合には、「一括償却資産の損金算入に関する明細書」という書類が用意されているので、こちらに記入し、添付・提出します。一方、個人事業主が利用する際には、収支内訳書や青色申告決算書に「減価償却費の計算」という項目欄があるので、ここに必要事項を記入すれば手続きしたことになります。

10万円以上30万円未満は「少額減価償却資産の特例」で節税

減価償却資産には、取得金額が10万円以上30万円未満であれば即時償却できる「少額減価償却資産の特例」という制度も設けられています。

原則として、減価償却資産の即時償却は10万円未満の資産が対象ですが、特例を使えばそれよりも高額な資産も、購入年に全額経費にすることができる(上限年間300万円ということです。

利益額を圧縮できるので効果的に節税することができますが、利益があまり出ない年には少額減価償却資産の特例を使わずに、通常の耐用年数で減価償却を行うほうが有利になる場合もあります。

なおこの特例を適用するには、次の条件を満たしている必要があります。

対象となる事業者

少額減価償却資産の特例の対象となる事業者の要件は以下のとおりです。

  • 法人:青色申告書を提出している中小企業者または農業協同組合等
  • 個人事業主:青色申告書を提出している中小事業者

まずポイントとなるのは「青色申告書を提出している」ことです。本制度は青色申告者だけが対象のため、白色申告をしている方は利用できません。

また、法人の場合「資本金額または出資金額が1億円以下の法人」かつ「常時雇用人数が1,000人以下の法人」に当てはまる「中小企業者」が対象となります。

適用のための手続き

特例を利用するにあたっては、確定申告の際に以下の書類を記入し、添付・提出する必要があります。

  • 法人:少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例に関する明細書(別表十六(七))
  • 個人事業主:少額減価償却資産の取得価額に関する明細書

法人の場合は「少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例に関する明細書」という書類が用意されているため、こちらの書類に必要事項を記入し、添付・提出します。

個人事業主の場合は明細書を添付するか、青色申告決算書の「減価償却費の計算」の項目欄に、取得価額の合計額と特例を利用する旨を記載する必要があります。

【少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例に関する明細書の記入例】少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例に関する明細書

適用期間は「2022年」まで延長

令和2年度税制改正大綱において2年間延長される旨が発表され、「2022年3月31日」までに取得したものが対象となります。

期間延長と同時に要件が見直され、適用対象法人は「対象法人から連結法人を除外」「常時雇用人数は500人以下の法人」となり、範囲が縮小されることになりました

少額減価償却資産の仕訳例

少額減価償却資産、一括償却資産を取得したとき、少額減価償却資産の特例を利用したときの仕訳方法を解説します。

少額減価償却資産を取得したとき、特例を適用した場合は、取得時に「消耗品費」勘定で処理します。

【少額減価償却資産/取得時の仕訳】
借方貸方
消耗品費98,000円現金98,000円

一括償却資産の3年均等償却の場合は、取得時に「一括償却資産」という科目を使い一度資産計上してから、減価償却をします。

【一括償却資産/取得時の仕訳】
借方貸方
一括償却資産150,000円現金150,000円

決算時には15万円×1/3=5万円の減価償却を、3年間行います。

【一括償却資産/決算時の仕訳】
借方貸方
減価償却費50,000円一括償却資産50,000円

おわりに

償却資産の金額別計上方法

利益が多く出た年に少額減価償却資産の特例を使って必要な備品を買ったり、反対に赤字の年は特例を使わずに法定耐用年数で計上したり、状況によって変えることで節税効果を大きくすることができます。

業務に必要な高額な備品を購入するときには、購入のタイミングや会計処理の方法を税理士に相談してみるとよいでしょう。

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