日本の非居住者が日本の会社に所属し、日本に所得税を納める方法はありますでしょうか。
私は勤め先で海外赴任が決まり、家族帯同したいと考えております。
配偶者はリモートワークが可能な業務のためできればそうしたいのですが、配偶者の会社は私の赴任先に支社などを持っておらず、また赴任先は帯同ビザでの就労が認められていないため、ビザや税金の問題がありこれが難しそうです。
そのためタイトルのような質問をさせていただくのですが、赴任先は租税条約が結ばれている国ですのでどちらかで税金を収めればいいものと理解しています。
納税先は恒久的な施設、設備がある国に帰属するというような記載もどこかで見た記憶があるのですが、上記のような状態で日本で税金を納める方法はありますでしょうか。
税理士の回答

米森まつ美
赴任先は租税条約が結ばれている国ですのでどちらかで税金を収めればいいものと理解しています。
⇒ 残念ながら、租税条約は「どちらかに納税すれば良い」ではなく「どちらに課税権があるか」を定めている条約になります。
また、所得の種類によっては、非居住地国及び居住地国の課税がされる所得があります。(役員報酬や使用料、土地などの所得)
この場合は、二重課税になるため居住地国で「外国税額控除」なので調整がされます。
租税条約は正しくは「所得に対する租税の二重課税の除去及び・・・を防止するための日本国と○○国との間の条約」となっており、そのための処置として課税権がどちらの国にあるのかまた、二重課税になった場合はどのようにするのか約束し、記載などが内部分はそれぞれの国の国内法に委ねられています。
納税先は恒久的な施設、設備がある国に帰属するというような記載もどこかで見た記憶があるのですが、上記のような状態で日本で税金を納める方法はありますでしょうか。
⇒ 残念ながら思い当たりません。
給与所得の場合、国内法も租税条約上も「勤務地国」が「課税権」を有する事になっていると考えられます。
例外として役員報酬については、その国の本店所在地で課税を受けた上で、居住地国でも課税されることになります。(私の知りうる租税条約の多くはそのような取扱いになっています)
恒久的施設などの考え方は
例えば日本の非居住者が日本国内に不動産がありその不動産所得がある場合や日本国内に支店や工場を保有してその支店など(恒久的施設)の営業活動によって生じた所得・・・所得が支店等に帰属する場合は日本で課税権を有することになっています。
なお、「帯同ビザの就労」を禁じているのは、扶養者の扶養を受けながら生活することが条件であるためと相手国での雇用を確保するための措置であると聞いたことがあります。
そこで、リモートによる勤務(他国の仕事)まで禁じているのか、また日本のように、相手国のビザによる就労制限が1週間中28時間までのような決まりがあるのか確認が必要になると思います。
また、ビザと税金は分けて考える場合もあります。
日本の場合、仮に不法滞在であったとしても、所得が発生した場合には納税の義務は生じます。
相手国の課税の考え方は不明であるため、この点も確認が必要かもしれません。相手国の税務当局にご確認ください。
本投稿は、2024年01月17日 05時54分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。