扶養家族の一時帰国中の就労について
現在自分は、
夫の海外勤務で、日本非在住者(住民票無し)、扶養家族です。
一時帰国で日本に戻る際に、派遣で働ければと思っています。
(1カ月程度、収入見込み40万ほど。103万は超えません)
その際、
・自分の収入から所得税が引かれるのか。(非在住者は20%程度と書かれているものを見かけました)
・自分の収入から引かれた所得税は確定申告などする必要があるのか(戻るのか)。
・103万は超えないが、夫の収入から引かれる税率は変わってしまうのか(総合して損になるのか)。
の点が知りたいです。
よろしくお願いします。
税理士の回答

米森まつ美
回答します
前提として、貴女もご主人も、日本の非居住者※であるとして回答します。
1 自分の収入から所得税が引かれるか
日本の非居住者である貴女が、日本で勤務したことによる報酬には20.42%の源泉徴収による所得税が課税されます。
2 確定申告をする必要があるか
非居住者が受ける、給与等の日本における課税は、源泉分離課税となりますので申告する必要はありません。
なお、居住者に対しては、通常「全世界課税」であるため、貴女の居住国でも、当該報酬に対して課税されると考えられます。
日本と、貴女の居住国との間で「租税条約」が締結されている場合は、日本で課税を受けた報酬は居住国において「外国税額控除」の対象となります。
「外国税額控除」を受けるためには、報酬の支払者を通じて「源泉徴収に係る所得税及び復興特別所得税の納税証明願」を、支払者の所轄税務署に提出{2部)し、納税証明書を入手する必要があります。
ただし、貴方の居住国での課税方法や外国税額控除の方法は、居住国の税務当局にお尋ねください。
3 夫の収入から引かれる税率は変わるのか。(総合的に損になるのか)
「103万円の収入金額」とは、居住者である所得者方(ご主人)の扶養に、居住者である配偶者や親族が入るか否かの基準となります。(給与所得の場合の収入金額)
貴女が、日本でどのくらいの報酬(所得)を得られるかは分かりませんが、ご主人の「税額」や扶養の要否の基準などは、居住地国の税法に基づいて決まりますので、日本では分かりません。
貴女の居住国の課税当局にお尋ねください、
※非居住者とは、一年以上日本に住所・居所を有しない者をいいますので、今回は「海外在住」で、かつ、「一時帰国」と言うお話でしたので、前提を「非居住者」として説明しました。
ただし、公務員などは、1年以上海外勤務となった場合であっても、居住者とされます。
国税庁HPから説明箇所を添付します
「居住者・非居住者」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2875.htm
「源泉徴収のあらまし」
7枚目(P275)の表が分かりやすと思います。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/aramashi2021/pdf/12.pdf
「納税証明願」https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_31.htm
詳しい回答をありがとうございます。
追加で質問させていただきたいです。
私も夫も非在住者ですが、日本を出てまだ半年ほどになります。(住民票を抜く手続きをしてまだ半年ほど)その場合は居住者扱いになってしまうのでしょうか?
(居住者扱いですと、例えば働いてしまうと日本での他の税がかかってしまうなどあるのでしょうか)
(私の収入は昨年まではありましたが、年間所得を1月から12月の間で換算するのが正しければ、2023年の所得は今回働く40万前後になると思われます。)
お願いいたします。

米森まつ美
回答します
1 居住者・非居住者
当初、海外支店への転勤などの理由により出国されたのであれば、出国の翌日より非居住者になると考えられます。
その後帰国をした場合であっても、それが「一時帰国」であれば非居住者のままとなります。
国税庁HPの「居住者・非居住者」の別紙に「住所の推定」がありますので、参考にしてください。
なお、出国時に海外に1年以上の居住を要する予定でない場合(出張などの時)は、1年を経過した時点で非居住者となりますので、それまでの期間は「居住者」として扱われます。
居住者であれば、ご理解のとおり、給与の支給時に通常の源泉徴収の対象となり、出国して非居住者になる場合は、出国前に確定申告で年税額を精算します。
「住所の推定」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2875-1.htm
2 所得の計算期間
個人の所得税の「所得」をとらえる計算期間は、暦年での計算ですので1月から12月分となります。
非居住者の「所得」も暦年で捉えます。
ただし、外国の認識が同じとは限りませんのでその点は居住地国でご確認ください。
非居住者の方が日本で働くことによる所得(給与)は、分離課税の対象となる所得と解されますが、非居住者を「扶養」と出来るかの問題は、扶養する方(ご主人)が居住者である場合の判断材料となりますので、ご主人が非居住者でしたら、特に日本の課税上ご主人に課税が発生することはないと考えます。
なお、ご主人も居住者に該当する場合は、外国で働いた給与等も日本での課税の対象となります。
そして、配偶者の方の所得が「40万」であれば、配偶者控除(扶養)の対象となります。
給与が国内で支払われている時は、通常の給与の支給時と同様の源泉徴収と年末調整となり、年の中途で出国し、非居住者となる時は「出国前年末調整」を行うことになります。
本投稿は、2023年01月17日 19時46分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。