合同会社設立の決算月、インボイス登録前提なら9月決算でよいか
【要約】10月下旬に合同会社を設立します。最初からインボイスに登録する前提のとき、9月決算でよいか、ほかに決算月を決めるときに考えることを教えてください。
個人事業から合同会社を設立します(10月下旬に設立予定、資本金50万円、社員は私1人で代表社員)。
・事業は企業向けのITサービスで、取引先は会社(BtoB)です。お客様から適格請求書を求められる可能性が高いと考えています。
・私は会社員として勤めながら設立し、当面は役員報酬なしの予定です。
・1期目を長く取れるよう、9月決算にしようと考えています。
質問
1. 最初からインボイスに登録する前提の場合、9月決算にする利点や注意点はありますか。
2. 決算月を決めるときに、ほかに考えるべきことはありますか(役員報酬を決める時期、個人の確定申告との重なりなど)。
3. 個人事業の資産を法人に移すときに、決算月の選び方で気をつけることはありますか。
税理士の回答
竹中公剛
1. 最初からインボイスに登録する前提の場合、9月決算にする利点や注意点はありますか。特にない。
2. 決算月を決めるときに、ほかに考えるべきことはありますか(役員報酬を決める時期、個人の確定申告との重なりなど)。
いつでも同じと考える。2か月後が申告期限です。
11月が忙しくないほうがよいが。
3. 個人事業の資産を法人に移すときに、決算月の選び方で気をつけることはありますか。
特にない。
打矢智也
補足すると、インボイス登録を機に課税事業者となる場合、第1期中に届出をすれば、その第1期から簡易課税を選べる場合があります。ITサービスであれば原則として第5種事業ですので、原則課税とどちらが有利かは確認しておくとよいと思います。
役員報酬を出す場合は、損金算入を考えると原則として期首から3か月以内の設定・改定を意識します。当面ゼロであれば、その点は急がなくて構いません。
個人事業の資産を法人へ移す場合も、決算月との直接的な関係は基本的にありません。移転時点の処理を個別に整理すれば足ります。
結論として、9月決算で問題ありません。ただし、最初からインボイス登録する場合、「設立月の前月を決算月にして第1期を長くする」という定番の理由(消費税の免税期間を最大化する)はほぼなくなります。そのため、決算月は消費税以外の事情で選ぶことになります。
インボイス登録前提での9月決算の利点と注意点
最大の注意点:法人では2割特例も3割特例も使えません。 2割特例は、インボイス発行事業者の令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間に適用できる制度です。2026年10月下旬に設立する法人の第1期にはこの期間の日が含まれないため、何月決算にしても対象外です。また、令和8年度税制改正で後継の「3割特例」が新設されましたが、対象は個人事業者のみで、法人は対象外です。
これは法人化そのものの判断にも関わります。個人事業のままなら、2026年分は2割特例、令和9・10年分は3割特例(売上税額×30%)が使えます。一方、法人で簡易課税を選ぶと、IT・情報通信系のサービスは原則として第5種(みなし仕入率50%)になり、納付額は売上税額の5割です。消費税負担は法人化で増える可能性が高いので、法人化のメリットと合わせて試算しておくことをおすすめします。
手続き面: 設立日からインボイス登録を有効にするには、第1期の末日までに登録申請書を出し、登録希望日を設立日にします。簡易課税を使う場合は、簡易課税制度選択届出書を第1期中に出せば第1期から適用できます。9月決算なら期限には余裕があります。ただし、取引先に登録番号を早く伝える必要があるので、実際には設立後すぐに出すのが現実的です。手順は、法人番号の通知、登録申請、番号の通知という流れで、数週間程度のタイムラグを見込んでおいてください。
9月決算の利点: 第1期が約11か月強と長くなり、法人住民税の均等割(月割)や設立初期の費用を1期にまとめられます。また、申告期限は11月末なので、個人の確定申告(3月)や1月の法定調書・償却資産申告と時期が重なりません。
決算月を決めるときにほかに考えること
役員報酬: 定期同額給与は、事業年度開始から3か月以内に決める必要があります。新設法人なら設立から3か月以内です。報酬なしで始めて途中で払いたくなっても、期中に増額すると損金になりません。9月決算だと、次に変更できるのは2027年10月〜12月です。第1期が長い分、「報酬なし」の期間も長く固定されます。生活費をどこから出すか(法人から引き出すと役員貸付金になります)も含めて、本当にゼロで1年近くいけるかを確認してください。報酬ゼロなら、社会保険は加入不要で国保・国民年金のままになります。
個人の確定申告との関係: 2026年分の個人の申告(2027年3月)は、1月〜設立前までの個人事業分を締める最後の申告になります。法人の第1期決算(2027年11月)とは時期が離れているので、作業の重なりはほぼありません。
繁忙期と利益予測: 決算作業が自分の繁忙期とぶつからないかを確認してください。また、売上が大きく立つ月が期末直前にあると、利益を見てから対策する時間がなくなります。企業向けITなら、顧客企業の年度末(3月)前後に案件が集中することが多いです。9月決算ならその影響を受けにくいでしょう。
納税資金: 法人税・消費税の納付は決算の2か月後です。入金が多い時期の後に納付が来る形だと資金繰りが楽になります。
個人の持ち物を会社で買う場合は、生活用動産の売却は所得税はかからないので基本的に決算月による影響はありません。
ご回答ありがとうございました。簡易課税の届出の時期と、役員報酬を決める時期について、よく分かりました。
本投稿は、2026年10月07日 13時06分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。







