日本在住フリーランスが海外企業と取引する際の、租税条約の届け出について
日本在住でフリーランスで仕事をしています。このたびアメリカの企業と取引することになりました。現在W-8BENに記入しているところで、租税条約の届出も行いたいのですが、租税条約の「何条何項」という箇所と源泉徴収税率「何パーセント」の箇所に、どう記載すればよいかわからないので、教えてください。仕事内容は翻訳と音声の文字書き起こしで、買取のため著作権は発生しません。
記入は間に入っている人事業務請負会社が提供するクラウド上のソフトウェアで行っています。そのソフトウェア上ではこの「何条何項」と「何パーセント」の記入は「Optional」(任意)と書かれています。ということは、この2つの項目を空欄にしておいたとしても、米国では源泉徴収されないよう適切に処理されるものなのでしょうか?
もし空欄にしない方が良い場合、「翻訳と音声の文字書き起こし」だと、何条何項が該当するでしょうか? また、徴収税率についてはネット上で調べたところ、ロイヤルティーの場合は「0%」と書いてある例を見かけましたが、「0%」で問題ないでしょうか?
どうぞよろしくお願いいたします。
税理士の回答

ご質問者様の業務内容から推察するに以下の観点から日米租税条約では第七条第1項の恒久的施設に帰属しない利益(profits not attributable to a permanent establishment, US-Japan Tax Treaty Article 7, Paragraph 1)として「0%」で申請するものと考えられます。
・質問者様は日本に在住する日本人で、日本国内で音声の文字起こしとその翻訳に係る役務提供をして米国企業から報酬を得ている個人事業主と考えられる(米国市民でなく米国に恒久的施設=常設の事務所等を持たない)
・音声の文字起こしとその翻訳は一般的に著作権等の知的財産を生じないと考えられる(知的財産の使用料=ロイヤルティーや、知的財産の譲渡対価に該当しない)
・質問者様と米国企業の契約は事業者間の業務委託契約に基づく報酬の支払いであると考えられる(雇用契約に基づく給与等に該当しない)
仮に租税条約を適用しない(optionalの項目を記載しない)場合、原則として30%の源泉徴収がされてしまう可能性が考えられます。
なお、実際の租税条約の適用、源泉徴収の有無・適用税率については、契約書の内容や源泉徴収義務者である相手方の企業の実務で異なる可能性があります。
上記の前提と実際の契約書や業務内容に齟齬がないか及び可能であれば相手方の企業に問い合わせして確認することが望ましいと考えられます。
詳しいご回答ありがとうございます。
前提として記載していただいた観点がまさに当てはまると思いますので、第七条第1項で「0%」で申請できそうですね。
Optionalの項目を空欄にすると源泉徴収されてしまう可能性もあるとのことで、お聞きして良かったです。
念のため相手企業にも問合せしようと思います。
ご丁寧にお答えいただき本当に助かりました。
どうもありがとうございました。
本投稿は、2025年07月14日 14時03分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。