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利益相反に対する税務上の取扱い

法人の経理をしています。
利益相反行為について教えて下さい。
元請、当社、社長、外注先A。があります。
元請からの売上が毎月100万あります。
100万円の内、20万は外注Aに支払っています。
ここまでは普通だと思うのですが、社長の社会保険料が高いという事で
社長の役員報酬を下げようと考えているそうです。
社長の役員報酬は70万。
70万を40万に減額する予定です。

次に当社から外注Aに20万を支払わず社長個人に50万の外注をする。
もちろん確定申告はしますが、この時点で利益相反行為だと思います。

社長個人は売上50万を計上し通常通り20万の外注費を外注Aに支払います。
社長個人の所得は30万。役員報酬40万と合わせると70万円。
当社は20万で済んでいた外注費が50万になりますが、役員報酬を30万
下げているので当社の利益は±0円。
外注先には支払元が当社から社長個人となるが通常どおり20万は変らず。
当社の利益は変らない。となるとこれは税務上問題になるのでしょうか?
確かに当社から社長への消費税が余計に仕入税額控除されてしまうので
社長が免税事業者であっても、この部分で税務上問題が起きると思います。
ここで消費税をあえて不課税取引にすれば仕入税額控除とはなりません。
利益相反行為ではあるのですが、税務上の問題点をお聞きしたいです。
利益相反行為は誰かが不利益を被らないのであれば、逆に承認があれば
問題にならないのでしょうか?
やはり当社から社長個人に外注すること自体が問題で役員賞与として否認
されるものなのでしょうか?

税理士の回答

結論
ご提示のスキームは、
①法人税(役員給与・役員賞与)
②消費税(仕入税額控除)
③同族会社・利益移転
の3点で否認リスクが高く、税務上「問題にならない」とは言えません。
仮に
会社の利益が±0
外注先Aの受取額が同じ
社長個人が確定申告している
としても、税務は「形式」ではなく「実質」を見ます。

① 法人税:最大の問題点
役員報酬の減額+社長個人への外注
これは税務上、次のいずれかで否認される可能性が高いです。
(1) 実質「役員賞与」
社長は法人の業務執行者
本来法人が行う業務を、形式上「外注」として社長個人に付け替え
役員報酬を下げた分を、別名目で支払っている
→法人税法34条
役員に対する「職務執行の対価」は、定期同額給与・事前確定届出給与以外は 原則損金不算入
=外注費50万は、役員賞与として損金不算入にされるリスク大

(2) 外注費の否認
仮に
社長個人に「独立した事業者性」
法人との間に「実質的な業務委託」
がなければ、外注費ではなく、単なる所得付替え、法人の外注費50万が全額否認される可能性もあります。

② 消費税:かなり明確にアウトになりやすい
問題点
法人 → 社長個人:50万円の業務委託
社長個人が免税事業者
法人側で仕入税額控除が発生
これは典型的な「免税事業者を使った消費税の節税スキーム」として見られます。
根拠
消費税法30条
消費税基本通達11-2-10
実質課税の原則(国税通則法7条)
税務調査では
外注の必要性
社長個人に委託する合理性
外注Aを飛ばす理由
を説明できなければ、仕入税額控除否認+重加算税対象になるケースもあります。

③ 利益相反行為と税務の関係
会社法上、利益相反行為は取締役会(または株主総会)の承認があれば可能(会社法356条)
ただし「会社法上OK」=「税務上OK」ではありません。

④ 「誰も損していない」は通用しない
税務は誰が損したかではなく税負担が不当に減っていないかを見ます。
今回の構図は
法人:消費税・法人税が軽くなる
社長:社会保険料を下げつつ所得維持
典型的な所得分散・負担回避スキームと評価されやすいです。

⑤ 不課税にすれば安全か?
結論:安全にはなりません。
不課税処理しても法人税側で「役員賞与」「外注費否認」の問題は残る
消費税だけ調整しても法人税が崩れます

詳しいご説明ありがとうございました!!
何回かこちらで質問をさせて頂いたことがあったのですが、ここまで明確に根拠を示して
頂いた先生に当たったことがなかったので。
これで社長を説得できそうです!本当にありがとうございました!

本投稿は、2025年12月23日 13時36分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

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