譲渡所得、及び贈与税を節税する方法について
約20年前に義父(妻の父)が所有する土地にマイホームを建てました(土地は義父名義、建物は私名義、居住は私達夫婦のみ)
この度、その土地建物を売却して、私達夫婦は別に住んでいる義父母の家をリフォームして同居する予定です。
不動産の評価は土地:建物=8:2程度と予想され、今のまま売却すると居住用財産の譲渡所得の特別控除は実際に居住していた私達夫婦(建物分)にのみ適用され、義父所有の土地の売却代金分には控除はなくそのまま義父が多額の譲渡所得を支払わなければならないのではないかと心配しており、良い節税方法はないかと悩んでます。
◎その土地は将来的に妻が義父から相続する予定の土地でもあるため、義父から生前贈与という形で妻の名義に変更して、その後に売却すれば、譲渡所得の特別控除がフルに適用できるのではないかと思っているのですが、考え方は合っていますでしょうか?
◎また別途かかる多額の贈与税については、「相続時精算課税制度」を利用して節税を考えています。実際の相続時の財産や土地の評価額の増減によってメリット・デメリットは異なるかとは思いますが、この考え方についてもアドバイスいただければ嬉しいです。
◎売却後に現在の義父母の家に同居する際に要するリフォーム代金については譲渡所得には関係ないのでしょうか?譲渡所得額から必要経費として差し引けるものなのでしょうか?
税金に関しては無知で申し訳ありません。ご助言、ご指導よろしくお願いします。
税理士の回答
居住用財産を譲渡した場合の3000万円特別控除は、その特例の適用を受けるためのみを目的として一時的に居住した場合には適用できないとされていますが、本件に関しましては従来から居住の用に供されていたとのことですので、上記の不適用事例とは異なるものと思われます。したがって、その敷地を贈与で取得し、その後その土地と従来から所有の家屋をともに譲渡した場合には、その譲渡に関しては3000万円特別控除が適用できるものと考えます。
しかし、平成22年6月24日の裁決(国税不服審判所)において、「贈与を受けてからが所有者の立場であり、所有者となった時点においては、既に売却の意思が決定済みで居住する意図がなかったとして特例の適用は不可」という判断が下された事例もあります。
つまり、贈与時に既に売却話が進んでいたら特例の適用は受けられないという考えもありますので、こちらも参考にご検討頂ければと思います。
次に、相続時精算課税制度を使って土地を贈与する案は別段問題ないと考えます。
但し、土地を贈与する時点で、所有権移転の費用(登記費用・登録免許税)・不動産取得税等の負担が生じること、また、一度この制度を選択しますと、その後は「奥様のお父様」から「奥様」への贈与は、全て相続時精算課税制度の対象となる贈与となりますのでご注意ください。
最後に、義父母の家のリフォーム代金については、今回の譲渡所得の計算で控除できるものではありません。
また、今回の売却代金をリフォーム資金に充てる場合には、注意が必要になります。
義父母名義の建物を、所有者以外の者がリフォーム代を支払いますと、費用の負担者から建物の所有者へ贈与があったものとされ贈与税の課税対象となってしまいます。こちらの対策も考慮したうえで総合的なプランをご検討頂ければと存じます。
宜しくお願いします。
本投稿は、2015年07月14日 11時22分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。