粉飾決算の会社の相続にかかる税金について
小さい町工場みたいな会社の事業主であった父が亡くなりました。
相続財産には非上場の自社株100%が含まれています。
相続人は3人、配偶者と実子二人です。
公正証書遺言があり自社株は配偶者が100%相続し、事業も継承します。
実子二人と後妻さんは預貯金を等分にわけ、他は全部後妻さんが相続します。預貯金総額や後妻さんが相続する不動産(自宅)の評価はたいした金額ではないのに、自社株が会社規模の割りにはとても高くて、財産総額が予想以上に大きくなって、相続税が思っていたよりも高額になります。
なぜ株式評価がそんなに高いのか少ない調べてみたら、かなり昔、会社の状態が悪かった時に粉飾決算を繰り返した事があったようで、それが原因になっているようです。
実子二人は過去も現在も今後も会社には全く関わりがないのに、粉飾決算の末、実情には見合わないくらいに株価が高くなっている会社のせいで相続財産は少ないのに相続税の納税額が高くなり、予想以上に納税しなくてはならなくなった反面、会社をもらう配偶者は特別控除があるので課税もされず、なんだかモヤモヤが残ります。
可能であれば会社の粉飾を清算して適性な株価で相続税の計算をしてもらいたいのですが、粉飾をした時の責任者は亡父であり今の社長である後妻さんは『私は粉飾については責任はない』『私は現在の社長であり、前の社長のお父さんがした粉飾の被害者だ』とまで言って、聞き入れてもらえる可能性はないみたいです。
銀行との兼ね合いもあるようなので無理なら無理で、それなりのなにかないのかと思うのですが、実子二人は税法の前にはこれで納得するしかないのでしょうか?
会社=父、みたいな小さな会社の話で、父が会社に損害を与えたとか言うのであれば、父の死亡退職金の原資になった事業主受け取りの生命保険が会社に入金されているので、それでどうにかする方法はなかったのでしょうか?
ちなみに、生命保険は父の死亡退職金として後妻さんが全額受領済みです。
粉飾決算の会社が相続の対象になった場合は、粉飾の事実を会社が認めているような場合でも、会社に関わりのない相続人まで不当に高い相続税を払わないといけないのですか?
粉飾はかなり昔の話で近年は十分利益をのこしているとも聞いていますし、会社の預金は借入金残高よりも多くありますし、後妻さんが資金繰りに困るようなことはないはずで、会社のせいで実子二人は不当に不利益を被っているような気分で不公平だと思うのですが、納得するしかないのでしょうか?
もしくは、このようなケースの場合の一般的な対処方法などがありましたら教えて下さい。
よろしくお願いいたします。
税理士の回答

東京都中央区の税理士法人石川小林 小林拓未と申します。
相続財産については、遺言書がない場合、実子1人につき1/4の配分となりますが、遺言書があるとのこと。その配分が、実子1人につき1/8未満であり、ご納得がいかないのであれば、遺留分として、実子1人につき1/8請求する権利があります。
お父様のお考えは、今となっては分かりませんが、会社に関係のない実子を、無理矢理関係させたくなかったのかもしれません。仮に株を取得して、役員になった場合は、借入金の連帯保証人になることになるかもしれません。
粉飾については、これを正すべきではありますが、銀行の心証を悪くすると思われます。一括返済を求められるかもしれません。
ただ、架空の株価に対して税金を納める必要はありませんので、更正の請求などの方法で、納め過ぎの相続税を取り戻せることは可能と思われます。
その場合、どのような粉飾がおこなわれていたのかを立証する必要があります。ついては、後妻さんの協力を仰ぐことになりますが、後妻さんに協力するメリットが生じないため、なかなか困難です。
本投稿は、2017年05月30日 01時09分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。