法人税の損金算入と販売時の消費税について
ある会社を設立する予定なのですが、法人税上の「損金(経費)」と、商売における消費税のシステムについて質問です。
1. 私自身ある士業の登録資格を持っているのですが、会社の事業として「〇〇士による講演」のように銘打ったものを行うのであれば、その士資格の登録費用や維持費用は経費として計上できるのでしょうか。
2. 事業で必要なPCを購入する場合、これも経費として扱うことはできるのでしょうか。
3. 事業で運営するアプリ内で「プレミアムプラン」に類した商売をしたいと思っています。この場合、販売時には利用者に消費税を込めて支払ってもらうのでしょうか。その場合、法人はどこにどのタイミングで消費税を納めれば良いのでしょうか。
ご回答のほどよろしくお願いします!
税理士の回答

三嶋政美
いずれも法人の事業実態に即した処理が肝要です。
①士業資格に基づく講演等が法人の収益源であれば、資格の登録費・年会費は法人の損金(経費)に該当します。個人利用と明確に区分し、法人の業務のためである旨を立証できる状態が望ましいです。
②事業に用いるPCは、10万円未満なら即時費用化、それ以上なら資産計上(減価償却)が原則です。
③アプリ課金で対価を得る場合、基本的に税込価格で提供=消費税を預かる形となります。消費税の納税は、課税売上が年間1,000万円を超えた翌々期から義務化され、年1回の申告・納付となります。帳簿と区分経理が要です。またインボイス登録をされる場合はその年度より消費税の申告納税が必要です。

佐藤和樹
法人を設立して事業を行うにあたり、「法人税上の損金(経費)」および「消費税の仕組み」について、下記の通りお答えします。
【1】士業の登録費用や維持費用は経費になるか
◆結論:
会社の事業として、その士業の活動(講演・コンサル等)を行うのであれば、登録費用・年会費等は「損金(経費)」として計上可能です。
◆根拠と条件:
登録費用や維持費(会費・更新料など)は、法人の業務に直接関連する場合に限って法人の損金として認められます。
例えば:
「〇〇士による講演」「〇〇士が監修するセミナー」など、資格を明示的に使っている
法人名義で請求・収益化している
◆注意点:
法人の業務に関係なく、単に個人の資格維持のために払っているだけでは損金にできません。
あくまで「法人がその資格を活用して収益活動を行っていること」が前提です。
【2】事業で必要なPCは経費になるか
◆結論:
はい、事業のために使用するPCであれば「減価償却資産」として経費にできます。
◆具体的な扱い:
購入額が10万円未満(税込):全額を購入年度の「消耗品費」として即時経費化
10万円以上~30万円未満:中小企業の特例(少額減価償却資産)で、やはり全額を購入年度の経費と可能
30万円以上:原則、法定耐用年数(例:PCは4年)で減価償却する必要あり
◆その他注意点:
個人との共用(プライベート使用含む)の場合は、業務利用割合に応じて按分が必要です。
【3】アプリ内「プレミアムプラン」の販売と消費税の取扱い
◆結論:
原則として、アプリ利用者から消費税相当分を「税込価格」で受け取ることになります。
法人が消費税の課税事業者である場合、その受け取った消費税を期末にまとめて税務署へ納税します。
◆課税・免税の判断:
法人の課税売上高が年間1,000万円を超えた場合、翌々事業年度から課税事業者になります。
設立初年度・2期目は、原則として「免税事業者」(=消費税の納税義務なし)ですが、
「インボイス登録」をした場合
「資本金1,000万円以上」で設立した場合
→ 初年度から消費税課税の対象になります。
◆消費税の納税タイミング:
原則:年1回(決算期末の2ヶ月後)にまとめて申告・納税
売上規模によっては「中間納税」が必要な場合もあります。
本投稿は、2025年06月09日 22時06分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。