大企業が法人税において中小企業よりも優遇されている趣旨とは?
大企業が法人税において中小企業よりも優遇されている趣旨とはどのようなものなのでしょうか?
税理士の回答

長谷川文男
大企業だけに適用される税制は、すべてを調べきれないので確実なことはいえませんが、恐らくありません。
資本金1億円以下の法人の年800万円以下の所得は、法人税率23.2%が15%に軽減されています。また、中小企業であることが要件になっている優遇税制が数多くあります。
欠損金(赤字)の繰越控除額も中小企業は全額ですが、大企業は50%までに制限されていたり、どうみても、大企業が優遇されていると思えません。
大企業が優遇されているように思えるのは、優遇税制の適用率が中小企業より高いからだと思います。
例えば、試験研究費の優遇税制、大企業は新製品の開発だとで支出も多いですが、中小企業は、新製品を造る気がなければ、支出しないでしょう。そうすると、大企業は税額控除で税金が安くなるが、中小企業はそのままです。
国際的に取引している法人ならば、タックスヘイブンを利用して、税金を安くしようと考えますが、国内でしか取引のない中小企業は、考えることもできません。
制度的には、以上の通り、優遇されていない。むしろ、中小企業が優遇されているのですが、どうしても、大企業が優遇されている、その趣旨を答えなさいという問題ならば、私見ですが政治家、政党等への政治献金の存在があるのではないかと思います。
つまり、規定的には、中小企業でも受けられる優遇税制で、中小企業の方が軽減額が多い規定を作るものの、事実上、その活動が大企業しか行わないのであれば、大企業しか適用できません。
そのような規定をたくさん作れば、表面上は中小企業優遇税制ですが、実質は大企業優遇税制です。
その作る動機は、企業献金です。直接的には言わないまでも、あうんの呼吸で、献金を続ける、増額するなどです。
先生は大企業について税制度面での優遇は存在しないとお考えですか。

長谷川文男
制度的には、大企業より中小企業の方が優遇されています。しかし、その実質は、最初の回答に述べたように大企業の方が受けやすい税制もあり、これをもって、大企業優遇税制というのならそのとおりです。
なお、タックスヘイブンを利用した部分は、税制の穴というべき部分であり、意図的に定めたものではありません。各国はこれを防止しようとしているものの、塞ぎきれないというところでしょうか。
本投稿は、2019年10月26日 02時53分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。