住宅ローン借り換えに伴う夫婦間の金銭貸借と贈与税について
住宅ローンの借り換えに伴い、現在夫婦の連帯債務となっている住宅ローンを夫単独名義へ変更する予定です。この場合、妻の負担分を夫が借り換えることで、妻から夫への贈与とみなされないか確認したいです。
【現在の状況】
平成25年7月、3,200万円を35年ローンで借入(主債務者:夫、連帯債務者:妻)。住宅持分は夫6/10、妻4/10です。現在の残高は約2,142万円で、夫負担分約1,285万円、妻負担分約857万円です。今回、夫単独ローンへ借り換えるため、妻負担分約857万円も夫が借り換えることになります。住宅持分は夫6/10、妻4/10のまま変更しません。
【考えている方法】
約857万円について「妻から夫への貸付」とし、①夫婦間で金銭消費貸借契約書を作成、②無利息ではなく借り換え後の住宅ローンと同程度の金利を設定、③返済期間・毎月の返済額・返済日を明記、④妻の口座から夫の口座へ毎月銀行振込で実際に返済、という方法を考えています。
この方法であれば、約857万円は贈与ではなく真正な金銭貸借として認められ、贈与税は発生しないと考えてよいでしょうか。
特に、以下についてご教示ください。
住宅持分は妻4/10のままなのに、ローンを夫が単独で負担すること自体が、贈与と認定されるリスクはないか。
金銭消費貸借契約書は通常の私文書で十分か、公正証書が必要か。公正証書にすることで贈与税リスクは下がるか。
金利は住宅ローンと同程度で問題ないか。夫婦間貸付として適正な金利水準はあるか。
返済能力について税務上の基準や注意点はあるか。また、契約書だけでなく実際の返済実績が重要か。
将来、返済免除・返済額や期間の変更をした場合、贈与税が発生する可能性はあるか。
税務調査に備え、契約書、返済予定表、銀行振込記録、利息支払記録、返済能力を示す資料など、どのような証拠を残すべきか。
今回、贈与と認定される可能性が最も高いポイントと、その回避方法についても具体的にご教示ください。
税理士の回答
山本快夫
お世話になります。
ご質問に対する回答
↓
共稼ぎ夫婦ではない前提ですと、贈与認定のリスクはあるものの、ご質問の前提の方法とすれば、妻のローン残高相当額を夫に返済する代わりに、夫から借りる形となることから、贈与として課税されないと考えます。
・金銭消費貸借契約書は、私文書で十分です。
・金利も住宅ローンと同じで構いませんし、前提の金額水準ですと無利息でも税務上問題になりません。
・契約に従った毎月や毎年の実際の返済実績が重要です。
・その都度、一部につき返済免除(贈与)の契約も可能で、基礎控除110万円以下の場合は非課税となります。
・証明・疎明・説明市資料として、契約書と銀行振込記録は最低限必須と考えます。
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補足)
まず、今回の借換時に、妻のローン残高相当額を夫に返済するのが、最もシンプルで税務上問題になりません。(贈与にはなりません。)
次に、共稼ぎ夫婦の収入比が夫6:妻4であり、夫婦の間で借換後の夫単独ローンの返済はその収入比ずつ負担する旨の契約書(合意書)を作成したうえで、その契約に基づいて、これまで同様に引き続き毎年ローン返済の負担をすれば、贈与とならない余地があると考えます。この場合、暦年単位で贈与を認識することになります。
ただ、個人的には税務上のリスクはあると考えますので、おすすめしません。
共かせぎ夫婦の間における住宅資金等の贈与の取扱について(直資58 昭和34年6月16日)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/sozoku/590616/01.htm
国税庁のタックスアンサーNo.4411
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4411_qa.htm
今回のケースとは異なりますが、マンション取得時に一括贈与課税されず、暦年単位で贈与課税される点は、参考になると考えます。
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他の方のアドバイスも参考になさってください。少しでもご参考になりましたら幸いです。
山本快夫
補足で言葉足らずの箇所がありました。
次に、・・・この場合、妻が約定どおり負担しなかった場合は、暦年単位で贈与を認識することになります。・・・
宜しくお願い致します。
早速、丁寧にご回答いただきありがとうございます。
ご回答を踏まえて、もう1点、確認させていただければと思います。
現在、妻は専業主婦で無収入ですが、3年前までは正社員として勤務しておりました。また、現在も預金を保有しており、当面の間は、その預金から夫への返済を行うことが可能な状況です。仮に今後、家計の状況が急変し、返済が困難となった場合には、妻自身が再び仕事をして収入を得る意思もあります。
今回、借換時点で妻の連帯債務に係る残高相当額を夫が銀行から借り換え、その金額について妻が夫から借りたものとして金銭消費貸借契約を締結し、妻から夫へ毎月実際に返済する方法を考えています。
この場合、以下の点について確認させてください。
① 妻のローン残高相当額について、夫から妻への「貸付」として税務上認められるためには、借換時にどのような契約・資金移動を行えばよいでしょうか。
② 金銭消費貸借契約書には、貸付金額・返済期間・毎月の返済額・返済方法等をどの程度具体的に記載すべきでしょうか。また、私文書で問題ないとのことですが、公正証書にする必要はないでしょうか。
③ 無利息でも問題ないとのことですが、税務上の安全性をより高めるため、少額でも利息を設定した方がよいでしょうか。
