飲食店オーナーが知っておくべき税金のまとめ~個人事業主編~

将来カフェを開きたい、レストランを経営したいと考えている方。また、すでにお店を経営している飲食店オーナーの方に向けて、飲食店を経営する上で知っておくべき税金の基礎知識について解説します。このページでは、個人事業主の方を対象にまとめています。
目次
飲食店経営に関わる税金の種類
個人事業主が経営する飲食店に関わる主な税金は、主に以下の6つです。なお、飲食店経営のみで不動産業等その他の所得がないということを前提としています。
1.所得税
「所得税」とは、その人が1年間に得た収益(所得)にかかる税金のことです。お店の経営で発生した「売上金 - 経費」が収益(事業所得)となり、その他の所得はその性質ごとに区別されます。
「事業所得 + その他所得 - 各種控除」が課税所得となり、この課税所得に応じた所得税率を乗じて計算します。
所得の種類
所得は所得税法上、10種類に分類されています。所得税はこれらのすべての所得が課税対象となります。
所得の種類 | 内容 |
---|---|
利子所得 | 預貯金や公社債の利子などの所得 |
配当所得 | 株式や出資の配当などの所得 |
不動産所得 | 土地や建物などの不動産賃貸による所得 |
事業所得 | 農業、漁業、商工業などの事業による所得 |
給与所得 | 給料や賞与などの所得 |
退職所得 | 退職手当や退職一時金などの所得 |
山林所得 | 山林や立木の譲渡による所得 |
譲渡所得 | 土地、建物、ゴルフ会員権などの資産譲渡による所得 |
一時所得 | クイズの賞金、競馬の払戻金、生命保険の返戻金などの一時的な所得 |
雑所得 | 他のどれにもあてはまらない、年金などの所得 |
2.消費税
「消費税」とは、広い意味での"消費"に対してかかる税金のことです。事業者は「預かった消費税(売上) - 支払った消費税(仕入れ)」を納税することになります。
例えば、パンを作るために購入した小麦粉の消費税が16円で、その作ったパンを売って得た消費税が24円だとします。
「預かった消費税(24円)- 支払った消費税(16円) = 8円」を納税します。仕入れる時点で消費税16円を小麦粉を購入した業者に支払っているので、この自分が納めた8円と業者が納めた16円で24円になり、消費者が負担した24円が納税されたということになります。
このように消費者が税金を負担し、事業者が納付するという仕組みになっています。
免税事業者
売上が1,000万円以下であるなど条件を満たした事業者は「免税事業者」となり、消費税の納付が免除されます。
免除される一方で還付も受けられなくなるので、仕入れのほうが多いと支払った消費税の方が多くなり、損になる可能性があるのでこの点はご注意ください。この場合は、適用したい課税期間の開始の日の前日までに「消費税課税事業者選択届出手続」を行えば、売上が1,000万円以下でも課税事業者となることができます。
大きな設備投資や仕入れがある場合は、あえて課税事業者を選択すると消費税が還付されるというメリットがあります。
3.個人事業税
「個人事業税」とは、個人が行う事業で発生した所得にかかる税金です。
「事業所得 + 不動産所得 - 各種控除-事業主控除290万円」に法定業種に応じた税率を乗じて計算します。
税率に関しては法定業種によって異なり、3%・4%・5%のいずれかになります。法定業種は3種類に分けられ、飲食店は第1種事業で5%です。
ただし、所得税の確定申告をすれば、税務署から納税金額が通知されますので自分で計算する必要はありません。
区分 | 税率 | 対象 |
---|---|---|
第1種事業(37業種) | 5% | 物品販売業や飲食業等通常の事業等 |
第2種事業(3業種) | 4% | 水産業や畜産業等 |
第3種事業(30業種) | 3~5% | 医業、税理士業等(いわゆる士業等) |
4.個人住民税
「住民税」とはみなさんが暮らしている自治体の行政サービスなどに使うための費用を、その能力(担税力)に応じて分担するための税金です。
「都道府県税・都民税4%」と「自治体民税・特別区民税6%」を合わせて個人住民税と呼びます。所得税の計算とほぼ同じで、課税所得に対して「所得割」と「均等割」といわれる住民税がかかります。
納税額は、「課税所得 × 税率 - 各種控除」で計算します。個人事業税と同様に、所得税の確定申告をすれば自分で計算する必要はありません。
5.固定資産税
「固定資産税」とは、土地や建物などにかかる税金です。
例えば、経営しているカフェやレストランがある建物や土地が、事業主の所有物であれば、固定資産税が毎年かかります。基本的には、土地の評価額(課税評価額)に1.4%(標準税率)をかけて計算します。
土地や建物の所有者が負担するものなので、賃貸の場合はこの固定資産税は発生しません。
6.償却資産税
こちらはあまりなじみのない税金かもしれません。
「償却資産税」は、土地や建物以外の事業に使用する固定資産に課税される税金のことです。高額なパソコンやお店の厨房機器、工具器具備品などが対象となります。
基本的には、課税標準額(1,000円未満は切捨て)に1.4%(標準税率)をかけて計算します。
ただし、課税標準合計が150万円未満の償却資産や、取得価額が10万円未満の償却資産のときは税金は発生しないことになっています。
課税標準額の計算
課税標準額は、各年度におけるそれぞれの資産の評価額の合計で求めることができます。次のような計算で算出します。
- 初年度:取得価額 × (1 - 減価率 × 1/2) = 評価額
- 2年目以降:前年度評価額 × (1 - 減価率) = 評価額
忘れがちな税金
飲食店経営に関わる主な6つの税金を紹介しました。これらの主な税金については、既にご存知の方も多いかと思いますが、各種保険料の支払、印紙税、場合によっては自動車税なども関係してきます。
また、これらについても簡単に説明しておきます。
各種保険料
厚生年金や国民保険・国民年金なども税金の1種です。
印紙税
忘れがちなのが、「印紙税」です。一定の契約書や5万円以上の領収書を発行する際などに、印紙税が発生します。
契約書や領収書には、金額に応じた収入印紙を貼付してください。
自動車税・軽自動車税
自動車税や軽自動車税は、毎年発生する税金で、所有者にかかります。配達や仕入れのためなどに自動車や軽自動車を所有していた場合に発生します。
税額は、用途や総排気量によって変わります。平成28年度には軽自動車税が変更になったり、今後も消費税引き上げに伴う変更が予想されているので、注意しましょう。
おわりに
飲食店経営に関係する税金についてお分かりいただけたでしょうか。
ここで紹介した税金は、飲食店経営者だけでなく、全ての個人事業主の方に関係あるものですので、この記事がフリーランスや様々な業種の個人事業主の方のお役に立てば幸いです。
税金や税務のことでわからないことがあれば、税理士に相談したり、顧問契約して定期的にアドバイスを受けることも検討してみてください。
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