退職金を別の年に2回もらう場合の退職所得控除(1回目:中退共、2回目:会社)
退職所得控除の計算についてご教授ください。
H8.1入社
H8.7中退共加入
H21.11役員に就任、中退共から使用人期間分の退職金が支給される(会社からは退職金支給無し)
R6.3役員退任、使用人に戻る。会社から役員期間分の退職金が支給される
R7.9退職
今回の退職にあたり使用人期間分の退職金を支給します。その際の退職所得控除ですが、
①H8.1~H21.10の13年10月
②R6.4~R7.9の1年6月
①+②=15年4月⇒16年
16年を勤続年数として計算するのだと思いますが、以前に中退共から退職金をもらっています。これについて考慮は必要なのでしょうか?
中退共の加入期間13年4月あり、中退共の退職金について退職所得控除を使っています。今回の退職所得控除額から中退共からの退職金のときの退職所得控除額を差し引く、といったことが必要でしょうか?
税理士の回答

後藤隆一
時系列と支給形態からみると、「今回の使用人退職金の計算に、過去に中退共で既に支給済み(かつ退職所得控除を使済)の使用人期間(H8.1~H21.10)を通算に含めるかどうか」で、今回の退職所得控除の扱いが変わります。会社の退職金規程・計算書でその過去期間を通算に含めて支給計算しているなら、今回の退職所得控除は「通算16年分の控除額から、重複13年分の控除相当額を差し引く」必要があります。逆に、今回の支給対象をR6.4~R7.9の使用人期間に限定しているなら、過去の中退共分を考慮(差引)する必要はありません。
ケース別シミュレーション(今回ケース)
前提(ご提示の期間)
- 使用人期① H8.1~H21.10(13年10月)…H21.11に「中退共から使用人期間分の退職金」を受領済、退職所得控除も適用済。
- 役員就任 H21.11
- R6.3 役員退任・使用人に戻る(この時、会社から役員期間分の退職金支給)
- 使用人期② R6.4~R7.9(1年6月)
- R7.9 退職。今回、使用人期間分の退職金を会社が支給予定。
パターンA(会社が「使用人期①+②」を通算して今回の支給計算の基礎にしている場合)
- 通算勤続年数:①13年10月+②1年6月=15年4月→切上げで16年。
- 原則控除額(16年):40万円×16年=640万円[2][4]。
- ただし、H21.11に既に支給済の中退共退職金が、今回の支給計算に通算期間として含まれているため、重複期間(13年10月→13年、端数切捨て)に基づく控除相当額を差引きます。
- 重複控除相当額(13年):40万円×13年=520万円。
- よって、今回の退職所得控除は、640万円-520万円=120万円。
- 備考:R6.3に会社から受けた「役員期間分退職金」は前年以前4年内ですが、今回の使用人期間と重複しないため、これに関する控除調整は不要です。
パターンB(今回の支給対象を「使用人期②(R6.4~R7.9)」のみに限定している場合)
- 勤続年数:1年6月→切上げで2年。
- 退職所得控除:40万円×2年=80万円(最低保障80万円と一致)。
- 過去の中退共支給(H21.11)は4年内要件にも該当せず、そもそも今回の支給計算の基礎期間に含めていないため、差引き不要です。
とても詳しくご説明いただきましてありがとうございます。
今回はパターンAに該当しております。
中退共の退職金は200万ほどだったのですがこれに対する退職所得控除560万円で、使い切れていない控除額(約360万)があるのですが、それについては切り捨てというか、今回の退職金にて繰越控除、みたいなことはできないのですよね…

後藤隆一
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中退共の退職金は200万ほどだったのですがこれに対する退職所得控除560万円で、使い切れていない控除額(約360万)があるのですが、それについては切り捨てというか、今回の退職金にて繰越控除、みたいなことはできないのですよね…
>
ご認識のとおり、できません。
ご回答ありがとうございます。
よく分かりました。これで適切に処理することが出来ます。
懇切丁寧にご指導いただきましてありがとうございました。
本投稿は、2025年09月03日 13時31分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。