産業医から源泉徴収を行わず、会社が源泉所得税を納税しないことは、所得税法違反に当たりますか?
<概要>
産業医から源泉徴収を行うことなく、それに伴い、税務署へ毎月「源泉所得税」を納付しない取り扱いについて、これは会社が(源泉)所得税法違反に当たりますか?
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<現状>
・当社は、「個人開業医」と安衛法に基づく産業医契約を締結しております。年間6回、会社の衛生委員会に来訪、出席して頂くこと、並びに、健康診断後の要再検査者に対する意見聴取といった法定業務を依頼し、当社からは、産業医の個人口座へ毎月5万円+消費税を振り込んでおります。
・国税庁のタックスアンサーのサイトに依れば、本来、「個人開業医」との産業医契約については、「乙欄給与」として源泉徴収を行い、併せて、「消費税」は、「不課税取引」となる旨が記載されております。
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/13/01.htm
・しかしながら、当社では、現状、産業医に支払う報酬に関して、源泉徴収すべき「乙欄給与」、あるいは「報酬・料金」としては取り扱わずに、単なる「委託料」名目として、源泉徴収を行わずに振り込んでおります。
・上記に伴い、今度は、「消費税」については、「課税取引」として認識し、消費税を別途で支払っております。(¥5万円+¥4千円)
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<問題点の有無>
・上記のような、「国税庁のタックスアンサー」とは異なる取り扱い、すなわち、源泉徴収すべき「給与」とは認識せず、源泉徴収義務の発生しない、単なる「委託料」と認識し、かつ、消費税を「課税取引」としている取り扱いについて、これが所得税法、あるいは、消費税法違反に当たるのでしょうか?
・一見すると、この産業医契約を消費税課税取引であると認識し、併せて、源泉徴収義務のない、一般的な「委託契約料」として取り扱っている点にも、それなりには合理性があると言える、思うのですが・・・。この取り扱いは、やはり税務調査が入った際には、NGとされるのでしょうか?
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以上でございます。当職、こうした知見に乏しく、的を得た質問になっておらず、無礼極まりないこと、どうかご容赦願いたく。
恐れ入りますが、どなた様か、お力をお借りできますと、幸甚でございます。
税理士の回答

数年前、個人の開業医の方に対する産業医報酬を課税取引として処理されていた場合に、税務調査にて指摘された例が数件ございます。
また、個人の開業医の方に対する産業医報酬は源泉徴収対象であり、本来は給与(乙欄)ですが、こちらについては報酬(10.21%)としての源泉徴収を行っている会社も多くありますが、いずれにしても源泉徴収の対象とすべきです。
【藤本寛之税理士 様】
決算申告等でお忙しいであろうにもかかわらず、早々にご回答頂けました事、深く御礼申し上げます。誠にありがとうございます。
また、大変恐縮ではございますが、最後にもう1度だけ、ご教示願いたく存じますが、大丈夫でしょうか?
【藤本寛之税理士のご見解 ①:】
数年前、個人の開業医の方に対する産業医報酬を課税取引として処理されていた場合に、税務調査にて指摘された例が数件ございます。
↑<ご確認>
これは、”消費税”に関して、本来、産業医(個人開業医)との契約は、「不課税取引」とすべきものである、という指摘を税務調査に於いてお受けになられたご経験がある、このような認識で理解して宜しいでしょうか?
【藤本寛之税理士のご見解 ②:】
また、個人の開業医の方に対する産業医報酬は源泉徴収対象であり、本来は給与(乙欄)ですが、こちらについては報酬(10.21%)としての源泉徴収を行っている会社も多くありますが、いずれにしても源泉徴収の対象とすべきです。
↑<ご確認>
これは、”教科書”的には、「給与(乙欄)」で源泉徴収すべきだが、”世間一般的”に、「報酬(10.21%)」として、”誤った”取り扱いがなされている会社もいくつか見受けられるようだが、この「給与」か「報酬」か?の区分に対する”誤り”に関しては、源泉徴収義務者たる会社にとっては、それほど、目くじらを立てて神経質になるべき論点ではない。なぜなら、相手方の産業医が、”適正に”確定申告を行うことによって、「報酬(10.21%」として徴収されすぎた源泉分は、結局のところは、解消されることなるから。このような小職の理解で、間違っておりませんでしょうか?
以上、
度々のご質問をさせて頂きます事、どうか、どうかご容赦下さいませ。伏して、宜しくお願い申しあげます。

①産業医に対する報酬について、数年前の税務調査で同じ指摘が相次ぎました。
おそらく、当地の国税局管内で誤りが多いという認識を持たれていたのだと推測します。
②ご相談者様の認識どおりです。
藤本公認会計士・税理士事務所
藤本寛之税理士 様
なるほど、こうした、ついつい見過ごしてしまいがちな、
ある意味で、些細な事項でも、
当局からは、指摘を受けてしまうことがあるなんて・・・。
驚きの一言でございます。
税務の世界は、やはりブラックボックスなので、
餅は餅屋、やはり、税理士の先生方々へ
お任せするのが賢明かと悟りました・・・。
色々とご経験をご教示頂きました事、
改めて深く感謝申し上げます。
誠にありがとうございました。
本投稿は、2018年03月02日 23時52分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。