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個人型確定拠出年金(iDeCo)を全額一時金で受け取る場合の退職所得控除について

確定拠出年金を全額一時金で受け取る場合は退職所得控除が適用されると思いますが、それに関して質問があります。

個人型確定拠出年金(iDeCo)には、
①加入者(毎月の拠出金あり)
②運用指図者(毎月の拠出金なし)
の2パターンがあります。②で8年間運用指図して60歳でiDeCoを全額一時金で受け取る場合、退職所得控除は40万円×8年=320万円となるのでしょうか?
あるいは②の期間は退職所得控除の計算に含まれず退職所得控除はゼロになるのでしょうか?

確定拠出年金と税金の関係について知見がないので教えていただけると助かります。
何卒ご教授の程よろしくお願いいたします。

税理士の回答

とても良いご質問ですね。iDeCo(一時金受取時)の退職所得控除の計算は、「拠出していた年数」だけでなく「運用指図者期間」をどう扱うかで誤解が生じやすいポイントかと思います。

順を追って整理してご説明いたします。

① 退職所得控除の基本構造

退職金や iDeCo の一時金は「退職所得」として課税されます。
その際に長期積立を優遇するため、退職所得控除が使えます。

・勤続年数20年以下 → 40万円 × 勤続年数(最低80万円)
・勤続年数20年超 → 800万円 + 70万円 × (勤続年数 - 20年)

👉 ポイントは、どの期間を「勤続年数」とみなすかです。

② 所得税法施行令69条の位置づけ

退職所得控除に使う「勤続年数」をどう数えるかを定めています。
確定拠出年金(DC・iDeCo)の一時金については、「掛金を拠出した期間」を勤続年数に準じて扱う と明記。
逆に言えば、支払額の計算の基礎とならない期間は勤続年数に含めないという整理になります。

③ 運用指図者期間の扱い

運用指図者は「拠出していない=掛金の払い込みがない」ため、施行令69条の趣旨からすれば勤続年数に含まれません。
国税庁の質疑応答事例(源泉所得税)でも、「支払額の基礎とならない期間は勤続年数に含められない」と明示。

👉 よって、運用指図者期間だけでは退職所得控除は発生しないと解されます。

④ ご質問のケースに当てはめると

「加入者(拠出者)」としての期間なし
「運用指図者」として 8 年間のみ

この 8 年は拠出期間ではないため、退職所得控除に算入されない

➡ 結果として、退職所得控除額は 0 円 になるものと考えられます。

⑤ まとめ

・iDeCoの一時金も退職所得扱い
・控除額は「掛金を払った期間」で計算(施行令69条)
・運用指図者期間は拠出がないためカウント外
・ご質問のケースでは退職所得控除はゼロ

🔍 補足として、金融機関や一部解説資料で「加入者等期間」と説明されることもあり、そこに運用指図者期間を含めるように見える場合があります。ただし、税法上の控除計算は「拠出期間」のみというのが条文と国税庁質疑応答事例からの安全な理解と考えます。

猿渡先生、
よく理解できました。
とてもわかりやすいご回答ありがとうございました。

本投稿は、2025年08月23日 19時18分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

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