固定資産税の納税通知書にある「償却資産」について
【相談の背景】
実家が20年前からアパート経営をしています。所有していた土地にアパートを建て、まだ融資の返済が残ってる状態です。
帰省した際に固定資産税の納税通知書を見ましたら「償却資産」の欄に記載がありました。実家は農業を営んでおり機械等何かあるのかとは思いますが。特に調べる事なく支払うようで、内訳を知りたいと思います。
【質問1】
①アパートですが、昨年階段が老朽化したようで新しい物に替えたそうで、費用に2〜300万円程かかったようです。一般的にアパート経営で「償却資産」の対象になるものはありますか?
②「償却資産」の内訳はどうしたらわかりますか?
どうぞ宜しくお願い致します
税理士の回答
ご質問の件ですが、以下回答させて頂きます。
【質問①:アパート経営における「償却資産」の対象と、階段の修繕について】
固定資産税における「償却資産」とは、土地・建物(家屋)以外の、事業のために用いている構築物や機械、備品などを指します。一般的にアパート経営で対象となる主な償却資産は以下の通りとなります。
●外構・構築物: 駐車場のアスファルトやコンクリート舗装、フェンス、ブロック塀、街灯、駐輪場、ゴミステーションなど。
●その他の設備: 独立した太陽光発電設備、オーナーが後付けで設置した防犯カメラや特定の設備など。
ご相談にある「200〜300万円で交換した階段」についてですが、建物の構造と完全に一体化している階段であれば、通常は「家屋」の一部として評価されますが、建物から独立して設置された屋外の鉄骨階段や非常階段などの場合は、「構築物」として新たに償却資産の申告対象となるケースがございます。資本的支出(資産価値を高めるような大規模修繕)に該当する規模の金額ですので、申告に上がっている可能性は十分に考えられます。
又、ご実家は農業も営まれているとのことですので、トラクター、コンバイン、田植え機、動力噴霧器、あるいはビニールハウスといった農業用の機械・設備が、償却資産の大部分を占めている可能性も高いと推測されます。
【質問②:「償却資産」の内訳を確認する方法】
内訳を正確に把握するには、以下の2つのアプローチのいずれかになるかと存じます。
1. 毎年提出している「償却資産申告書」の控えを確認する
償却資産税は、毎年1月末までに所有者(または関与している税理士)が市町村へ申告した内容に基づいて課税されます。ご実家で保管されている申告書の控えに添付されている「種類別明細書」を確認すれば、現在何が資産として登録されているかが一目瞭然となります。
2. 市区町村の窓口で「償却資産課税台帳(名寄帳)」を取得する
もし控えが見当たらない場合は、ご実家のある市区町村の税務窓口(固定資産税の担当課)にて、「償却資産課税台帳」や「名寄帳(なよせちょう)」の写しをご請求ください。
*ご本人(ご両親)以外のご家族が窓口へ行く場合は、委任状が必要となります。
【適正化に向けたアドバイス】
内訳の明細を入手された後は、台帳に記載されている設備や農機具が「現在も実際に現地に存在しているか」をご自身の目でしっかりと現場確認することをお勧めいたします。
既に廃棄処分した古い農機具や、撤去済みのアパートの古い外構設備などが帳簿(申告)上だけ残ってしまっており、長年にわたり存在しない資産に対して余分な税金を払い続けているといったケースも、一般的にはある場合がございます。
まずはご実家で「償却資産申告書の控え」を探して頂くところから始めてみる事をお勧めいたします。
回答は以上となります。
ご参考になりましたら幸いです。
お忙しい所迅速なご回答、誠に有難う御座います。
償却資産の件、承知いたしました。
①処分してしまった物まで償却資産に挙げられてる可能性があるとの事ですが、使用の際は届出は必須で、使わなくなった場合の届出は必須ではないという事でしょうか?
②償却資産も色々ありますし、それぞれで耐用年数も違うと思います。償却資産の課税標準額の計算方法を役所に尋ねてもいいでしょうか?
