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インボイス制度で課税事業者になるべきかどうか

青色申告を行っている個人事業主です。
事業形態は1つの会社との取引のみで、データ作成の依頼を受けています。
請求は自己申告の時給という形です。
例:かかった時間×3000円
を毎月月末に消費税は対象外として請求しています。
こうした事業形態でインボイス制度のために課税事業者になると、消費税分(上記例でいうと10%の300円)を損してしまう事なると理解しており、課税事業者になる必要はないと理解していますが、正しいでしょうか?

税理士の回答

回答します

 一概に「課税事業者にならない方が良い」とは言えません。
 確かに「税負担」を考えた場合、免税事業者のままが良いのだと思います。
 しかし、現在お仕事を頂いている会社様との関係で、課税事業者になるか否かの判断をしなければいけません。
 課税事業者にならない場合、取引が停止される可能性もあるからです。

 ご説明では「消費税は対象外として請求されている」とのお話ですが、契約が「業務委託」で給与として取り扱われていない場合は、貴方と会社との取引は消費税のかかる「課税取引」に該当します。
 お取引先としては、別途消費税を請求していなくとも、現状の法令では「消費税込みの金額」として、課税仕入れ(消費税の納税時に税額が控除できる)として処理できるものとなっています。

 インボイス制度が施行されますと、インボイスの発行されない仕入に関しては、経過措置はあるものの原則「課税仕入れ」として控除の対象にすることができなくなります。

 そのようなわけですので、現在お仕事をしている会社様に、
 ① インボイス制度が始まっても免税事業者である貴方との取引が続くのか。
 ② 消費税は別途請求する形を取れるか。(今までは、消費税対象外としていたが、今後は別途請求したい)
 なお、交渉をする必要があると思われます。

 インボイス制度の開始から「課税事業者」になるためには令和5年3月31日までに申請をしなければいけませんので、なるべく早くご確認ください。

ご回答ありがとうございました。
取引先の会社が、これまで私に支払った金額を課税仕入れとして処理していた場合はそれが出来なくなるが、それでも良いかという事ですね。

例えば取引先が500万を私に支払っていた場合、これまではその内の50万を控除対象と出来たがそれが出来なくなるという事だと思いますが、私がこれから先10%の消費税を請求する事になったとして、550万を支払ってその内10%の55万の控除を受けるメリットが取引先にあるのでしょうか?

  回答します。

  取引先(の考え方)次第によると思います。

  なお、取引先が、簡易課税を選択した事業者であった場合等は、課税仕入に係る税額は法令で定めらえた率になりますので、仕入先等が課税事業者であるか免税事業者であるかは特に問題は生じません。
  
  しかし、取引先が一般課税で消費税の申告をしている場合
  取引先からは
  「いままで消費税込みとして取り扱ってきた。今後も同様の考え方であるから、インボイスは発行すること。インボイスの発行がされたとしても支払金額は変更しない。(請求金額は従来どおり消費税込み)」と求められる可能性があります。
  その上で「インボイスが発行できない場合、今後の取引を考える」と主張されることが、貴方にとって一番不利益なことだと思います。

  そのため、貴方からは
  「今までは消費税の対象外として消費税額を請求してこなかったが、インボイス制度が始まった際には、消費税を別途請求した「インボイス」を発行することを考えている。」
  「インボイスを発行しなくともよければ、従来どうりの請求を行いたい」と「交渉」することが必要なのだと考えます。

  さて、例えばに関する回答ですが
  500万円の請求の場合「税込」として考えますと消費税額は
  500万円 ÷ 1.1 ×10%= 45,454円 となり、
  500万円にあたらめて消費税額を請求した場合は、5万円(500万円×10%)となりますので、取引先としては支出が増えますが、控除額は増えることになります。

  45,454円の納税額を増加することを容認するか、5万円の支払い額を容認するかの判断が、取引先には生じます、(消費税額としては差額4,546円の納税額が減少します) 
 この点だけを考えれば、貴方が消費税額を請求しない(インボイスを発行しない)方が、取引先としてはメリットが生じるのではないかと考えられます。

  しかし、「支出額が増える」ことも「納税額が増加すること」も嫌い、先に記載したように「インボイスを発行すること。その場合であっても、支払金額の変更はしない(請求金額は従来どおり消費税込み額)」と、主張される可能性がないとは言えません。
  
  もちろん、「今後インボイスを発行するのなら、今まで請求してこなかった消費税額も請求することは正しい」として、消費税額分を支払ってくださる可能性もあります。

  また、本来は禁止とされていますが、貴方が免税事業者のまま(インボイスの発行がない)の場合、取引先は消費税の納税額の負担が増えますので、「値下げの交渉をされる」可能性もあることを念頭に置かれたほうが良いと思います。

  ただし、「簡易課税制度」を選択している事業者は、課税仕入れ額は法令の率で定められていますので、「当社は問題ないからそのままで良い」と回答もあり得ます。

  そのため「取引先(考え次第)」という回答になりました。そこで、今後の取引に関しての考え方(方針)を取引先に確認されることをお勧めいたします。

  参考にしてください。

とても分かりやすいご丁寧なご回答ありがとうございました。参考にさせて頂きたいと思います。

  ベストアンサーをありがとうございます。

  なかなか難しいと思いますが、あと1年ありますので、熟慮の上ご判断ください。
  なお、特例として令和5年3月31日までに免税事業者が「適格請求書(インボイス)発行事業者の登録申請」を行った場合、令和5年10月1日から課税事業者(1月1日から9月30日までは免税事業者)となる制度もあります。

 国税庁の「インボイス特設サイト」のアドレスを参考に添付します。 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice.htm

本投稿は、2022年02月03日 08時54分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

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