勘定科目とは?基礎知識や決めるときのポイント、迷いがちな勘定科目の処理方法まで

「どの勘定科目を利用してよいか分からない」という問題は、はじめて仕訳をするフリーランス、個人事業主ならおそらく誰しもが直面する問題です。そもそも、勘定科目の決め方を知らなければ、仕訳作業で迷ってしまい業務効率が下がりますし、仕訳帳を元に作成した試算表や財務諸表が分かりづらくなり、経営の実態を把握しにくくなってしまいます。
そこでこの記事では、勘定科目とは何かという基本的な事項から勘定科目の決め方までを解説します。
目次
勘定科目とは?
勘定科目とは、簡単にいうと「お金にまつわる分類の名前」です。
例えば、勘定科目の一つとして、「給料賃金」(経費の一種で、給料、賃金、退職金など)がありますが、勘定科目がなければ、「経費を月に100万円使った」ことしか分からず、「具体的に、何に対して100万円使ったか」が分かりません。
このように「分類の名前」があることで、「お金の使い道を把握すること」ができるのです。
上記の「給料賃金」は「経費」の勘定項目の例ですが、勘定科目は簿記の基本的な概念である「資産」「負債」「資本」「収入」「経費」のそれぞれに対して存在します。
勘定科目の決め方
勘定科目を決める上では、2つの目的を意識することが大切です。
1つ目は「適正な税務申告をする」こと、2つ目は「経営者や銀行等の利害関係者が、事業の状況を理解しやすくする」ことです。これにより経営判断や資金繰りに役立ちます。
3つのポイント
前述したように、勘定科目の運用は最低限「税法上の規則に従う」ことが求められますが、あとは自由で、分かりやすさの問題です。では、どのように仕訳をすれば分かりやすくなるでしょうか。
1)利用する勘定科目の数は、少なすぎず多すぎず
勘定科目を適切に使用すると厳密に経営を管理することができますが、数が増えすぎると試算表や財務諸表でどこをみればよいかが分かりにくくなります。
多すぎず、少なすぎないことが肝要ですが、もし迷う場合には税理士に相談するとよいでしょう。
2)採用した勘定科目を継続的に利用する
同じ内容の取引に対して勘定科目を変えてしまうと、財務諸表の継続性がなくなってしまいます。
もちろん、必要に応じて勘定科目を統廃合をすることは問題ありませんが、頻繁に変えてしまうと経営数値の推移が分かりにくくなることに注意してください。
3)「雑費」はなるべく利用しない
「雑費」は便利な概念ですが、「最近、雑費が利益を圧迫しているので、来月からは雑費を削ろう」と決意しても、どこにどうやって手をつけるべきか分かりません。
できるだけ、具体的な勘定科目を利用するようにしましょう。
迷いがちな勘定科目
以下に、迷いがちな勘定科目と仕訳をする際の考え方を記載します。もし、迷ってしまう場合は税務署や税理士に相談しましょう。
自らの給料は「給料賃金」ではない
個人事業主で、自らの給料を「給料賃金」に仕訳をするのは誤りです。個人事業主にとって、事業から得た利益はすべて自らの取り分であり、利益に対して税金がかかります。
プライベートな支出をした場合は「事業主貸」としましょう。ただし、個人事業主でも従業員やアルバイトを雇う場合には「給料賃金」を利用します。
家族に給与を支払った場合は「給料賃金」ではなく「専従者給与」
個人事業主が家族に給与を支払った場合は、「給料賃金」になりません。
白色申告の場合、税務署に提出する書類に「専従者控除」と記入します。青色申告の場合、「専従者給与」です。
個人にかかる税金は「租税公課」ではなく「事業主貸」
税金の支払いは「租税公課」として仕訳しますが、あくまで計上できるのは「経費になる税金」のみです。
個人事業主の場合、所得税や住民税など個人事業主本人にかかる税金は、事業の経費にはなりませんので、「租税公課」ではなく「事業主貸」にします。
預金利息は「雑収入」ではなく「事業主借」
法人の場合、預金利息が「雑収入」になりますが、個人事業主の場合、預金利息は個人事業の所得にはなりませんので、個人的な収入と考えます。
もし、事業用口座に預金利息が入金された場合は、「事業主借」を利用します。
「仕入」と「消耗品費」は用途も経費になるタイミングも違う
「仕入」は、顧客に販売するために購入したもので、販売したタイミングで経費になります。
一方、「消耗品費」は、自らが使用するために購入したもので、基本的には購入したタイミングで経費になります。
「福利厚生費」「会議費」「接待交際費」の違い
仕事上の会食で経費を使った場合、勘定科目として有り得るのは、「福利厚生費」「会議費」「接待交際費」です。
「福利厚生費」は従業員の慰安・医療・衛生・保健などのために事業主が支出した費用などが該当します。「会議費」は、社内外を問わず会議にかかる経費、「接待交際費」は、取引先などの接待にかかる費用などです。
おわりに
勘定科目はある程度自由に事業者が決められるだけに、ついつい迷ってしまいがちです。
しかし、「適正な税務申告をする」「経営者や銀行等の利害関係者が、事業の状況を理解しやすくする」という2つの目的を意識し、コツを学ぶことで、経営に役立つ運用をすることが可能になります。
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