開業前の経費
クリニックを昨年末で閉院。今後、同物件をクリニックとして賃貸する予定です。個人事業主として、賃貸開始前の清掃、不用品の廃棄、リフォーム等は開業前の準備費用にできますか。よろしくお願いします。
税理士の回答
個人事業主は、業種ごとに税金を計算するのではなく、すべてまとめて計算することはご存じかと思います。
個人事業主が「クリニックの経営」から「不動産賃貸業」へ転換する場合、ご質問の費用(清掃・廃棄・リフォーム等)は不動産所得の計算において、必要経費または開業費として認められる可能性が高いです。
ただし、税務上の扱いは「いつ」「何のために」行ったかによって、「必要経費」か「開業費(繰延資産)」か、あるいは「資産(資本的支出)」かに分かれます。
費用ごとの取り扱いとポイント
清掃・不用品の廃棄費用
これらは基本的に、新たな賃貸経営を開始するための準備として「開業費」に計上できます。しかし、クリニックの閉院のための経費として捉えられなくもありません。その場合には、クリニックの経費になりますが、冒頭に述べたように、クリニックの経費であろうが、不動産賃貸業の経費であろうが、経費には違いありませんよね。
開業費とは、開業日までに支払った、開業準備のための特別な費用です。
通常の経費と違って、開業費ならば「任意償却」が可能です。つまり、利益が出た年にまとめて経費にしたり、数年に分けて経費にしたりと、納税額をコントロールできます。
昨年末までのクリニック運営に伴う「閉院処理」としての清掃・廃棄であれば、本来は事業所得(クリニック側)の経費ですが、賃貸のための原状回復や準備であれば不動産所得の開業費となります。ここの判断は費用に難しいです。クリニックを閉院し、間髪おかずに清掃・廃棄を行う場合には、クリニックの経費であると考えます(なお、数十年前までは、廃業日以降の経費は、次に何を行うかによって経費になったり家事費になったりといった質疑がありましたが、現在では、相当の期間を経て行うもので無ければ、廃業した事業の経費であるという考え方になっています)。
リフォーム費用
リフォームの内容によって、経費(開業費)になるか、資産として数年かけて減価償却するかが決まります。
修繕費(開業費)になるケース:
壁紙の張り替え、通常のクリーニング、壊れた箇所の原状回復など。
これらは「開業費」として、前述の任意償却の対象にできます。
資本的支出(資産)になるケース:
間取りの変更、最新設備の導入、建物の価値を高めるような大幅な改修。
これらは「建物」や「附属設備」として資産計上し、法定耐用年数に応じて減価償却していく必要があります。
手続き上の重要なステップ
所得の種類が「事業所得(医業)」から「不動産所得(賃貸)」に変わるため、以下の点にご注意ください。
「開業届」の提出ですが、不動産賃貸業を新たに開始するため、改めて「個人事業の開業・廃業等届出書」を税務署に提出するのが一般的です。
また、クリニック時代に青色申告をしていた場合で間髪おかずに業種転換をしている場合には、そのまま青色申告が継続できるはずです。念の為、不動産所得について特典(特別控除など)を継続して受けるために、状況を税務署に確認することをお勧めします。
「昨年末に閉院」し「今後賃貸する」というタイミングの場合、「いつから不動産貸付業を開始したとみなすか」によって、今年の確定申告の書き方が変わってくるわけです。
本投稿は、2026年04月06日 13時35分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。






