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海外在住者の国内所得における確定申告について

初めまして。
現在海外にワーキングホリデーで滞在していながら、日本企業の仕事を業務委託で受注している者です。
自分の場合、日本での確定申告が必要かどうかについてお伺いしたいです。

自分の状況は以下の通りです。
・住民票は抜いている
・2021年に個人事業主として開業届を提出済み(閉業していない)
・2022年の出国時にその年度は会期途中の準確定申告の形で申告した
・日本の企業である取引先から源泉徴収はされていない
・インボイス未登録
⭐︎請求書上の住所は日本の住所で記載している。

一度、出国の際に、税務署に電話問い合わせした際は以下の回答を得ています。
・非居住者の場合は、日本国内の収入であっても、滞在先の国で確定申告をする必要がある(日本では必要なし)
・居住者か非居住者の判別は住民票を抜いているかに関係なく"想定"で1年以上日本にいないかどうか(ここは自己判断のニュアンスで受け取りました)

上記から、1年以上日本に居住はしていないので、確定申告は日本でする必要がないと認識しているのですが、自身の状況の⭐︎の部分について懸念しています。
税率が変わるとかの問題で、取引先からの要求により請求書上の住所は日本のものを記載しているのですが、これが影響で日本で居住とみなされてしまう可能性はありますでしょうか。
また、その部分以外でも、税務署の問い合わせした方によって意見が別々だったこともあり、本当に確定申告しなくていいのか不安になっています。

お忙しいところ恐縮ですが、海外居住の場合の具体的なルールについて御教示頂けましたら幸いです。
何卒どうぞよろしくお願いいたします

税理士の回答

税率が変わるとかの問題で、取引先からの要求により請求書上の住所は日本のものを記載しているのですが、これが影響で日本で居住とみなされてしまう可能性はありますでしょうか。

⇒ 「税率が変わる」という点が不明ですが、「請求書上の住所が日本である」ことをもって、居住者とみなされることはありません。

>居住者・非居住者の判定
 ⇒ 居住者・非居住者の判定は、日本国内に「住所」を有するか、既に1年以上日本に「居所」がある方を居住者、それ以外を非居住者としています。
   
  そこで、すでに1年以上日本に居所がない・・・海外に居住している場合は、非居住者として判断できますが、それ以外の方の場合「住所=生活の本拠地」が国外にあるか国内にあるかを「推定」する基準がありますので、お伝えします。

「国内に住所を有しないと推定する場合」
  1 その者が国外において、継続して海外に通常1年以上居住することを通常必要とする職業を有すること
  2 その者が外国籍などを有し、かつ、国外に配偶者等の家族を有する場合、資産や職業の有無によって、その者が再び国内に帰り国内で居住する見込みが推測できる事実がないこと

  「1」は、海外勤務者の方や海外の会社に就職した時、また、1年以上の留学が確定して出国した場合が一例です。
  「2」は、海外の親会社から派遣された役員などが帰国する場合や、留学生が帰国する場合が一例です。
  これらの理由で出国した場合は、出国した翌日から「非居住者」となり、出国する前に準確定申告をするか、納税管理人を立てて、確定申告時に申告書を提出するなどします。

  ここからはあくまでも私見となりますが
  ワーキングホリデーで海外に行かれる方が、1年以上居住が必要な職業を有して出国しない限り、「1年以上海外にいる予定」だけで出国の翌日から非居住者にはならないと考えられます。
  もちろん、先に1年以上の期間の雇用契約などを締結し、出国される方もいらっしゃいますので、貴方がどのようなケースで出国したかにより判断されますので、税務署の「想定」というお話が、ご質問の事実関係によって回答が異なるのではないかと考えます。

  国税庁HPから参考箇所を添付します。
  「住所の推定」
  https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2875-1.htm
  「居住者・非居住者の区分」
  https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2875.htm

 長くなりますので、分けて回答します

 「非居住者の課税」について

 非居住者の日本の課税は「国内源泉所得」に限られています。
 そして「国内源泉所得」の課税も、日本国内に「支店」などの恒久的施設の有無にもよって、確定申告義務の有無もわかれることがあります。

 国税庁HPから参考箇所を添付します。
 「源泉徴収のあらまし」ですが、7枚目(p274) の一覧表をご覧ください。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/aramashi2022/pdf/12.pdf

 貴方の日本の企業からの報酬が、この表のいずれかに該当するか否か、また該当する「国内源泉所得」によって、「源泉分離課税」であったり「源泉徴収の上総合課税(確定申告)」であったりします。
 