④ 妻は現在無収入の専業主婦ですが、3年前までは正社員として勤務しており、現在も預金から当面の返済が可能です。また、家計が急変して返済が困難となった場合には、再就職して収入を得る意思があります。このような状況で、妻が実際に返済可能と考えられる返済額を設定していれば、夫から妻への貸付として問題ないでしょうか。
⑤ 将来的に家計状況が急変し、妻から夫への返済が困難になった場合、その時点で返済免除(贈与)とすることは可能でしょうか。その場合、年間110万円以下の贈与であれば贈与税は発生しないという理解でよいでしょうか。
⑥ この方法を採用した場合、住宅の持分(夫6/10、妻4/10)は変更せず、そのまま維持して問題ないでしょうか。
特に、借換時点で「夫から妻への貸付」が成立していると税務上認められるために、借換当日の資金移動、旧住宅ローンの完済方法、金銭消費貸借契約書の作成時期など、具体的に注意すべき点があれば教えていただけますと幸いです。
お忙しいところ早速ご回答いただき、本当にありがとうございます。
引き続きご教示いただけますと幸いです。
山本快夫
以下、追加のご質問にい対する回答となります。
↓
①
妻のローン残高相当額を夫に返済する代わりに、夫から借りる形とすべく、金銭消費貸借契約を締結します。web上で見られる程度の簡便的な様式で構いませんので、契約書も作成します。契約に従って、毎月や毎年のように実際に返済していくことが重要です。
②
公正証書の必要はありません。どうしてもご不安ということでしたら確定日付くらいはおすすめ致します。具体的な借入条件は、残る住宅ローンの返済に合うようにしても構いませんし、合わせなくても構いません。
③
今回の金額水準であれば無利息でも問題ありませんが、下記⑤において一部返済免除をする可能性がある場合は、贈与税の非課税枠を使うため、住宅ローンと同程度の利息をおすすめ致します。
④
はい、常識の範囲内の返済期間であれば、問題ありません。
⑤
その都度に一部返済免除(贈与)も可能ですので、その場合はその都度に、web上で見られる程度の簡便的な様式で構いませんので、贈与契約書を作成してください。
⑥
上記①および冒頭の回答のとおり、問題ありません。
契約書作成だけでなく、妻から夫への振込により銀行口座に記録を残してください。
宜しくお願い致します。
山本快夫
あと、借換時のローン残高精算の覚書と、精算資金の金銭消費貸借契約書と、一本にまとめてしまうパターンより、それぞれ別に作成するパターンのほうが、web上にサンプルも多く作成しやすく、またシンプルで理解しやすいと考えます。
宜しくお願い致します。
早速、詳細かつ具体的にご回答いただき、誠にありがとうございます。
金銭消費貸借契約書や贈与契約書の作成、返済方法、利息、返済期間等について具体的にご説明いただき、大変参考になりました。
また、契約書についても、「借換時のローン残高精算の覚書」と「精算資金に係る金銭消費貸借契約書」をそれぞれ別々に作成する方が、Web上のサンプルも多く、作成しやすく、内容もシンプルで理解しやすいとのことで、こちらの方法で進めることを検討したいと思います。
そのうえで、もう一点だけ確認させてください。
今回のような住宅ローンの借換えに伴う妻から夫への債務負担の変更について、税務署に事前に具体的な内容を相談しておくことについて、先生はどのようにお考えでしょうか。
これまでのご回答から、適切な契約書を作成し、契約内容に従って実際に返済を行い、銀行口座にも返済記録を残すことで、贈与ではなく「夫から妻への貸付」として整理できるものと理解しております。
一方で、後々の税務上の認識の相違を避けるため、借換えを実行する前に税務署へ具体的な内容を説明し、確認しておいた方がよいのか、それとも、今回のようなケースであれば、税務署への事前相談までは必ずしも必要なく、契約書や返済記録等を適切に整えておけば十分とお考えでしょうか。
また、税務署へ事前相談することについて、少し気になっている点があります。
税務署に具体的な事情をすべて説明して相談した場合、確認の過程で当初想定していなかった別の論点を指摘されたり、もともと問題のない処理についても追加の確認を求められたりするなど、いわゆる「藪蛇」となる可能性はないのでしょうか。
今回のケースでは、税理士の先生から既に具体的な対応方法をご教示いただいておりますので、税務署へ相談することによるメリットと、逆に相談することによるデメリットや注意点があれば、併せてご教示いただけますと幸いです。
なお、妻は現在専業主婦で無収入ですが、当面の返済については預金により支払うことが可能です。また、仮に今後家計状況が大きく変化した場合には、妻自身が仕事をして返済資金を確保する意思もあります。
お忙しいところ何度も恐縮ですが、税務署への事前相談を行うべきかどうかについて、先生の率直なご意見をお聞かせいただけますと幸いです。
何卒よろしくお願いいたします。
山本快夫
安心できるでしょうから、税務署に事前に相談・質問・確認されることをおすすめ致します。
ご質問の前提で、「変更する予定です」とのことですので、事前に相談しても何ら不利益は生じないと考えます。
税務署に相談することに注意点など特にございません。
奥様の預金残高について、これまでの返済原資と同じく、これからの返済原資も、奥様に帰属する財産である点だけ、念のため再確認・ご注意ください。
宜しくお願い致します。
税務署に事前に相談を行います。
丁寧かつ詳細にご回答いただきましてありがとうございました。
山本快夫
質問者さまが少しでも安心できて、納得して進められますと幸いです。
宜しくお願い致します。
本投稿は、2026年08月30日 19時51分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。







