海外で売却した家のお金を日本に送金は課税対象?
欧州に住んでいますが家を売却し日本に6月頃本帰国予定です。家の売却金は約4200万円ほどですが3500万円までは非課税、それ以上の額に課税されると聞きました。これは本当ですか? 又こちらにある預金(約2000万円)も日本の自分の口座に送金予定です。これらは課税対象になりますか?
税理士の回答

米森まつ美
貴方は日本の非居住者で日本国籍のある方との前提で説明します
1 譲渡所得
① 日本に帰国前、非居住者が海外にある不動産を売却した時には「国外源泉所得」に該当するため日本には課税権がありませんので、申告・納税義務はありません。
② 帰国後は、貴方は居住者になると解せますので、帰国後に不動産を売却した場合には不動産の所在地にかかわらず譲渡所得の対象となります。
譲渡による利益は課税対象であり、3500万円の非課税枠というものはありません。
おそらく、居住用住宅の譲渡の際の3000万円の特別控除のことを指している可能性があります。(金額は少し違います)
また、売却代金に課税されるのではなく「課税譲渡所得金額」に課税されます。
収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額=課税譲渡所得金額
2 預金の異動
自己の預金移動は特に課税の対象にはなりません。
国税庁HPから参考箇所を添付します
源泉徴収のあらまし
※非居住者の課税について説明があります。
7枚目(P278)の表と10枚目(P281)一番上「土地等の譲渡等の対価」を参照してください。https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/aramashi2024/pdf/12.pdf
「海外勤務者が帰国した時の確定申告」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1935.htm
「譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1440.htm
「マイホームを売った時の特例」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm
米森先生 ご返信ありがとう御座いました。追加なのですが欧州在住約30年ですが2020年に主人が亡くなり2022年に日本に住民届けをしましたが欧州に家があるので日本と欧州を行き来していました。2025年2月に家が売れたので6月に日本に本帰国の予定です。行き来してたとは言え私は居住者になりますよね。自己預金の移動は課税対象外との事ですが家の売却金を”自己預金の移動”として日本に送金するのは違反でしょうか? 宜しくお願い致します。

米森まつ美
>2022年に日本に住民届けをしましたが欧州に家があるので日本と欧州を行き来していました。
⇒ この情報だけで貴女の居住者・非居住者を判断するのは難しいと思います。
また、住民票の有無は参考になりますが、絶対とは言い切れません。
居住者・非居住者の判断は、居住を必要とする仕事の有無、恒久的施設の有無(日本にもあるか?)、実際の居住実態等々により判断します。
日本に戻られてからでも構いませんので、所轄の税務署に「譲渡所得」についての質問として「不動産を売却した時点」において居住者に該当するか確認されてはいかがですか。
税務署への相談は事前に予約が必要ですので、都合の良いときに予約をしてから相談に伺うようにしてください。
>自己預金の移動は課税対象外との事ですが家の売却金を”自己預金の移動”として日本に送金するのは違反でしょうか?
⇒ どの法令に関する「違反」を懸念されているのでしょうか。
少なくとも税務上は違反にはなりません。
なお、100万円を超える海外送金(受取)に関して銀行では税務当局に報告をします。
その報告をもとに貴女にお尋ねが来た時には、その原資も含めて報告されればよろしいのではないでしょうか。
米森先生 日本に本帰国してから更に所轄税務署で確認したいと思います。色々とありがとう御座いました。

米森まつ美
少しでもお役に立てれば幸いです。
居住者・非居住者の区分について、国税庁HPから参考箇所を添付します。
「居住者・非居住者の区分」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2875.htm
「住所の推定」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2875-1.htm
本投稿は、2025年02月19日 02時17分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。