退職手当振込時期、および節税対策について
現在、外資系企業に勤務しておりますが、先日日本市場撤退が決定し、来春に会社が閉鎖されることになりました。会社からは、年内での退社か、年明け後のオフィス閉鎖まで勤めるかの選択肢を与えられました。また、オフィス閉鎖という事由から、全社員に対し、通常の退職金に加え、月収3か月分保障、有給買取の条件が提示されました。ちなみに、退職後、来春から大学院に通うことが決まっており、向こう2年間ほど、就職はしません。
質問①
退職金は分離課税ですが、月収3か月分保障、有給買取となっている部分の扱いはどうなりますか? これらは、退職しなければ発生しないものと考慮し、退職金同等扱いとして、分離課税とすることはできますか?
質問②
来年学生に戻り、無収入になることを考えると、住民税の観点から、年内退社を選択し、年内に全ての金額が振り込まれるよりも、来春の会社閉鎖時の退社を選び、少なくとも退職金関連は翌年度の収入とするほうが、負担は少なくなりますか?
また、四半期毎の出来高制で、今期の契約数に応じたインセンティブが、来期末に振り込まれるので、来年度は完全な無収入ではありません。
学生に戻るということもあり、その無収入の期間の税金負担をできるだけ軽減できればと思い、ご相談させて頂きます。よろしくお願いいたします。
税理士の回答
東京都中央区の小林税理士事務所 小林拓未と申します。
退職所得の定義は、所得税基本通達30-1に、下記の通り定められております。
退職手当等とは、本来退職しなかったとしたならば支払われなかったもので、退職したことに基因して一時に支払われることとなった給与をいう。したがって、退職に際し又は退職後に使用者等から支払われる給与で、その支払金額の計算基準等からみて、他の引き続き勤務している者に支払われる賞与等と同性質であるものは、退職手当等に該当しないことに留意する。
したがって、退職前の有給買取については、その原因が、退職ですので、退職所得となります。
月収の保証分も、原因が労働の対価というよりは、退職によると考えられます。ただ、会社がどのような意図で支払うか、原因が退職と考えるか、労働の対価と考えるか、によります。
また、退職金については、翌年の住民税に影響しませんので、いつもらっても負担は変わりません。
以上よろしくお願い致します。
ご回答ありがとうございます。
大変分かりやすかったです。
そして、退職金が翌年の住民税に影響しないというのは、勘違いしていたので、教えて頂き助かりました。ちなみに、来期末に振り込まれる予定であるインセンティブは、退職後の振込ですが、これを退職手当扱いとして欲しいと会社に依頼することは可能ですか?
あるいは、今期の仕事の対価ゆえ、退職手当と依頼することは筋違いでしょうか。
お時間のある際にでも、ご教示頂ければ光栄です。よろしくお願い申し上げます。
退職金は、支払いの際に源泉所得税と住民税があらかじめ引かれてから入金されますので、そこで課税関係が完結します。
インセンティブについては、そのベースが労働であり、その成果に対して支払われる対価ですので、退職金ではなく、給与になると思われます。
ただ、来年の給与となり、金額が100万円以内であれば、所得税はかかりませんし、住民税も数千円程度ですので、むしろそのほうが有利になるかもしれません。
早々のご回答ありがとうございます。
大変ご丁寧にありがとうございました!
本投稿は、2016年10月27日 11時28分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。