個人事業のバックオフィス業務を一人会社に外注することの問題点を教えてください
私が経営する個人事業のバックオフィス的な業務を、私が100%所有し私一人だけが所属する法人に外部委託したいと考えています。
この法人は、バックオフィス業務の得意な私が、仲間の社長たちのバックオフィス業務を引き受けられれば仲間を助けることができると思って最近設立した会社です。
手始めとして、私自身の個人事業のバックオフィス業務をその法人に外注し、その法人の社長である私がバックオフィス業務をやることで、業務の標準化を進めることができますし、同時に個人事業の節税も図れると思っています。
このような仕組みについて、税務的に何か問題がないか、ご助言をいただけないでしょうか。
税理士の回答

法人の役員がその法人と業務委託契約を締結する場合であっても、法人の事業目的に定められている事業に係る業務になりますので、役員としての地位に基づく業務執行の範囲内と考えられます。
この考え方から、形式上は業務委託であっても役員業務一般に対する対価と考えられますので、役員に対する給与に該当します。
また、会社法上は利益相反取引になりますが、仮に利益相反取引を許容する決議をして業務委託の形式を整えても、上記の通り税法上は損金不算入の役員給与に認定されると考えらます。
会社の役員は会社に対して忠実義務を負い利益相反取引の禁止義務を負いますので、会社が役員に業務委託をするというのは通常の考え方ではあり得ません。
特に一人法人の場合、社長の一存でどのようにでもできてしましますので、税務当局も厳しく見ます。

すみません。
ご質問のケースは上記の回答と逆のケースになるようですが、結論は役員が自身の会社に業務委託をするという考え方も通常はあり得ないと思います。
前田先生
早速のご回答ありがとうございます。拝読するに、私の説明不足があったかもしれず、補足させていただきます。
私は屋号のある個人事業Aを営んでおり、これと別にバックオフィス業務を行う会社Bを最近新規設立しました。今回ご相談したのは、個人事業Aから、バックオフィス業務を会社Bに業務委託することについてです。
したがって、会社Bとその社長である私が業務委託契約を締結するのではありません。あくまで個人事業Aと会社Bの取引であり、私は会社Bの役員としての業務執行として、個人事業Aから委託されたバックオフィス業務を実施しますので、会社Bと私の間で利益相反は特段ないのではないかと思います。
なお会社Bは、個人事業Aのバックオフィスのみならず、他社のものも受諾するよう営業を行っていく予定です。

個人事業Aには法的な人格はなく、あくまで自然人であるご質問者様個人がご自身が経営する会社に業務委託することになります。
当初の回答で私の勘違い(会社→個人の業務委託)があり、利益相反には該当しませんが、そもそも自然人であるご質問者様が自身の会社に業務委託をし、その実務を役員たるご質問者様が執り行うことに合理性がありません。
法人と個人は別人格とはいえ、自分の仕事を自分に委託していることと同じとみられます。
これが結果的に租税回避行為と認定されれば、同族会社の行為計算否認とされる可能性があり、ご質問の行為そのものがなかったものとして課税される可能性が極めて高いと思います。
ご質問のような考え方は、牽制が働かない同族会社ゆえに思いつくことですが、特に一人社長の会社は自身の意思でどのようにでも決められますので、会社と役員個人間の取引について税務上は特に厳しく見られるとお考えいただければと思います。
尤も、上記の税務上のリスクを織り込んでされることを妨げるものではありません。
なるほどですね。よくわかりました。ご助言感謝します。
本投稿は、2021年02月28日 14時10分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。