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なぜ「あげます」「貰います」なのですか?

教えて下さい。元国税庁で、お仕事されていた税理士先生にお聞きしたいです。
贈与税は、個人から、贈与された時にかかる税金です。
贈与とは、「あげます」「貰います」の双方の同意が必要です。
と、言われてす。
私は、結婚して、40年の専業主婦です。
夫から、通帳とカードを預かっています。
私の「あげます」「貰います」は、お小遣いをあげる、貰う
私が税務太郎の愛人であれば、生活費は、「あげる」「貰っ」だと思います。
ですが、私は税務太郎の妻です。太郎さんは私が預かった銀行からお金を引き出して、そのお金で、洋服、靴、お酒等を買います。持ちろん、自分でも、私が預かった通帳から引き出しもしています。太郎さんは、自分があげたお金で、生活してますよね。
私は生活費は、預ける 預かるの関係だと思います。
私の考えは、税務署には、通じないのでしょうか?

税理士の回答

「預けた」のであればあとで返してもらう必要があります。あげたのではないのですから。
よって、「生活費」も「あげた」「もらった」の関係が成り立ちます。ただし、生活費をあげることは扶養義務者の義務ですから、必要な範囲内の「生活費の贈与」は、相続税法では非課税としているのです。

一般的に、自分の預金通帳を奥さんに預けて、家族全員の生活費として渡すことはよくあります。これは、生活費のために預金通帳から引き出すことは、家族の生活費としてあげることを暗黙の了解としているのであって、自分以外の家族の生活費を後で返してもらうために「預けた」のではありません。

そう考えると、
「太郎さんは私が預かった銀行からお金を引き出して、そのお金で、洋服、靴、お酒等を買います。太郎さんは、自分があげたお金で、生活してますよね。」の部分はそうかしれませんが、そうであれば、実際に太郎さんの妻や子供たちは誰のお金で生活費を賄っているのでしょうか。太郎さんの通帳からではなく、自分の衣食住はすべて自分のお金で生活しているのであれば預金を「預かった」と言えますが、果たしてそうでしょうか。
そこに考え方の矛盾があります。

 生活費は「預ける」「預かった」という考え方になると解されます。

 夫婦の生活費は、いわゆる「夫婦共同生活の基金」と考えられています。
 仮にご主人から「預かった」お金を生活費として、奥様やお子様名義の銀行口座に入金されたとしても、当該銀行口座に入金されたお金の原資は、ご主人の給与等からとなりますので、ご主人の資産(名義預金)として考えられています。

 お尋ねの内容とは異なりますが、「へそくり=奥様名義の預金」は誰のものか?との考えがあります。
 奥様が専業主婦の場合は、当該「へそくり」はご主人のもの(ご主人が死亡した時の名義預金として相続税の対象とする)と考えられています。

 これらの話は、裁決などでも紹介されていますので、税務署での同じ考え方であるといえます。

 なお、「贈与」を行う場合は、特に夫婦間や親子間の場合は、書面(贈与契約書)を作成したうえで、「贈与」が成立したことを客観的に証明できるようにお勧めいたします。

 最初の「あげます」「貰いました」について追加説明します。

 「贈与」は民法の考え方になります。
 民法第549条「譲与は当事者間の一方が、自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生じる」と規定されています。
 贈与者による「贈与の意思表示(あげる)」と、受贈者による「受贈の意思表示(受諾・もらう)」の合致をもって成立する契約行為(諾成契約)であることが特徴となっており、贈与者の一方的な贈与の意思表示のみでは贈与は成立しないことになります。

 税法も、この民法の考え方を採用(借用)しています。

 また、民法上の贈与は口頭による場合でも成立するとされていますが、贈与の内容を明確に書面で記録しておくことは重要であると考えられます。
 ただし、いくら贈与契約書を作成したとしても、贈与の内容が履行されていない場合(例えば預貯金の口座名義の変更をしていないなど)は、贈与の真実の成立性に疑義が生じることになり、今後相続の時などにトラブルとなることがありますので注意が必要です。

 また、先にお伝えしたように、夫婦の生活費は「夫婦共同生活の基金」であるとの考え方があるため、仮に口頭での贈与契約があったとしてもその立証はとても困難になりますので、その場合には「書面」を作成することが重要になります。


 

本投稿は、2025年09月30日 09時50分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

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