ご質問の件ですが、以下回答させて頂きます。
【質問①:処分した場合の届出(申告)は必須ではないのか?】
結論から申し上げますと、使わなくなった場合(廃棄、売却、滅失など)の届出も必須です。
固定資産税(償却資産)は、毎年1月1日時点での所有状況を申告する自己申告制の税金です。
そのため、新しく取得した資産(増加資産)だけでなく、処分した資産(減少資産)についても、毎年の「償却資産申告書」で市区町村へ報告する義務があります。
では、なぜ処分したものが台帳に残りやすいのかというと、「制度上の漏れ」というよりも「所有者側の申告漏れ(忘れ)」が圧倒的に多いです。
新しく機械を買った時やアパートを建てた時は意識が向きやすいですが、何年も前に壊れて廃棄した古い農機具などの場合、「役所の税金台帳から消す手続きが必要だ」という意識が抜け落ちてしまうケースが多です。役所側は勝手に台帳から消すことはできないため、減少申告が行われない限り、その資産はずっと「存在している」ものとして課税され続けてしまいます。
だからこそ、台帳(名寄帳)を取得した上で、実際に足を運んで現場にあるものと台帳を一つ一つ突き合わせる実地確認が重要かと存じます。
【質問②:計算方法を役所に尋ねてもよいか?】
はい、役所の税務窓口(固定資産税・償却資産担当)に計算方法を尋ねていただくことは全く問題ありません。
ただ、窓口へ行く前に、償却資産の計算における「固定資産税ならではの特有のルール」を一つ知っておくと、疑問がよりクリアになるかと存じます。
償却資産の評価額(課税のベースとなる金額)は、「取得価額」「取得した年月」「耐用年数」を基に計算されます。
ここでおさえておきたい最大の特徴は、所得税や法人税の減価償却(最終的に帳簿上の価値を1円まで減らすことができる)とは異なり、固定資産税の償却資産は、どれだけ古くなっても「取得価額の5%」が評価額として残り続ける(最低限度額)というルールがある点です。
例えば、20年前に300万円で買ったトラクターの耐用年数がとっくに過ぎてボロボロになっていても、申告から外さない限り「15万円(300万円の5%)」の価値があるものとして、永遠に評価額に加算され、税金の対象になり続けます。
<今後のステップ>
まずは役所で「償却資産課税台帳(名寄帳)」を取得し、そこに記載されている資産リストの中に「もう現場には存在しない古い機械や設備」が載っていないかをご確認ください。もし存在しないものが載っていた場合は、今年の申告(来年の1月末期限)で「減少申告」を行うことで、翌年度からの税金を適正化することができます。
以上となります。
ご参考になりましたら幸いです。
お礼が遅くなって申し訳ございません。ご丁寧なご回答、誠に有難うございました。償却資産って耐用年数もあって、いずれば老朽化なのにいつまでも税金がかかるなんて、、ホント驚きました。
①「償却資産」は、遺言の際などの財産目録に記載しなければならない物になりますか?
②役所の「償却資産課税台帳」を取得し、それを書き写す感じでしょうか?
ご質問の件ですが、以下回答させて頂きます。
①遺言等の財産目録への記載について
法的な記載義務はありませんが、記載を推奨いたします。
アパートの屋外設備や農機具などの償却資産も相続税の課税対象になるため、遺産分割のトラブルや申告漏れを防ぐためにも目録に載せておくのが適当かと存じます。
*細かなものは「農業用機械器具一式」等とまとめて記載するのが一般的です。
②台帳の取得と目録への記載について
役所で「償却資産課税台帳(名寄帳)」を取得し、それを目録作成のベースにするアプローチはよいかと存じます。
ただ、先述の通り、役所の台帳には「既に廃棄されて現場には存在しない古い資産」が載ったままになっているケースもあるため、台帳はあくまでリストアップの参考資料とし、必ず現場にあるものと突き合わせ、実際に存在している資産だけを抽出して目録に記載するようにして下さい。
以上となります。
ご参考になりましたら幸いです。
ご回答誠に有難うございます。
② 役所の台帳には「既に廃棄されて現場には存在しない古い資産」が載ったままになっているケースもあるため…実際に存在している資産だけを抽出して目録に記載するようにして下さい。
との事ですが、もし「既に廃棄されて現場には存在しない古い資産」が載ったままになっているなら、固定資産税の払い過ぎですし、先ずはそれらの精査を早急にしないといけないという事ですよね。あと遺産分割協議などで財産目録に間違いがあったら「やり直し」になり大変とあったので、、父の資産については税理士さんとかに事前に調べてもらった方がいい気がするのですが、相続全体ではなく、一部だけ(財産目録の調査だけ)とかお願いできるものなんでしょうか?
ご依頼する税理士事務所にもよるかと思いますが、財産目録の作成だけというご依頼も一般的かと存じます。
ただ、役所に関係書類を請求したり、金融資産があれば証券会社に残高証明書を依頼するといった資料集めは通常、お客様の方でやって頂く事になり、これらを税理士事務所が代行する場合には、財産目録の作成費用に加え資料収集の代行手数料が発生するのが一般的かと存じます。
回答は以上となります。
ご参考になりましたら幸いです。
大変お忙しい中、ご回答誠に有難うございました。しなければいけない事が山のようにあり、高齢の父が元気でいてくれることを願うばかりです、、、この度は有難うございました。
追記
財産目録として記載される償却資産は、減価償却期間を経過したものは記載しないのでは?と、そんな話も聞きました、どうなんでしょうか?また確認してみます。
相続において財産を評価する際は、帳簿上の金額ではなく「現在の実際の価値(時価や、国税庁の定める評価基準に基づく金額)」で判断します。
法定耐用年数を過ぎていても、現在も農業等で実際に稼働している設備やトラクターなどであれば、中古として売却すれば値段がつく(=経済的価値がある)ため、立派な「相続財産」に含まれます。
【目録作成時の判断基準】
●現役で使っている・売れば価値があるもの: 耐用年数が過ぎていても、財産目録に記載します。
●完全に壊れていて、物理的にも使えず、無価値のもの: 財産的価値がないため記載の必要はありません(同時に、役所へ「減少申告」をして固定資産税の台帳からも外します)。
回答は以上となります。
ご参考になりましたら幸いです。
本投稿は、2026年05月06日 06時07分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。






