米国本社からインセンティブとして株式を付与された場合、日本及び米国においてどのような手続が必要ですか
外資で働く会社員ですが、昨年の11月にインセンティブとして米国本社株式を付与されました。grantは昨年11月、vestは本年11月から3年間、毎年11月に行われるようです。
しかし、付与しますという情報以外会社から何の説明もなく、聞いても本社のことだから…と回答していただけません。過去に付与された方に話を伺ったところ、その方も当社気付かず最近追徴金を支払った、との事でした。
自分で少し調べてみたものの、手続きが全く分からず途方に暮れています…
どのような手続が必要なのか、また、税務署等に行けば教えていただけるのか、ご存知の方がいらっしゃいましたら教えていただけると大変助かります。
お忙しい中恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
税理士の回答

山本健治
RSUでしょうか。
grantの時点では課税されず、vestの時点での株式の時価に相当する経済的利益について、給与所得として課税されます。
取得した株式を譲渡した際には、譲渡価額と取得原価との差額が(譲渡手数料があればそれも差し引けます)譲渡所得(分離課税)として課税されます。
ご返信ありがとうございます。
という事は、来年確定申告が必要という事でしょうか。
また、米国の方では手続不要でしょうか。
質問ばかりで申し訳ございませんが、もしご存知でしたらご教示の程よろしくお願いいたします。

山本健治
はい、来年確定申告が必要になるかと存じます。
米国源泉所得になりますが、非居住者に対するものなので、何もしないと30%の源泉がかかるのではないでしょうか。
会社が協力的であればご相談なさることをお勧めします。

私が存じあげていることを留意点も含め、回答いたします。
1.Vest前に支給されるDividend equivalent(配当相当金)について
Vest前にDividend equivalentが支給されることがございます。私の知りうる限り、日本子会社から給与として給与口座に振り込まれ、源泉徴収の対象となるケースと、Vest時の株数にDividend equivalent分だけ上乗せされるケースがございます。前者のケースについては、給与所得として源泉徴収の対象になっているので、確定申告書に源泉徴収票外給与として申告する必要はございません。後者のケースは、Vest時に2.に記載するように基本、ご自身で給与所得として申告する必要がございます。
2.Vest時
Vestされた株式の時価が給与所得として課税されます。税法上は国外払いの給与になるので、日本で源泉徴収の対象にならないのですが、まれに、従業員の申告漏れを回避する観点から、自主的に日本子会社で源泉徴収しているケースがございます。ご質問者様の日本子会社の給与部門に源泉徴収の対象となっているか、念のため、確認された方がよろしいかと思います。日本で源泉徴収されてないのであれば、ご自身で確定申告書に源泉徴収票外給与として申告する必要がございます。尚、日本の子会社はVestされた株式の経済的利益を対象従業員の氏名及び住所も含め、支払調書として税務署に提出しますので、確定申告が漏れていると税務署からお尋ねを受ける可能性がございますので、ご留意ください。
3.配当金受取時
通常、日本の証券会社等でVestされた株式の配当金支払処理を行わないため、源泉徴収の対象とならず、申告分離課税(20.315%)又は総合課税(累進税率)で確定申告することになります。米国では通常、W-8BENという書類をVestされた株式の米国預かり金融機関に提出することにより、日米租税条約の税率である10%の源泉所得税が適用されます。尚、日本と米国の2ケ国で二重課税が生じますので、日本の確定申告の際、外国税額控除を使って、米国源泉所得税10%は日本の所得税から控除され、二重課税が排除できます。
4.譲渡時
譲渡時の時価から取得価額(=Vest時の時価)と手数料を差し引いた金額を譲渡所得として申告分離課税(20.315%)として確定申告します。尚、Vest時が異なる株式を取得することになりますので、その場合は総平均法に準ずる方法(具体例は下記URL参照)により計算します。https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1466.htm
米国税務上の取り扱いについては、日米租税条約の規定上、上記3.で記載した配当の10%の源泉所得税以外に課税権はないものと理解してます。
山本先生
ご返信ありがとうございました。
会社にもすぐ相談してみます。
林意剛先生
ご丁寧にご説明頂きありがとうございました。
大変参考になりました。
ちなみに、これら手続は素人でも出来るものでしょうか…?
それとも税理士の先生にお願いした方が良い案件でしょうか…?

主観的なコメントになりますが、配当金受取時の外国税額控除は、難しく感じるかもしれません。ご不安であれば、税理士にお願いするか、所轄税務署又は税理士とご確認の上、確定申告を進めていただければと思います。
ご返答ありがとうございました。
自分では少し難しいように感じましたので、税理士の先生にお願いする事も視野に入れて対応したいと思います。
ありがとうございました。
本投稿は、2022年08月22日 22時28分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。