ビットコインでのお金のやりとりを国税庁等が把握し、それに課税することは制度上可能?
ビットコインでのお金のやりとりを国税庁等が把握し、それに課税することは制度上可能なのでしょうか?
可能であれば、その関係する法令をお教えください。
税理士の回答

米津良治
ご相談ありがとうございます。
ビットコインは新しい概念であり、今現在では制度が現実に追いついてない状態と言えます。我が国では少なくとも「通貨ではない」という結論は出ていますが、それ以上のことについては今現在では確実なことが言えず、今後税務分野を中心に様々な事例、裁判例を通して取扱いが明確になっていくものと考えられます。
個人的な見解としては、ビットコインは経済的な価値が付帯した電子情報であり、その本質は経済的価値であると考えております。したがって、ビットコインでもって取引の決済を行った場合でも、その取引自体は経済的価値の交換取引であり、所得税・法人税・消費税の課税対象にはなると考えます。
また、ビットコイン自体を売り買いして差益が生じた場合には、「金」の譲渡益と同様の課税を受けることになると考えます。
さらに、相続税、贈与税についても同様にそれだけの価値のあるものが移転した以上、課税は免れないと考えています。
ただし、国がそのような取引を把握することが可能かという点でいえば、例えば海外でビットコインを介した取引が行われた場合にはその把握は困難を極めるものと考えられます。(ただし、その取引の結果生じた富を通過に換えて、日本に持ち帰った場合にはその時点で把握される可能性は大きいです。)
最後に、国税庁のホームページでも公開されているビットコインに関する論文をご紹介いたします。
https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/kenkyu/ronsou/88/05/index.htm
以上、まだ取扱ケースが十分に溜まっていないため個人的な見解が中心となってしまいますがご参考にしていただければ幸いです。
>ただし、その取引の結果生じた富を通過に換えて、日本に持ち帰った場合にはその時点で把握される可能性は大きいです
どのような流れで把握されてしまうのでしょう?
また、現金をビットコインに換える行為も国税庁は把握できるのでしょうか?

米津良治
税関や金融機関を通しての把握、もしくはその財物を換金、消費に際して身近な人からの情報提供などが想定されます。
現金をビットコインに換える行為をどれだけ把握できているかは不明です。ビットコインの取引所と国税庁の連絡関係次第だと思います。
ご参考になれば幸いです。
>ビットコインの取引所と国税庁の連絡関係次第だと思います。
個人情報だと思いますが、取引所が個人に無断でそのような情報を国税庁に提供しても良いものなのでしょうか?

米津良治
確かに、個人情報保護法では個人情報を無断で第三者に提供することを禁止しています。
ただし、同法第23条第1項には第三者への無断提供の例外が許される場合が規定されています。その例外の中に税務調査などのケースが規定されています。
http://www.mext.go.jp/b_menu/koukai/kojin/info/1321235.htm
とはいえ、税務当局へ情報提供するか否かは最終的にはその会社の意思によりますので、ざっくりいうと顧客との関係と日本国との関係をどちらを優先するかという問題になります。(銀行、証券、保険会社は規制産業ですので言うに及ばず)
蛇足ですが、アメリカのテロ捜査にあたりアップル社がiPhoneのロック解除を拒否した事例がありましたが、似たようなジレンマがあるかと思います。
ご参考になれば幸いです。
そもそも取引所はビットコインの所有者の個人情報を把握しているものなんですか?

米津良治
非常に鋭いご指摘ですね。
その点については個別の取引所にご確認いただければよろしいかと思います。
ちなみに、下記レポートによりますと、かのマウントゴックス社は自主的に顧客の本人認証を行っていたとのことです。
https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/kenkyu/ronsou/88/05/index.htm
本人認証を行わない取引所や個人等からビットコインを購入した際は、国税庁もビットコインをどれだけ保有しているかを把握するのは難しそうですね。

米津良治
ご指摘の通り、そのようなケースでは国税庁が把握するのは難しいしょう。
意図せぬ申告漏れが起きないようご注意くださいませ。
本投稿は、2016年05月04日 19時27分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。