 仮に日本において「事業所得」に分類されるものであっても、デザインや記事などの「著作物」に関連する報酬の場合、「著作権の使用料等(使用料・譲渡)」に該当することがあります。
 この場合は、20.42%の税率の源泉分離課税となりますが、貴方の居住地国と日本国との間で「租税条約」を締結している場合は、「免税や軽減」されている場合があります。
 なお、免税や軽減を受けるには、報酬の受け取る前に、支払者を通じて「租税条約の届出書」(免税の場合は、特典条項の附表と居住者証明書)を、支払者の所轄税務署に提出する必要があります。
 ※ 租税条約を締結している国の場合、課税を受けた所得税は、居住地国で「外国税額控除」の対象となる可能性がありますので、支払者を通じて「源泉所得税等の納税証明願」を提出し、納税証明書を入手することをお勧めいたします。
 
 なお、貴方が日本に支店等の恒久的施設を有せず、日本の企業から受け取る報酬が「事業所得」に分類され、先の「表」の①~⑯に該当しない場合は、日本での申告納税義務はないことになります。

 添付しました「源泉徴収のあらまし」は国内法と租税条約の対比などもされていますので、参考になると思います。

 また、税務署も私たち税理士も、伺った「事実関係」により判断をさせていただきますので、事実関係が異なると回答も異なります。
 そのため「税務署の問い合わせした方によって意見が別々だった」ことになったのだと考えられます。

 税務署には、事実関係を整理し、報酬の内容が分かる契約書なども持参したうえで、電話予約を行い「個別質問」をされることをお勧めしていますが、既に海外に出国されているため、それもかないませんので添付した資料などを参考にご検討くださいませ。

大変ご丁寧にご回答いただきありがとうございます。とても参考になります。
もう少し詳細に状況を説明した上でご意見をお伺いさせてください。

私の場合少し特殊なのですが、ワーキングホリデーの制度を複数使用して別々の国に滞在している状態です。
1回目の国から帰国した際、住民票は戻したのですが、すぐに次の出国が決まり住民票を戻して約3ヶ月後くらいにまた抜きました。
今後はあまり日本に滞在する予定がないので、住民票は戻さず一時帰国のような形で一度日本に帰り、次の国に移ろうと考えております。

>ワーキングホリデーで海外に行かれる方が、1年以上居住が必要な職業を有して出国しない限り、「1年以上海外にいる予定」だけで出国の翌日から非居住者にはならないと考えられます。
→色々な国を転々としているので、1年以上居住が必要な職業は有していないのですが、上記の状況から日本に住んでいる事実はかなり少ないものとなります。
仕事内容としては、一般的な事務のような内容になりますので、表のどれにも該当せず、さらにもちろんPCだけで行う作業ですので日本に支店等の恒久的施設もありません。

このような場合、日本もしくは渡航先各国どちらで申告が必要だとお考えでしょうか。
ご参考程度でも構いませんのでご意見お伺いできれば幸いです。

どうぞよろしくお願いいたします。

  今回の貴方のケースは難しい判断であることから、あくまでも今回説明する内容は「参考」であり、確定した回答は税務署でいただくようにしてください。

  貴方はワーキングホリデーで出国した時には就職などはしていないようですので、「住所の推定」としては、国籍での判断をすることになります。貴方は日本人(日本国籍)を有していますので、1回目の出国時には「住所」は日本国内にあるとされ「居住者」であり、居住者のまま「帰国」したことになります。
 3カ月後出国し引き続き、海外に居住していた場合は、1年が経過した時に「非居住者」に該当します。
  なお、海外において居住者になるか否かは、外国の法令によりますので一概には言えません。場合によっては「相互居住者」とされます。
  また、滞在国と日本国とで「租税条約」を締結している場合は、その条約により居住者・非居住者の判断をすることになります。

  貴方の場合、居住者期間の所得は日本での申告納税が必要になると思います。非居住者になった後の所得は、「国内源泉所得」がない場合は日本での申告納税は必要ないと考えらえます。

  また、外国においてもその国の法令上その国で得た所得は、非居住者であっても課税を要する可能性がありますが、外国の課税については、滞在国の課税当局にご確認ください。

 国税庁HPから参考箇所を添付します。
「複数の滞在地がある場合」
 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2012.htm

本投稿は、2024年06月06日 17時19分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

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