税金面からみる個人事業主と法人の違い 「法人成り」でどう変わる? - 節税や実務に役立つ専門家が監修するハウツー - 税理士ドットコム

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税金面からみる個人事業主と法人の違い 「法人成り」でどう変わる?

個人事業主と法人の基本的な税制度の違い

税制面から見た個人事業主と法人の大きな違いは「何の税法によって税金を計算するか」という点にあります。

個人事業主であれば「所得税法」に則って納税額を算出する一方で、法人であれば「法人税法」に則って納税額を計算する必要があります。

いずれの納税額も基本的に「所得金額×税率-控除額」で決定され、所得税額は「総収入金額-必要経費」で計算できる点では共通しています。

ただし、「計上できる必要経費」や「課される税率」、「適用できる控除制度」などに違いがあるため、たとえ所得金額が同じであっても、事業形態によって最終的な納税額が変わってきてしまうのです。

計上できる「必要経費」の違い

個人事業でも、法人でも、事業活動を行うには何かしらの「支出」が発生しています。ただし、税法上ではその扱い方・考え方が異なるため、そのポイントを押さえておきましょう。

個人事業の場合は「事業活動に必要なもの」が計上できる

所得税法上、事業所得の必要経費には「事業活動に必要なもののみ」が計上できると決められています。

これには「売上のために直接使った費用」と「その年に必要になった業務上の費用」の2つがあります。具体的には広告費や交通費などが挙げられ、「その出費によって業務が成り立たっている場合には計上できる」というルールになっています。

法人の場合は「会計上の費用+調整分(損金)」が使われる

法人の場合は「会計上の利益」と「税法上の利益」という考え方があります。そのため、法人所得の必要経費には「会計上の費用に一定の調整を加えたもの(損金)」が使われることになります。まずはこの点が個人事業と異なるということを理解しておきましょう。

損金として扱われるものには、個人事業で認められている費用に加えて、一定の生命保険料や役員用社宅の家賃、社用車の購入資金、家族への給料などもあります。個人事業よりも損金(経費)の種類が多いため、その分、所得金額を少なくできる場合があります。

所得金額に課される「税率」の違い

税率は各税法によって定められており、所得税と法人税では異なります。なお、税率は定期的に見直されているため、「平成27年分以降」のものを説明します。

個人事業の場合は「5%~45%の累進課税」が適用される

所得税率は所得金額の区分に従って、「最低5%から最高45%まで」の7段階が設定されています。

たとえば、所得金額が100万円であれば所得税額は5万円ですが、1000万円であれば176万4千円です。このように所得金額が増えるにつれて、納付額も増えていきます。

法人の場合は「19%または23.2%の固定課税」が適用される

法人税率は法人の区分に従って、適用される税率が決められています。

区分にはいくつかの種類があり、たとえば「所得金額が年800万円以下の中小法人であれば19%」、「所得金額が年800万円超の中小法人であれば23.2%」といったものがあります。そのため、所得金額が一定額を超える場合には、法人税率の方が有利になるケースも考えられます。

適用される「控除制度」の違い

税金ごとにさまざまな控除制度があり、事業形態によって利用できるものが異なります。全てが使えるわけではありませんが、条件が合えば納付額を少なくできます。

個人事業の場合は「青色申告特別控除」などが利用できる

個人事業主の場合は通常の所得控除や税額控除が使えるほか、青色申告者であれば「青色申告特別控除」という制度が使えます。青色申告者になると最高で65万円分の税額控除を受けられます。

また、個人事業主の場合は「小規模企業共済」という制度も活用でき、最高で年間で84万円まで所得控除を受けることができます。

法人の場合は「中小企業等投資促進税制」などが利用できる

法人の場合はいくつかの税額控除が設けられていて、たとえば、中小企業等投資促進税制や所得拡大促進税制、研究開発税制などがあります。

これらは対象法人が一定の設備投資を行ったり、従業員への給与所得額を増やしたりすることで、一定金額を控除できるという制度です。これらを使うことで法人税額を少なくできます。

実際に「法人成り」をするとどう変わるのか?

個人事業の場合は「利益=所得額(事業所得)」ですが、法人の場合は「利益=法人の所得+役員報酬(給与所得)」となります。つまり、法人成りすると、適用できる税目・税率を調整でき、最終的な納付額を少なくできる可能性があるのです。

また、法人成りではその方の所得の種類が「給与所得」へと変わります。したがって、事業所得では使うことができなかった「給与所得控除」なども使えるようになり、「最低65万円から最高220万円まで」の控除を受けられるのです。そのため、個人事業よりも大幅に控除が受けられる可能性も考えられるでしょう。

ただし、利益は「法人の所得」と「役員報酬」の2つに分かれてしまうため、「その方の手元に残るお金は減ってしまう」という可能性も考えられます。あくまでも法人成りにより、合計した納付額が減らせるかもしれないという認識が大切になるでしょう。

おわりに

ここで説明したことはあくまでも税金面から見た「法人成り」の特徴であり、個人事業者と法人の違いはこれ以外にもあります。たとえば、法人設立には費用が必要だったり、社会保険の手続きが必要だったりといった具合です。

実際にはそういった面も踏まえて、法人成りするかどうかを選ぶといいでしょう。なお、法人成りを検討している場合は、税理士に相談するのも有効な手段だと言えます。

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