ニュージーランドとの租税条約について
日本国籍のニュージーランド永住権保持者です。2018年4月より日本の企業スポーツチームにコーチとして3年契約し、現在日本に在住しています。妻(日本国籍)と子供2人(日本及びNZ国籍)は、子供の学校の関係でNZに在住しております。2018年度はNZでも収入があったため、2018年度の確定申告では外国税控除しました。NZの確定申告が3月締めのため、確定申告の準備をしています。日本とNZ両国の双方居住者となるため、租税条約が適応されると思いますが、私のようなケースは、どちらの国の居住者となるでしょうか。私は日本で賃貸マンションに住んでいます。妻と子供はNZの持ち家に住んでいます。コーチの契約は3年間で契約後も日本に継続して住む予定です。NZでビジネスをしてましたが、現在日本にいるためNZのビジネス関連の収入は年間50万円程度です。収入のほとんどは日本の企業チームからとなります。妻と子供以外の家族は全員日本に住んでいます。もし、NZの居住者として所得税を納税することになった場合、日本で確定申告した税金は還付されるのでしょうか?
税理士の回答

1年を超えて、日本にて勤務を要する仕事をしている場合は「日本の居住者」となります。
貴方のコーチとしてのお仕事が、日本での仕事が前提とされているようでしたら、第一次的に「日本の居住者」として判断されます。
その上で、租税条約上において検討した結果、「ニュージーランドの居住者」となる場合は、日本では非居住者課税となり、NZでは、外国税額控除の対象となると思われます。
しかし、2018年の確定申告で「外国税額控除」を行ったということは、日本の居住者として申告されたのでないでしょうか。
日本の居住者として納税した税額を、NZの居住者として申告し「外国税額控除」をすることはできないと思われます。
※ 居住者は「全世界課税」、非居住者は「その国に源泉所得のみ課税」、二重課税された所得の調整のために「外国税額控除」があります。
そこで、日本とNZで、一旦双方居住者となった場合でも、最終的にはどちらかの「居住者」として判定しないといけません。
それでは、改めて貴方は日本とNZのどちらの居住者に該当するのでしょうか。
日本とNZとの租税条約では、
第1に、日本の場合、日本の法令で居住者とされる者かどうか確認します。
第2に、NZの法令の下において、NZの居住者に該当するか確認します。
第3に、日本とNZの「双方居住者」となる場合は、「恒久的住居」の有無、国籍などにより判断します。
第4に、それでも判断ができない場合は、二国間協議となります。
NZの法令の下において「居住者」となるかは、NZの法令は不明のため、課税当局に確認されいただいてもよろしいですか。
そのうえで、双方居住者となった場合、改めていずれか一方の「居住者」となるか、ご検討ください。
※ 私は、貴方は「日本の居住者」に該当すると思いますが、NZの法令が不明のため明確な回答はしかねます。
《参考 日本とニュージーランドとの租税条約》
第4条
1「一方の締約国の居住者」として、
(a)日本については、日本の法令の下において、住所、居所、本店又は主たる事務所所在地その他これらに類する基準により日本国において課税を受けるべきものとされる者
(b)ニュージーランドについては、ニュージーランドの法令の下において、ニュージーランド居住者として課税を受けるべきものとされる者
第4条
2 1の規定により双方の締約国の居住者に該当する個人については、次のとおりその地位を決定する。
※「2」の規定は長いため省略しますが、「恒久的住居」⇒「利害関係の中心的場所」⇒「常用の住居」」⇒「国籍」の順番で判断していきます。
「居住者と非居住者の区分」の考え方は下記を参考にしてください。 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2875.htm
日本とNZの租税条約は下記を確認してください。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/page22_000015.html
迅速なご返信ありがとうございます。「恒久的住居」とは具体的にどういったものでしょうか。

「NZの居住者として所得税を納税した場合は、日本の確定申告した税額は還付されるのでしょうか」についてお答えしていませんでした。
日本の「居住者として申告」したことは誤りとして、申告納税した税額は一旦還付となります。(更正の請求となると思われますが、税務署にお問い合わせください。)
しかし、報酬を支払った企業は、当該対価には非居住者に対する支払いとして、20.42%の源泉徴収をする必要がありました。
もともと、源泉徴収(報酬からの天引き)が必要でしたから、貴方は、支払者である企業に対して「源泉所得税額」を返金し、納税してもらうことになります。(源泉に関しては企業に、不納付加算税が賦課されます。)
そののち、「源泉徴収に係る納税証明書」を入手し、NZでの「外国税額控除」の際に使用することになります。

「恒久的住居」とは、旅行等の短期滞在用の住居ではなく、居所として滞在する住居と考えられます。
3年の滞在が短期か?否か?というのは難しいですが、「腰を落ち着けて滞在する居所」と捉えていいのではないでしょうか。
OECDモデル租税条約コンメンタリーによると
「恒久的住居は、当該個人が恒久的利用のために用意し、維持するものである必要がある。住居が自己所有であるか賃貸であるかは関係ない。しかし、恒久性は重要である。したがって、一定の期間に限って、必然的に短期間の滞在となる旅行等で滞在する住居は、恒久的住居とはならない」と説明されています。
逆によめば、「旅行等で滞在する住居でなければ、恒久的住居となりえる」と考えらえます。
さらに、「恒久的」とまで言えないが「常用の住居」との考え方として
「当該個人が頻繁に滞在する国を重要視している」ことがいえます。
明確性に欠けて申し訳ございません。
3年契約で日本で仕事をし、当然のこととして日本の居住者として2018年度の確定申告をいたしましたが、ニュージーランドで日本の収入も含めて3月末の確定申告を会計士と準備しておりましたところ、NZでも居住者ではないのか、との疑問がわき、租税条約について調べておりました。詳しいご説明ありがとうございます。

お返事ありがとうございます。
会計士の方とよく相談され、準備していただけたらと思います。
本投稿は、2019年05月13日 10時49分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。