相続した不動産を売却した場合の 譲渡所得税を計算する時の「取得費」について
相続した不動産を売却した場合の
譲渡所得税を計算する時の「取得費」について質問です。
被相続人(父)がその不動産を取得した時点の購入代金を示すものとして、相続前に被相続人が申告していた青色申告の原価償却費に記載の所得額は有効なのでしょうか?
父が購入時の書類(領収書)は無く、購入時の価格としてはそれぐらいしか分かりません。
例えば、青色申告の原価償却費に記載の所得額が980万円
購入から40年経過
相続して1年で、売却500万円だった場合
譲渡所得税が発生するのか心配です。
税理士の回答

三嶋政美
被相続人であるお父様が過去に青色申告において減価償却を行っていた場合、その申告内容は不動産の取得費を推定するための根拠資料として、一定の有効性を有すると考えられます。取得時の領収書等が現存しない場合であっても、減価償却に関する申告記録から取得価額を合理的に算定できる可能性がございます。
ただし、ご指摘の通り、不動産取得から40年が経過している場合、建物については法定耐用年数を大きく超えており、減価償却の結果、帳簿上の価値はほぼゼロとなっていることが多くなります。一方で、土地は減価償却の対象外であるため、土地部分の取得費については、当時の申告資料等をもとに別途推定する必要がございます。
なお、売却価額が500万円で、取得費が不明瞭な場合には、税務上「概算取得費」(譲渡価額の5%)が適用され、譲渡所得が発生することになります。課税の有無やその金額を正確に把握するためには、減価償却の明細や過去の申告書控えをご用意のうえ、税理士等の専門家にご相談されることを強くお勧めいたします。
三嶋先生
丁寧なご回答ありがとうごさます。
ちなみに不動産は青色申告の控えを見る限り、SRC造12階建マンションの一部屋を新築購入となります。
その場合、原価償却費は耐用年数としてまだ残っている可能性がありそうか、おわかりでしょうか?
いろいろなサイトを見ると70年だったり47年だったりとまちまちだったので…。
追加のご質問で恐縮ですが、ご回答頂けますと幸いです。よろしくお願いします。

三嶋政美
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)の建物については、所得税法上の耐用年数は原則47年と定められております。ただし、この建物が家事用資産(自己の居住の用)として減価償却の対象となる場合には、耐用年数に1.5倍の延長係数が適用され、約70年が基準とされます。
一方で、青色申告において減価償却がなされていたとのことから、当該物件は自己使用ではなく、収益物件(賃貸用)として扱われていた可能性が高いと推察されます。その場合、耐用年数は特例適用の対象外となり、原則通りの47年で償却が行われていたものと思われます。
仮に新築取得から40年程度が経過している場合でも、残存簿価がわずかに残っている可能性があり、譲渡所得の計算上、取得費として算入できる余地がございます。青色申告決算書の減価償却費の記載内容や、固定資産台帳等により確認を行うことをおすすめいたします。
流石専門家の先生のご回答、非常によくわかりました!ありがとうございました。
本投稿は、2025年05月05日 13時56分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。